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ヘッドライトのスポットライトがぼくたちのスタート。

昨晩、たっぷり寝て、ようやく体力回復してきた。あらためて 秋田キャラバンミュージックフェスにご来場いただいたみなさん。そしてそして+A(ction)にご協力いただいたみなさん本当にありがとうございました。今年はACMF史上初めて、二日間ともに強い雨風があり、かなり過酷だったと思う。足元が泥んこになってなお、アーティストを応援しつづけていたみなさんの姿にも、心打たれたフェスでした。本当にお疲れ様です。そしてもちろん、主催者である、高橋優くんも本当にお疲れ様でした。360度全方位に気を回しながら、本番中もこっそり抜け出して、ぼくたちのブースまでカイロ届けてくれたりとか、その優しさに痺れました。ありがと。マジで嬉しかった。

ぼくたち+A(ction)チームとしては、昨年、ペットボトルキャップを再利用したピック型チャームが当たるガチャガチャが大人気だったんだけど、今年はより実践的な試みをしようと、リユースカップの運用を開始。「森、道、市場」など、環境意識の高いフェスではお馴染みながら、僕たちにとっては初めての試みだったので、そもそも幾つ発注すべきか難しかった。だけど、最終的に残ったカップが、たった20個という絶妙な発註個数で、なんだかめちゃ気持ちよかった(笑)。無駄につくってしまったら意味ないものね。

最近ぼくは、新著を携えて出版ツアーをしてたりするので、たくさん売れるのは嬉しいものの、足りないとなるのも悔しいので、その絶妙な冊数を考えるのが楽しい。申し込み人数や主催してくださる方の熱量などから、本の冊数を決めて、でかいスーツケースをパンパンにしていくのだけど、それが綺麗に軽くなって帰れるときは本当にありがたく、嬉しい。今回のリユースカップはまさにそれだった。といってもその個数を最後ビシッと決めたのは、毎年フェスの運営を現場で仕切っているアートシステムの関谷さんなんすけどね。関谷さん、マジで発注個数、神だったね。

リユースカップは、500円のデポジット式だったので、帰りに戻してくれたら返金するのだけど、それでも回収率はおそらく10%いかないくらいだろうか。そのあたり詳しい数は集計中だけど、ひょっとしたらカップデザインが可愛すぎたかもなぁ。みんな記念に持って帰りたくなるよね。とはいえ、やっぱり可愛いやつが欲しいもんなあ。

ちなみに、飲食店さんが提供しやすいように、30mlごとのメモリをつけているので、優くんは計量カップがわりに使うって言ってた(笑)。たしかに、このカップは、冷たいものだけでなく温かいものもOK(-20度〜120度まで)だから、みんなも家で使ったり、キャンプとかで活躍してくれたりしたら嬉しいなと思う。

あと今年好評だったのはやっぱりペットボトルキャップアート。丁寧に分別してくれたペットボトルキャップを使って、ECOステーションブースの看板がつくれたりするといいね。というところからはじまり、どうせならお客さんと一緒にアートパネルを完成させよう! と、思ったものの、これもまた初の試みゆえ、うまくドット絵になるのか心配だし、そもそもその設計図をどうつくればいいのやら、と思っていたら、うちのはっちが謎の才能を発揮。エクセルでサクサクと設計図つくってくるからマジびびった。

昨年から運営を手伝ってくれている「ごみの学校」の寺井くんと東野くんが「この需要めちゃありますよ。仕事になりますよ、これ」と絶賛してくれたくらい、ほんと手前味噌ながら、はっち本当にいい仕事したな。

子供達めちゃ楽しんでた。
優くんも手伝ってくれた。

イベント二日目の最後、トリの優くんのライブが始まったタイミングで、はっちが急に機転を利かせて、お客さんにありがとうのメッセージをつたえましょうと、急遽「THANK U!!」という言葉をアドリブで加えたのは、マジでアーティスト感あったわ。

今回、リユースカップの提供ブースとECOステーションを運営したのは、ガイドブック編集チームでもある僕とはっちだけでなく、昨年から協力してくれている「株式会社ごみの学校」の寺井くんと東野くん。そして秋田県にかほ市から三年連続でフェス会場にかけつけてくれてお手伝いしてくれている産業廃棄物処理会社の「秋田マテリアル株式会社」チーム&「株式会社めぐるめぐ」の学さん。さらに僕の大切な仲間「Re:School」の有志たち。そこに地元中学生も加わった全員がボランティアでこの活動を支えてくれている。言い出しっぺな僕たちはいいとしても、秋田だけでなく、遠く関西やら関東から交通費まで自腹で来てくれているメンバーも含めて、本当に感謝しかない。

