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CasheCashe

以前住んでいた所のお話

町の方にお気に入りの雑貨屋があった
その雑貨屋は行くとお茶を出してくれる
それも ちょっと洒落たお茶を...

母も私もその雑貨屋の(もはや)常連だった
寡黙な店主と お喋りが好きな明るい奥さんと引っ込み思案な娘さんには顔も覚えられていた
行けば「これ飲んでみて!とっても良い香りなのよ!」と いつも奥さんに勧められ
娘さんとは一緒に絵を描いて遊び
「この鳥の羽!かっこいい鳥の羽!売ってないんですか?」と店主に非売品の山鳥の羽を何度目かのアタックの末に ようやく手に入れることができたという...とてもアットホームな雑貨屋だった

今はその雑貨屋は少し遠くに引っ越しをして町からはいなくなってしまったが
奥さんに「これはねフレーバーティーって言って とても良い香りがする紅茶なの 〇〇ってメーカーから出ているものよ!」と教えてもらっていたのでたまに店舗まで買いに行って たまに飲んでいる

お茶の名前も可愛らしい物ばかりである .*・゚

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CasheCashe(カシュカシュ)
=フランス語で「かくれんぼ」の意味。


ある日の午後..

...昼寝から覚めたら夕方になっていた..
「早く飲まないと冷めちゃうよ?」
母が紅茶をいれてくれたようだ...
フルーティーな甘い香りを辿った先に自分のマグカップがあった...

...まだ微睡みの中...マグカップから立ち上がる湯気をぼーっと見ていた...
バレエダンスを踊る妖精...に 天に駆けて行くユニコーン 三角帽子の小さいおじさん 少し大きめな猫のような獣...手の花が開いて飛び出す植物と幻想生物や建物の数々...当時それらの名前も知らず...夢を見ているようだった...

...蓮の花の花びらが ひらり 一枚ずつ昇って消えていく...もう少しでマグカップの湯気の夢が...終わる...

CasheCashe..
湯気の中のかくれんぼ...
微睡みの...湯気の中の幻想......

     もう一度...
       もう一度...

    ...見(魅)せて...

...いつか...見つけるわ…...


...お茶は冷めていた...でも それはそれで美味しかった...𓈒𓂂𓏸

...ごちそうさまでした... 𓂃◌𓈒𓐍.*・゚

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