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ことばハンター 国語辞典はこうつくる
小説や伝記ものが好きな息子に、ノンフィクションにもチャレンジしてもらいたいなと探していた時に出会った本。
漢字や熟語に苦労する息子。感情表現の多様さに戸惑う息子。辞書を引け、と塾の先生に言われても、なかなか辞書に手が届かない息子。
あわよくば、辞書好きになるのでは?という意図も込めて、小4の夏に渡しました。
この本を息子に読んでもらった背景・理由
学校の授業でiPodを使い、生成AIが自動で文章を作ってくれので、正しい漢字が書けなくても困らない世の中であることが明白化。君たちの世代にとって、漢字を学ぶ必然性を感じにくい時代背景。
だけど、そんな世の中へのアンチテーゼなのか、未だに漢字への強いこだわりを見せる受験業界。今の時代だからこそ、受験生には、正しい漢字を正しく書ける力を求めています、と入試問題を作る先生方に言われても、「??」となってしまう。
そんな先生達の古めかしい発想は理解出来ないが、思考の根底にある言語認識力・言語構成力は、社会生活を行う上で必修で習得しなければいけない力であることは明白。
日本にしがみ付いても明るい未来が見えない、そんな君たちの世代にとって、グローバルで生きていくために、多様な人達と意思疎通していくために、言語力は磨き続けないといけない。
本当に学んでほしいのは、漢字や熟語ではなく、インプットする・考える・アウトプットするために頭脳の中で駆け巡る「言語」。その「言語」を抽象的に捉え、運用する能力。
そして、そんな高尚な想いは横に置きつつ、目先の模試で漢字や熟語の点数を上げて欲しいという親心・・・。
結果的に、古めかしい先生方と、全く同じ発想に陥っている気がしますが(汗)、、、
この本を通じて理解してもらいたかったこと(親の期待値)
言葉は、人を動かす圧倒的パワーを持つ、人類史上最大の発明。言葉に対して人間が投下してきた労力は果てしなく、社会やテクノロジー変化とともに、言葉も進化する事は必然。
現代社会では、BlogやSNSで、誰でも気軽に情報発信できる時代になり、新しい言葉遣いの発明・言葉の進化がスピードを増している。日々新しい表現が生まれ、消えていく。
新しい言葉を受け入れていく。新しい表現に言葉というラベルを付け、ラベルに意味を持たせる。著者のような言語キーパー達(辞書編集者)の努力によって、言語は守られ、進化していく。
そのようなダイナミズムに面白さを感じ、言葉の持つ力や、言葉自体の意味合いを深く考える習慣をつけるべき。
中学受験的には、若者言葉が乱用された小説が出典となることもあり、新しい言語表現への感受性を問われる。自分の中で存在しない新しい言葉についても、ニュアンスを感じ取る嗅覚を培っていくべき。
息子の読書後の反応(結果)
オーバースペックで、難しかったようです。やはり、まだ、ノンフィクションは早かった。。。
最後まで読み切らずチラ見でおしまい。諦めず、もう少し時間をおいて、読んでもらおうと思います。乞うご期待。
この本による中学受験への効用
途中で挫折したので、当然ながら、辞書好きにはならず。相変わらず、辞書も引かず。相変わらず、漢字や熟語の点数も上がらず、、、
親の心、子知らず、ということでしょうか。粘り強く、見守りたいと思います。
大人の視点では、改訂版を出さないと買換え需要が生まれないため、言葉の定義をドンドン変えなければならない、という辞書を作る出版社側の事情を邪推してしまいました。
辞書がWeb化した時代。従来の辞書改訂サイクルよりも早期に、日常的に、言語データベースをアップデートしていく、そんな動き方が求められていく時代になっているのでしょうね。
小説も、出版して終わり、ではなく、読者の反応に合わせて登場人物を追加したり、ラストシーンを変えるなど、デジタル時代にマッチした在り方が出てくるかもしれません。