樹木に囲まれた「トヨタ未来都市」
有名なのだと、MicrosftやAmazonが行うスマートシティプロジェクトが挙げられる。これらは巨大な資本を保持する大企業がその拠点とする街に対し、積極的に投資をする事で長期的な視野でリターンを見込むものである。現在の都市の問題点(渋滞・環境問題・生活問題)に対してAI技術を駆使して最適解を導くこれらの活動は、SDGsを達成するという意味でも今後世界中で萌芽し始めるであろう。
-トヨタの「ウーブンシティー」-
コペンハーゲンに本社を持つ建築家集団「BIG」(ビャルゲ・インゲルス・グループ)がトヨタからの依頼によって、2020年「ウーブンシティ」と名乗るスマートシティ構想が始まった。これは自動運転技術をはじめとしたトヨタのエコシステムと相互に連携し、裾野市を中心とする日本版のスマートシティーとして2021年着工する予定である。
国内では昨年自動運転による交通事故の発生以降、市民の同意及び法規の脆弱さが表面化した事もあり実験がしばしば停滞していた。しかし現在のトヨタが所持する工場(裾野市内)の周辺では自動運転の実験が活発であり、加えてこの活動に対し裾野市役所も自動運転の規制緩和などを行っている。これらは実験現場周辺にトヨタの従業員がほとんどを占めている事(市民の同意)、街からの信頼を得ている大企業だからこそ可能だと思われる。
-今後の課題点の考察-
現在の裾野市は、1時間に一本しか来ない電車や街に訪れる人々のほとんどがトヨタ自動車の従業員であり、観光客数が少ないのが現状。スマートシティとして技術的に発展を遂げるのに加えて、電車などの他の都市と相互に接続するインフラの整備や観光客を呼び寄せるこれまで以上の魅力を引き出す必要がある。単なるスマートシティを作り上げるだけでは世界との差別化が図れず、持続性は失われていくであろう。
-コンパクトシティーという概念をスキップして、地方分散型都市社会を考える-
現状少子高齢化が著しくスプロール化が激しい日本において解決策となるのは、街を小さくまとめるか(コンパクトシティーの形成)、自動運転などによる移動の限界費用をゼロに近づけるといったものであろう。
しかし今回の新型コロナウイルスによって東京などの大都市に住む事のリスクがかなり表面化したと思われる。Amazonなどの生活物資の配達や巨大な移動インフラの発展により、地方でも都市と同様な恩恵を受けられるようになりつつ今、機能を集約しただけの均質化された都市よりも高度にブランディングされた地方が重要視されるのではないか。
今後スマートシティーの発展と共に現在の中央集権化(通貨・機能)から脱却し、その街のコンテクストを維持しながらICT技術などを駆使して街を最適化する必要があると思う。
・https://amp.review/2019/11/28/smartcity-2/(テクノロジーで都市の課題を解決するトップクラスの取り組み)
・https://amp.review/2019/11/28/smartcity-2/(世界のスマートシティーランキング)
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