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映画鑑賞記録2025年12作品目『どうすればよかったか?』を観に行きました。

映画鑑賞記録2025年12作品目『どうすればよかったか?』を観に行きました。

すでに、こちらの映画🎬を近場で観るのに、時間も合わなくて舞浜(シネマ イクスピアリ)まで来ました。


↓映画『どうすればよかったか?』公式サイト



(以下敬称略)

家族という他者との20年にわたる対話の記録

面倒見がよく、絵がうまくて優秀な8歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した。統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。

このままでは何も残らない——姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。

20年にわたってカメラを通して家族との対話を重ね、社会から隔たれた家の中と姉の姿を記録した本作。“どうすればよかったか?” 正解のない問いはスクリーンを越え、私たちの奥底に容赦なく響きつづける。


分かりあえなさとともに生きる、すべての人へ向けた破格のドキュメンタリー。

出典:
映画『どうすればよかったか?』公式サイト


監督メッセージ

姉はたくさん才能を持って生まれましたが、発症してからは、それを十分に発揮することなく、ほとんど独りで生きていました。
我が家の25年は統合失調症の対応の失敗例です。
どうすればよかったか?
このタイトルは私への問い、両親への問い、そして観客に考えてほしい問いです。
撮影も編集も拙いですが
見るに値するものが映っていると思います。
藤野知明(監督)

出典:
映画『どうすればよかったか?』公式サイト

スタッフ

監督・撮影・編集:
藤野知明(ふじの・ともあき)
1966年北海道札幌市生まれ。北海道大学農学部林産学科を7年かけて卒業。横浜で住宅メーカーに営業として2年勤務したのち、1995年、日本映画学校映像科録音コースに入学。千葉茂樹監督に出会い、戦後補償を求めるサハリンの先住民ウィルタ、ニブフに関する短編ドキュメンタリー『サハリンからの声』の制作に参加。卒業後は、近代映画協会でTV番組やPVのアシスタントディレクターとして勤務したのち、CGやTVアニメの制作会社、PS2用ソフトの開発会社に勤務しながら、映像制作を続ける。2012年、家族の介護のため札幌に戻り、13年に淺野由美子と「動画工房ぞうしま」を設立。主にマイノリティに対する人権侵害をテーマとして映像制作を行なっている。監督作品に短編ドキュメンタリー『八十五年ぶりの帰還 アイヌ遺骨 杵臼コタンへ』(17)、長編ドキュメンタリー『とりもどす』(19)、『カムイチェㇷ゚ サケ漁と先住権』(20)、『アイヌプリ埋葬・二〇一九・トエペッコタン』(21)など。「山形ドキュメンタリー道場4」に参加した『どうすればよかったか?』(24)が、山形国際ドキュメンタリー映画祭[日本プログラム]、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル[コンペティション]、台湾国際ドキュメンタリー映画祭、フランクフルト・ニッポンコネクションなどで上映される。現在、『アイヌ先住権とは何か?ラポロアイヌネイションの挑戦(仮)』のほか、サハリンを再取材し、先住民ウィルタ民族の故ダーヒンニェニ・ゲンダーヌさんに関するドキュメンタリーを制作中。

出典:
映画『どうすればよかったか?』公式サイト

コメント

五十音順・敬称略
家族の映像を記録し、公開することの可否を、息子に問われた老いた父の返答に、複雑な感情でなんともいえず胸がきゅうっと詰まった。
どこかほっと安堵したような気持ちにもなったわたしは、もしかするとその返答を「正解」だと感じた、あるいは「受け入れた」のかもしれない。
わたしは、いつも「正解」を求めてしまうのだな。自分にも、誰かにも。

青山ゆみこ(編集・ライター)
「どうすればよかったか?」という問いに正解を答えるのは、決して難しいことではない。
それでも人は必ずしも正解を選ばない。どうすればよかったか、みんな本当はわかっているはずだった。
鎖のかかった扉の内側から家族を見つめる静かな視点。
終わっていく物語は私たちにもういちど問う。一体、どうすればよかったか、と。

伊藤亜和(文筆家)
姉の病気を認めないことで成立する「家族」のあり方。おそらく多くの機能不全家族にも通じる矛盾であり、その矛盾をはっきりとカメラに残したドキュメンタリーである。

インベカヲリ★(写真家、ノンフィクション作家)
姉、弟、父、母。
一緒に暮らしているがゆえに、どうしようもなく孤立していく人たち。

聞こえてる? 聞こえてるよね。
25年間にも及ぶ、すれ違う会話の集積が問いかける。
では、家の中に閉じ込められた困難に、社会は、他者は、何ができるのか。
どうすればよかったか。――わたしたちはこの映画から、対話を始めたい。

