変動費が3%上がると、利益は○○%下がってしまう
今日は「値上げ」と「値決め」について取り上げてみたいと思います。
小麦粉製品や食用油など、家庭向けの食品の値上げが相次いでいます。
コロナ禍で落ち込んだ経済活動の回復に伴う世界的な需要の増加で、原材料が高騰。物流費も上昇し、多くの食品メーカーが自助努力は限界として価格に転嫁する動きが出ています。
小麦粉製品で3~6%が上がってきていますが、今日、食品原材料(小麦粉等)の卸売を経営されているお客様と打ち合わせでしたが、メーカーから3~5%の値上げがきており、その上昇分を販売にどう転嫁していくかというご相談がありました。
変動費が値上げになった場合の対応方法として、以下が考えられます。
1.価格に転嫁しない(もしくは、できない)
2.転嫁できない分を、数量の増加で賄う
3.同じ粗利益額を確保するために、変動費の増加分(額)を売上に上乗せ
4.今までと同じ粗利益率を確保するための値決め
図も交えながら簡単に解説してみたいと思います。
まずは、分かりやすく、
単価10,000円・変動費8,000円(80%)・粗利益2,000円(20%)
を前提にします。卸売の場合は粗利益率が10~20%が多いかと思います。
変動費(原価)が3%上がって、売上単価を据え置いた場合は、
下記の通り、粗利益額が12%も減少してしまうインパクトになります。(3%の減少で済むと考えてしまうのは間違いとなります!)
当然、20%の粗利益率も減少します。
変動費の上昇率が大きくなればなるほど、粗利益減少のインパクトも大きくなります。仮に5%上がって、単価をアップしないと、粗利益額は20%も減少してしまいます。(下記参照)
価格を改定せずに、今までと同じだけの粗利益を確保するために必要な売上高(数量)アップは上記の通りです。もし変動費が3%アップした場合、数量でカバーするには、何と14%も伸ばさなくてはいけません。なかなかのハードルですね。(上記参照)
今までの数字を見ていただくと、価格改定をしないとうい選択肢はあり得ないことが分かると思います。
最低限、今までの粗利益額を維持するためには、変動費の増加分を売上高に上乗せすることになります。これにより利益額は維持できますが、下記の通り、粗利益率は20%から19.5%に下がってしまいます。
最後に、粗利益率をキープするためのシュミレーションになります。変動費の増加率である3%をアップすることができると、粗利益率は変わりませんし、さらには、粗利益額も増やすことができます。
昨今、変動費だけでなく、販管費(特に人件費)も増加傾向の流れがありますので、しっかり単価を上げていけるだけの商品力・サービス力・営業力を磨いていき、固定費の増加を賄えるだけの、粗利益額アップ(高単価・高付加価値)を目指していく必要があります。
変動費・固定費が増加傾向にありますので、お客様と一緒にシュミレーションを実施して、今後の値決めをどうしていくかアドバイスしていきたいと思います!
【今日の習慣】
価格、粗利益等のシュミレーションは「未来会計図表」をフル活用
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