私がDAC(Direct Air Capture)推しになったわけ -その1
これを話し出すと長くなる。まずは地球温暖化とCO2排出抑制の私なりの現状把握ね。
私は面白いと思うのだけど、この話題は右と左にくっきり分かれる。
右は、CO2排出抑制で損をしたくない。あれこれ議論が残っていると言って、温暖化懐疑論を蒸し返したがる。温暖化の太陽原因説を唱える。中世温暖期だの縄文海進の話題が大好き。温暖化とCO2増加は食料増産に好ましいと温暖化対策不要論を唱える。日本の石炭火力の熱効率は世界一なので世界中に輸出すべしという。CO2抑制策は原子力に限る。左の連中は傲慢な意識高い系で、カーボンクレジットで商売しあぶく銭を稼ぐと非難する。再エネの電力の不安定さをあげつらい、電力価格高騰の責任をFITに押し付ける。EVは資源の無駄遣いでトヨタが正しい。太陽光パネルとEVは潜在敵国中国を利するから駄目。エネルギーなくして経済成長なし、経済成長なくして人の幸福なし。カーボンニュートラルはほぼ不可能。ドリル、ベイビー、ドリル!
左は、不都合な真実以来のあれだ。気候変動で水害も干ばつも増える。海水位上昇、海洋酸性化、森林火災、食糧危機が来る、飢饉による難民、熱波による難民、国際紛争の増加。ティッピングポイントが間もなく来るが、いつ来るとは言えない。ティッピングポイントが来たら取り返しがつかない。二度と元の地球環境には戻らない。再エネ推し、EV推し、原子力には微妙にネガティブ。いまだに石炭火力発電所を作ると電力業界を非難。日本政府がCO2削減に消極的と非難。老害世代が若い世代の未来を奪っていると非難。カーボンニュートラルには今の大量消費を是とする資本主義の見直しは必須。つまり来たれ革命!
これに対し 素朴な日本人の立ち位置というものがある。車は大事におんぼろになるまで乗りつぶし、冷暖房は控え、肉も控えてコメを食い、誰よりも慎ましく暮らしてる。日本の省エネは世界トップクラス。日本人は森を大事にしている。もう十分。IPCCにジェットで乗り付けるエリート連
中のお説教はいらんわい、と、まあ少々爺くさく、結果的に右寄りといえる。
左右の議論は全くかみ合わない。かみ合わないのも道理で、双方の主張の基礎部分は それぞれ事実に照らして正しい部分が割と多いのだ。
化石燃料からの脱却を満たすエネルギーインフラは何兆ドルかかるか果てしなく、カーボンニュートラルが困難なのは事実。一方で温暖化が既にかもうすぐかティッピングポイントを幾つかへし折り、数世紀は元に戻りそうもないのも大体事実。水害、干ばつ、森林火災、海洋生物変動、飢餓難民、熱波難民、食糧難、未知の脅威が待っているのも事実。
これは、アカン、絶望しかない、、、、と思いがちなんだけど、本noteは 希望はある、と訴えたい。
まず大事なのは問題の切り分け。温暖化効果ガスにはメタンの貢献も大きい。CO2とメタンは色々と性質が違う。メタンは資源で漏出防止は産業の利益にかなう。漏出の発見方法は進歩が大きい。メタンはCO2より半減期が短く、対策を打てば即効性がある。つまり、短期的、集中的なターゲットはメタンの漏出防止なのだ。幸い、世界はメタンの重要性に気が付いて対策し始めていると思う。
次に大事なのは問題の正視だ。問題はCO2で これはエネルギー的に廃棄物だ。CO2が資源に!とかいうのは大体貴重な水素と電力を大量消費している。日本全体で11億トン、一人当たり8トン、燃やす前のカーボンに戻して2.7トンの無煙炭ということになる。一家3人なら年に8トン。中型トラック一台分に満載の炭が毎年届いて、燃やさずに(CO2を出さずに)活用しろと言われてできる家庭があるだろうか?
それは無理なのだ。積み上げれば庭は数年でボタ山になる。それは廃棄物なのだ。それも大量の。そう認識したら、それは流すとか埋めるとか、ふさわしい処理方法を考えなければならない。これも幸いなことに、世界は問題を認識して対処しつつある。CCSとかIPCC28の現実路線と呼ばれるものだ。
まだDACにたどり着かない。けれども『CO2は処理を要する大量廃棄物である』という基本線は認識しておきたい。
イラストは右と左、ということで、またまたみんなのギャラリーから頂きました。ありがとう。