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母親のこと

うまく表現できるだろうか。母親のこと。

若いころの彼女は強くて、明るくて、太陽みたいな人だった。

正義感にあふれ、まっすぐだった。

そして、障害のある長男をもったからだろうか。特に、長女の私のことを彼女は自分の分身のように考えていたように思う。

子育ての中で、娘の私が自分とは違う性格の、全く違った人格の人間だという視点が欠けていたように思う。

だから、苦しいことも多かった。

それは私でないのに、と思うことすらできない時期もあった。

彼女は私にとって絶対的存在だった。

彼女は今老いて、精神障害を後天的に負った娘の私が自分と違う人格のひとりの人間だとわかっている。

私も今彼女は完ぺきではないと知っている。

「親ガチャっていうけど、re_ecoは、かわいそうだったね。」とさみしそうに言う。

「そんなことないよ。」と私は、答えず、笑って返す。

子どものことで貧乏くじを引いたのは彼女かもしれない。

きょうだい児っていう言葉は難しい。毒親という言葉も。

私はきょうだい児の中では優等生の部類だろう。

でも、誰しも大なり小なりの間違いを犯して生きているのかもしれない。

だから、私は母親のことも責めないし、たくさん間違いを繰り返してきたであろう自分のことも責めはしない。

―私、間違うことでしか人生の針を
正しくは使えないの―
ゲスの極み乙女。「人生の針」

最近、なんだかこのメロディが頭の中をめぐって離れない。

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