見出し画像

DAC(Direct Air Capture)の費用は魅力的?~~~推しの理由その2

1トンのCO2を処分する費用の概算は、将来的にCO2一トン当たり2万円前後に収束?毎日新聞の記事を引いて大雑把に試算してみましたが、それは受け入れ可能な費用なのか、考えてみます。

最初にガソリンを考えます。ガソリン1LあたりのCO2排出量は2.32kgとされます。CO2の処分費用は換算したらkgあたり20円です。ということは、ガソリン1Lあたり47円。そうです1Lあたり180円のガソリンにかかっている税総額73円(石油税57円、消費税16円)より少ない。追加で増えるので軽くはないですが、自家用車を諦めるしかない、と絶望するほど高くないです。
同じことを総額で考えます。シエンタHVが総額300万円で買えて1Lあたり20km走り10年で12万km走行すると、総額136.2万円のガソリン代を払い、そのうち28.2万円がCO2の処分費になります。私はアレレと思います。ハイブリッド車とEV車の差額は、100~200万円くらいはします。(実際には、電費が厳しいのかシエンタのように積載大なEVはあまりありません)
灯油の1LあたりのCO2排出量は2.49kg。Lあたり50円。18L入りタンク一本に900円です。灯油は税率が優遇されているので、割合は大きくなります。1シーズンに20タンク分消費すると18000円。
航空運賃はどうでしょう。東京-ロサンジェルス間8750km 787-9のシートあたりLあたりの飛行距離28.8kmを採用すると15130円。平均搭乗率80%として大体19000円です。往復で3万8千円のプラスです。

飛行機の燃費はどのくらい?リッターあたりの距離比較やB787の性能を解説

飛行機の燃費はいくらなのか?ボーイング「777」「787」「767」「737」「747」(1km1座席当たりの燃料費) | Mile-points.com

電力価格はどうでしょう。一所帯平均の一年間の電力は約4200kWh。電力の co2排出係数が複雑奇怪なんだけれども大手の実勢値と思われるもので0.46 kg-CO2/kWhという所と思われます。1932kg-CO2/年になり、その処理費が38600円/年となります。これが一番痛いでしょうか。救いは、火力発電所のように一か所でまとまって出るCO2の処分は、CCSと呼ばれる地下埋設が最安だと言われます。まだ総量30万トンを処分した実証プラントまでしか実現していませんが、そこから出た将来価格は 大雑把に言えばCO2一トン当たり1万円前後です。ということは19300円/年?これも安いとは言いませんが、絶望するほど高くもない、とご納得いただけると思います。

このように、DACでCO2一トン当たり2万円前後、CCSでCO2一トン当たり1万円前後でCO2が半永久処分できるとすれば、それは絶望的な費用ではない、というのがWESTの見方です。

次の疑問は、DACなりCCSが本当にできるのか、という実現性の問題になるでしょう。その前に、DACの方法に何があるか、それは本当に実用的なのか、というDAC列伝も紹介したい。これが世界には色々あるのです。
一般的なDACの理解は、大気中に0.04%しかないCO2を ほぼ純粋に漉しとって地中に埋める(CCS)というものですが、最初に出した毎日新聞の記事の粉砕玄武岩を農地にまいてCO2を鉱物化・半永久処分するのもDACの一種です。海水を使う、別の方法で玄武岩を使う、本当に色々あって面白いのですよ。稿を改めて、続きをまたよろしく。

いいなと思ったら応援しよう!