読書記録R6-45『やかまし村の子どもたち』
アストリッド・リンドグレーン作
イングリッド・ヴァン・ニイマン絵
石井登志子訳
岩波書店2019年6月第1刷
もうすぐ八歳のリーサ。
やかまし村には子どもが六人。女の子が三人と男の子が三人。
男の子ってちょっとめんどうだけど、みんなで遊ぶとやっぱり楽しい。
リーサにはラッセ(九歳)とポッセ(八歳)の兄がいる。
家は中屋敷。北屋敷と南屋敷の間に建っている。やかまし村はこの三軒だけ。
南屋敷にはウッレ(八歳)が、北屋敷にはブリッタ(九歳)とアンナ(七歳)が住む。
1やかまし村の子どもたち
2男の子のきょうだいって、めんどう!
3あたしの最高のお誕生日
4お誕生日のジュース・パーティ
5夏休み
6カブラの間引きと、子ネコのムッレ
7自分の犬を手に入れたウッレ
8大好きなおじいちゃん
9秘密をまもれない男の子
10干し草小屋でのおとまり
11アンナとあたしの家出
12遊び部屋つくり
13やっぱり秘密がまもれない男の子
14新学期のはじまり
15変装ごっこ
16おそろしい雪嵐
17もうすぐクリスマス
訳者あとがき
石井登志子氏は訳者あとがきでたくさんのことを教えてくれる。
以下のとおり(抜粋)
この作品は日本では1965年に岩波書店から大塚雄三訳、イロン・ヴィークランド絵で出た。
最初に挿絵を書いたイングリッド・ヴァン・ニイマン(1916-1959)はデンマーク出身の画家で『長くつ下のピッピ』の挿絵で一躍有名になった。リンドグレーンとは新人同士の名コンビだった。
だが、精神を病み、43歳で早世した彼女にリンドグレーンは深い感謝と共にその才能を惜しみ、「スウェーデンの児童書界は、非常に個性的で才能豊かな描き手を失った」とニイマンの死を悼んだ。
『やかまし村の子どもたち』はアストリッド・リンドグレーンの40年に渡る長い作家生活の中ではごく初期の作品だ。
この作品に登場する子どもたちには今では当たり前になっている男女平等の考え方がごく自然に身についているが、当時はまだ男女不平等の時代だった。
全篇を通じて女の子たちは男の子たちに対して堂々と意見を言う。
リンドグレーンの先見性を石井氏は見ている。
図書館の講演会で耳にした石井氏の語り口調。それは作品の日本語訳にそのまま現れている。
日本の子どもたちがリンドグレーンの作品を好きになったのも分かる気がする。
優しく、楽しく、愛に溢れていたな~と今さらながら思うのである。