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知的創造力を高める お薦めの5冊
考えること、思考することを強く意識している人はそれ程多くないと思う。
研究者やコンサルタント、教育関係者や哲学者等、一部の職種ではこうした思考についての方法論が日々考え、磨かれているのだろう。
今回は、そうした各方面で培われてきた方法論を体系化している書籍を中心に私なりの整理で纏めたものをご紹介したい。
1.知的創造の条件(吉見 俊哉 著)
吉見さんが東大で行われている講義内容をベースに、自分なりの問いを立て、仮説構築し、実証していくという、研究をするにあたって求められる一通りの流れと考え方、注意すべきポイントが纏められている。
本書によると、知的創造とは
”問い”へのこだわり
理論的枠組みの構築(過去の研究資料の狩猟)
の大きく二つの柱から成り立っており、これらが研究をはじめとする知的創造の営みには欠かせないとされている。
見過ごされがちなのが、「”問い”へのこだわり」で、ここがおざなりになってしまうと、研究そのものが、どこかで聞いたことがあるような退屈な内容になってしまったり、社会的な価値が低いものになってしまったりする。
今回は、この知的創造を行うにあたって必要とされる2つの力
”問い”を立てる力
”理論的な枠組みを構築するにあたって必要な批判的読書力”
をどのように高めていけばいいのか、参考となりそうな本をご紹介したい。
2.知的複眼思考法(苅谷 剛彦 著)
吉見さんの本の中で、批判的読書をどのように行っていけばいいのか、という所で引用されている。私も10年程前に読んでいたが、今読んでも全く古うい感じがしない。考えることを生業にする人にとってのバイブル的な書であり、本当に名著だと思う。
3.考えるということ(大澤 真幸 著)
社会学者、大澤氏による本書も参考になる。「読むこと、考えること、書くこと」を生業にしている大澤氏が、普段どのように物を捉え、考え、それを研究としての形にしていっているのか、その思考プロセスから学べることは多い。
4.「考える力」をつける本(轡田 隆史 著)
朝日新聞の記者として活躍された轡田氏による、ジャーナリスト時代に培われた経験を元に、情報収集や分析、それを元にどういう視点で何を考えていけばいいのか、いかにもジャーナリストらしく具体的なエピソードと共に語られている。かなり前に書かれた本だが、これも内容に古びるところがない。個人的には著者の優しい目線と、地方記者時代のエピソードがとても強く印象に残っている。
5.「考える力」トレーニング(白取 春彦 著)
哲学と宗教を専門にされている白取氏が、論理的思考法、思考の深めかた、もやっとしたところから、自分の頭を整理し、アイディアを出していく方法などについて平易に纏められている。文庫本で200ページ程なので、移動の途中に読めてしまう本だが、単なるノウハウ本のような薄っぺらさはない。これだけ濃い内容をコンパクトに凝縮できてしまう力は流石だなと思う。
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