瀬尾夏美(アーティスト、詩人)
解釈を拒む奇妙で厳しい現実を、そのままゴロっと差し出したような映画である。だからか、どう評していいのか分からない。観た後しばらく茫然とするしかなかった。

想田和弘(映画作家)
映像はふるえている。目もくらむ年月を重ねたままならない日々と家族が、そこにうつっている。求めることができなかった助けの声が、問いのかたちとなって社会に手渡された。映像を観たいま「あなたたちはこうすればよかった」ではなく「わたしたちはどうすればよかったか」という思いが離れない。

永井玲衣(哲学者)
ある時点よりも先の未来の物語には、常に無数の筋があります。
その時点での環境、不安、希望、知識、出会いなど、様々なものに影響されながら、その人や周りの人たちは一つの筋の物語を紡いでいきます。
人生の物語はどの時点でも道半ばで、いくらでも振り返ることはできるけど、歩んでいる筋のよしあしに正解はきっとありません。
どうすればよかったか?
問いは壮大。考え続けることは楽ではない。
けれど、とても稀有な記録、記憶をたどりながらそれを一緒に考えるような鑑賞体験は、とても貴重で意義ある時間に感じられました。

星野概念(精神科医 など)
これは私たちの映画だ。「両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めた」と聞けば、常識的ではない家族の記録と早合点しそうになるが、事はそうシンプルではない。統合失調症の「姉」に大多数の人と異なる点があるのは確かだが、常識的ではないかといえば違う。そろって医者の「両親」は常識人であることに執着し、常識的ではない日々にたどり着いた。では、そんな家族を撮りつづけた監督のふるまいは常識的といえるか。誰にとっても他人事ではない人生がここにある。

松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
観終えてずっと考えている。どうすればよかったのか。でも答えはまだ見つからない。早く医療に繋げるべきとか拘束すべきではないとかのフレーズは浮かぶけれど、それが根源的な解だとは思えない。きっと他にある。だからもう少し考え続ける。

森達也(映画監督、作家)
カメラを持った男――弟であり息子でもある彼は、「撮る」ことでいかに自らの家族と、そして世界と切り結ぼうとしたのか。
記録されることがなかったかもしれない場所で、「ともちゃん」と呼ばれる男から、人間探究の目が立ち上がってくる。我々はこの目の発動を映画と名付けているのではないか。カメラの前で老いた父親と真っ直ぐ向き合う藤野知明監督の姿が、この映画の決定的な余韻として残っている。

森直人(映画評論家)

出典:
映画『どうすればよかったか?』公式サイト

        【感想】

 監督・撮影・編集もされた藤野知明氏は、とってもしんどいおもいをされていると思いました。

「ずっとしんどかった」ではなくて,今もしんどい思いをし続けているのかもしれないと思います。


家族間のことで,しんどい中で映像に残すことを思いつき実行もされました。


そのことから,今日の私たちに映画を観ることでの考えるきっかけも与えて下さりました。


家族の悩みを抱えている方にも観てほしい映画だと思います。


監督には,数多くの立派な賞を与えていただきたいと思います。(本当に)


監督のお姉さんをみていても,家族の仲は割と良くみえました。(撮影をしたことによる効果もあるのでしょうか)


ご両親も割と長生きをされておられますし。


お父様も,医師で研究者とのことです。


裕福なご家庭のようにみえます。


また,ご両親も温厚で柔和な性格であるように思えます。


そして、お姉さまも,ご両親にちゃんと
「ここにいていいんだ」と受け入れてもらえておられます。

弟さんも,お姉さんのことを,本気で心配しているからカメラを回して,助言もしています。

お姉さんも,医学部を卒業されておられます。

賢くて美人で宝物のように家族から扱われているように思えます。


また,自費出版にて本も出されておられ素晴らしいと思います。


やはり最後は,病院に頼るのはスマートな考えだと思います。


こういうふうに映画にもできているわけですもの。


「タイトル」は置いておいて…。

私から観ると充分に幸せそうです。


ぜひぜひこちらの映画を映画館でみてみてください。

追記)もしお姉様はずっと病院に入院されていたら撮影禁止だから今回のような映画にはなっていません。

最近流行りの在宅(ワーク)の最先端という存在でもあります。

この世に映画として出てたくさんの人を救ってもくれる作品だとも思います。

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