読書録「経営思考の補助線」
御立尚資さんという方が書かれた「経営思考の補助線」という本を読んでいる。まだ途中までなのだけれど、気になったことを忘れないために備忘録的に書くことにした。
御立さんはボストンコンサルティンググループの日本法人代表も勤められた方で、他にも著書が多くある。以前にも別書を読んだことがあり、非常に分かりやすく、かつ深い知見を得ることができた記憶があったので、本書も手に取ってみることにした。
本書が書かれたのは今から10年程前で、当時もリーマンショックという金融危機があった後で、急激な社会経済的な変化の中で、企業経営者はどのようにその変化の潮流を泳いでいけばよいのか、といったことについて、新興国等で起こっている変化等を、事例を交えながら考察されている。
オンタイムの話題ではないものの、考察が本質的なので、今の時代でも参考になるものが多い。
例えば、マーケティングに関連した話題で気になったのは、
「仮説の立て方を変える、ずらす」
といったこと。
様々な商品のマーケをする際に、例えばPOSデータを取って、どの時期に誰がどのような物をどれだけ購入しているのか、といったことを調べたりする。問題はそこでどういった仮説を立てるか、である。当然のことながら、切れ味の良い仮説(もしくは問い)が立てられていなければ、良い答えも得られない。
本書の中では、ビールに関する話題が紹介されていて、例えば、「収益性の高いビールを売っていくために、ビールとセット販売して売れる物は何なのか」といった問いを立ててみる。
このような問いを立てると、単にどの時期にどんなビールが売れているのか、といった問いを立てるよりも、より収益にダイレクトに結びつく情報が得られそうだ。
こうした仮説、問いの立て方はとても参考になって、他にも応用が効きそうだ。
また他には、
CRM(Customer Relation Management)の幅を広げ、層を深める
といった話題がある。
CRMは最近あまり聞かれなくなったが、自社製品をPRしていく際に、マスマーケティングだけに頼るのではなく、ファンになってくれそうな層を組織化(コミュニティ化)していって、そのコミュニティの中でファンを育てていこうという戦略が紹介されていた。その中では、自社製品のPRだけではなく、顧客が求めるものであれば、他社製品の情報も含めて展開していくといった方法も有効であるという。
こうした手法は、既にファンコミュニティの構築といった形で、各社で様々な取り組みがされていると思うが、これも、私が働いている非営利セクターでも大変参考になる。
例えば、活動資金となる寄付金を集めていく際にも、このような考え方は有効だろう。
といった形で、読めば読む程に得難い情報が得られるこの本、とてもお薦めです。
ちなみに、同書の続編「続・経営思考の補助線」も出ているようで、まだ読んでいないが、こちらも合わせて読んでみたいと思っている。
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