お元気なシニアの方へ、「楽生超寿」の道のおすすめ(後編)
これに関し、長寿国日本では最近とみに健康寿命に焦点があり、京都の女性の健康寿命が日本の中で一番短いことが話題になった。「スライス食パン」発祥の関西地区で日本で一番食パン消費量が多い京都市の食生活。美味なので判るが、食習慣で継続的取過ぎと健康の関係がどうなるのか個人的に関心を持っている。
一方で明治以降の肉食文化も京都の消費量はトップクラス。我々シニア層のタンパク質重視が叫ばれる中、フレイル対策からステーキを朝から食すも容易ならず、大豆たんぱく質を如何に効率的に取るか今後の課題である。
話は変わるが、幼馴染の俳優中村雅俊君から、TVドラマ制作現場での厳しい指導で有名なプロデューサの石井ふく子さんにつき聞いたので触れたい。
昭和元年のお生まれ、私の母と同じだから今年で九十七歳になられる。ドラマ制作・撮影現場では俳優たちに厳しい現役の現場監督という。元気すぎてとてもついていけないと雅俊はこぼす。
その石井さん、天職ともいえるドラマ制作の仕事を百歳超えても続ける意欲満々で,そのために七十代から定期的にお医者様に健康相談、八十代からは食事に肉食を積極的に取り入れた由。この方の元気の源にお肉(ステーキ)有りです。
トリセツ最後の第三章は、「好きな事(夢中になれること)を続けていく」姿勢と意欲です。2007年の米国映画The Bucket List(邦題は最高の人生の見つけ方)をご覧なられたかたも多いはず。この映画は余命六ケ月を宣言された癌患者二人が最後に好きなことを実行していくというストーリ。感動的映画だが我々は、限られた日々ではなく、これから切開く人生後半戦を最後までいきいきと過ごすためにこそ、バケットリストを充実させたい。
冒頭の荘周の言葉、「人生を楽しむためにこそ、天は老いを与えた」にも通ずる。七十代以降の人生後半戦を平穏な隠居生活で満足せず、第二の現役時代と位置付け、その充実のために先述の「健康で長生きトリセツ」を実行、各位で「百寿の山」を素敵に登っていきませんか。
本トリセツ第三章の「やりたいことリスト」作成は核心部分。石井さんの例では、年を忘れる程好きなことを続けるという意欲が鍵。ドラマ制作を続ける、そのために健康であること、そのため肉食がいいなら迷わず実行。こういう姿勢は大変参考になる。我々も夫々の自分道を作り、好きでやりたいこと(もの)を百項目書き出し即実行しましょう。
私の場合、家人との年一回の国内と海外旅行、孫たちと触れ合いの時間確保、昔の海外赴任地の友人達再訪、自分史(青春篇)の完成、年一回の宮中歌会始に詠進歌投稿、80・90歳でもアフリカODAへ挑戦する、印度仏教(龍樹・世親)研究を続ける、毎年新しい友人作り(Eメール・携帯電話等ツールも増えた)等すべて書き出し実行する。「WANT TO DOリスト」がいつも眼前にあり、実行の都度内容を更新すると年を数える暇などなくなりますよ。
皆さんご存じのプロスキーヤ三浦雄一郎氏御父上の三浦敬三さん。「九十八歳元気の秘密」という著書で、好きな山岳スキーを生涯続けるために、必要な運動習慣(首と舌・咽喉等)と栄養価の高い食生活(特に骨強化)を徹底されたそうです。気が付けば百寿超えてもアルプスを滑降されていたという。これが理想ですね。タイトルに掲げた「楽生超寿」。
らくに生きるとも読めますが、ここは楽しく老いを重ね、いつのまにか百寿を超えて更に走り続ける自分の姿を見つける趣旨です。人類が大還暦(120歳)の壁を超える日(注)も見えてきたこの時代に、「超寿」への思いを新たにしたい。
(注)今年の3月にオープンアクセス最大級の科学・医学雑誌PLOS ONEに掲載されたアメリカの統計学者による論考:Mortality Postponement and Compression(by Dr. McCarthy)によると、人類の現時点最長寿命とされている122歳(フランス人女性)に、今後30年程の期間で大幅な寿命延伸が可成りの確率で実現されるとの内容です。
ご関心ある方は当該論文(PLOS:3月29日付)を見ていただければと思います。
私の理解では、1910-1950年迄の生まれの方(現在70歳から110歳)を前提に、
論文の中で調査対象19の先進国にお住まいの方々は、現在の最先端医療サービスを受けられる環境に著変なければ、30年後の2060年頃を目途に、10年単位での寿命延伸(130歳代)が可成の確率で実現できそうというものである。この研究によると上記世代はまだ寿命延伸の限界点には達していないので寿命の更なる延びが期待出来るというもの。
さて、我々も右論文に背中を押されながら、各位の目指される「健康で長生きトリセツ」を実践しながら、百寿の山登りを始めませんか。
以上。