けれど僕はこれらの活動がすべてボランティアになってしまう現状を決してよいこととは思っていない。僕がこの活動を通して伝えたいのは、僕たちが日々出したごみを処理してくれている人がこの社会には確かにいて、そのおかげで僕たちの生活が成り立っているという事実に気づいて欲しいということ。職業に貴賎はない。それぞれに尊い仕事だけれど、実際僕たちはゴミのブースにいるというだけで、どこか上から目線でみられてしまうことも多く、ボランティアで参加してくれたメンバーみんな、ほんの少しかもしれないけれど、それでもやっぱり小さな傷を負って帰っていく。ボランティアで頑張ってくれているのに、なんだか心に小さな傷を負わせてしまうのは本当に申し訳ない。だけどその傷が社会に対する優しさにつながっていくから、ぼくたちはこの小さな傷を大切な宝物にしてまた、日々の仕事に立ち向かっていく。

ぼくたちは長く生きたって100年しか生きられないけれど、僕たちが暮らすこの土壌は何百年、何千年どころではない営みの延長にある。僕は人間のはかなき人生で為すべきこととは結局、なにかを生み出すことよりも、なにかを受け継ぎ次に渡していくことなんじゃないかと思う。すべてのものづくりは、そのためにあるに違いない。優くんの楽曲だってそうだ。彼の楽曲の源にある、今を生きる人々へのまなざしは、大げさなクリエイティブの成果みたいなものを残すことよりも、あなたのその日々がいかに美しく愛おしいものかということを、何度も何度も僕たちに伝えてくれる。

フェス一つとっても、優くんや演者の人たちや音響さんなどステージ側の人たちだけでなく、そもそも会場を決めるべく奔走した人、トイレの数や位置など会場配置をギリギリまで考える人、グッズをどうするべきかアイデアを絞る人、ゴミ袋や洗剤やらの備品やお弁当などを手配する人、のぼりをたてる人、交通動線を整理する人、駐車場を案内する人、車椅子の方にも快適にみてもらえるようケアしてくれる人、お客さんたちに満足してもらえるよう飲食を用意する人などなど、それぞれの役割、そのすべてが愛おしく大切。

たま〜に嫌な顔をされてしまってもニコニコと、お客さんに自ら分別してくれることを強くお願いする人、それでもなお投げ捨てられてしまうごみの詰まった袋を開けて、運ぶ際に危険且つ、ゴミ袋を破ってしまう箸や串を取り出す人、あっという間にたまっていく重たいごみ袋を遠くの集積場まで運ぶ人、食べ残しと食べかすをゴム手袋しながら処理する人。ラーメンの汁がたっぷりたまった大きなポリバケツを台車をつかって運ぶ人、そのポリバケツに匂いがつかないように、あの寒さのなかでなお汗かきながら洗う人、洗剤もスポンジもすぐダメになるほど強烈な脂と闘いながら、せっかくもらって嬉しかったスタッフTにごみの汁が飛びまくって悲しいのに笑顔で作業してくれる人。

再掲するけれど、それがこの人たちだ。

この写真はたまたま搬出作業用に停まっていた車のヘッドライトのあかり。運転していた方に、そのまま少しライトつけておいてもらっていいですか、とお願いして撮った。この写真をみながら僕は、ある意味なんて象徴的な一枚だろうと考える。現在はまだ、みんなに大きなスポットライトが当たることはないけれど、ぼくは編集者として、いつか、この大切だけど大変すぎる作業に愛をもって取り組んでくれたみんなに最大級のスポットライトが当たるときを信じたいと思う。優くんがその使命を果たそうとするように、ぼくたちもその使命を果たしていくことで、世の中を少しづつ変化させていけたらと思う。そういう意味でも、秋田キャラバンミュージックフェスはとてもとても大切な場所。

あらためてこの素敵な空間を。学びあふれる時間を。つくってくれた高橋優に、そしてマネージメントのみなさんに感謝。+A(ction)ブースに、一瞬でも愛を向けてくださったみなさんも心から感謝します。また次回!


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