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25億円超の被害!カナダを襲った暗号資産詐欺の手口と警察の捜査

暗号資産詐欺の現状とカナダ・オンタリオ州の被害状況

暗号資産(仮想通貨)投資への関心が高まるにつれ、その人気を利用した詐欺が世界中で増加の一途を辿っています。

中でもカナダでは、暗号資産関連の詐欺が深刻な社会問題となっており、特にオンタリオ州の被害が際立っています。

2023年1月から9月までの期間に、オンタリオ州では約2,300万カナダドル(約25億1,391万円相当)もの被害が報告されました。

これは、同時期にカナダ全体で報告された暗号資産詐欺被害総額9,400万カナダドル(約102億7,427万円相当)の約4分の1を占める深刻な状況です。

デジタル経済の重要な要素である暗号資産への期待が高まる一方で、このような詐欺の横行は、投資家にとって大きなリスク要因となっています。

暗号資産詐欺の典型的な手口

暗号資産詐欺は、巧妙な手口で投資家を罠にかけます。

典型的なパターンとしては、まずオンライン広告を通じて「少額投資で高収益」といった甘い言葉で勧誘が行われます。

被害者が広告をクリックし、偽の投資プラットフォームに登録すると、詐欺師は巧妙に偽造された収益データを見せ、投資家からの信頼を得ようとします。

その後、更なる投資を促しますが、いざ出金を求めると様々な理由をつけて拒否し、最終的には投資資金を持ち逃げします。

これは古典的なねずみ講の手口に酷似していますが、暗号資産特有の匿名性や迅速な送金システムが悪用されることで、資金の追跡が極めて困難になるという特徴があります。

警察と当局の対応と警告

オンタリオ州警察(OPP)のジョン・アミット刑事は、「暗号資産を送金した時点で、その資金は失われたと考えるべき」と強く警告しています。

一度送金された資金を取り戻すことはほぼ不可能に近いのが現状です。

また、暗号資産は国境を越えて迅速に移動できるため、詐欺で得た資金は海外に送金されるケースが多く、被害回復がさらに困難になっています。

オンタリオ証券委員会(OSC)は、被害を防ぐために政府が規制するプラットフォームの利用を推奨しています。

認可されたプラットフォームは投資家の資産を適切に管理し、不正な資金使用を防ぐ仕組みを備えているため、比較的安全性が高いとされています。

しかし、専門家は、安全なプラットフォームの選択だけでは十分ではないと警鐘を鳴らしています。

Coinbase Canadaのルーカス・マディソンCEOは、「暗号資産に投資する際は、その仕組みを十分に理解し、安易な儲け話には警戒し、必ず二重三重の確認を行うことが重要」とアドバイスしています。

暗号資産詐欺の予防策

暗号資産詐欺から身を守るためには、以下の点に注意することが重要です。

まず、有名人の名前や画像を無断で使用した広告や、有名人が推奨しているかのように装った投資話には警戒が必要です。

また、身に覚えのないメッセージや、突然持ちかけられる投資提案は、詐欺の可能性が高いと考えるべきです。

投資を行う前には、投資対象について徹底的に調査し、情報を精査することが不可欠です。

高すぎる利回りや、リスクの説明がない投資話は、特に注意が必要です。冷静な判断を心がけ、安易な投資に飛びつかないようにしましょう。

他地域での事例と今後の課題

同様の暗号資産詐欺は、カナダだけでなく世界中で発生しています。

米国では、2020年に米連邦取引委員会(FTC)が、暗号資産関連の詐欺による損失が約8,000万ドル(約125億8,283万円相当)に達したと報告しています。

オンタリオ州警察は、暗号資産詐欺に対処するために「Project Atlas」という特別捜査チームを結成し、12カ国にわたる被害者を特定し、約2,000の暗号資産ウォレットアドレスを追跡していますが、技術的な限界や国際的な管轄権の問題が捜査を難航させています。

詐欺師は暗号資産の匿名性と分散性を悪用し、資金を迅速に移動させるため、警察の捜査にも限界があるのが現状です。

今後は、国際的な連携を強化し、法規制の整備を進めるとともに、投資家への啓発活動を継続していくことが重要です。

まとめ

カナダ、特にオンタリオ州で暗号資産詐欺が深刻な問題となっており、巨額の被害が報告されています。

詐欺師はオンライン広告や巧妙に偽造された収益データを利用し、投資家を言葉巧みに誘い込み、大切な資金を騙し取ります。


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