THE KEBABS メールインタビュー

この度、THE KEBABSの企みに協力できることになり、メールインタビューという形でお話をお伺いすることが出来ました!

それではさっそくどうぞ!

・それぞれが第一線で活躍する中で立ち上げた理由は?
各々がバンド活動、音楽活動に携わる中、あえてこのバンドを立ち上げた理由を改めてお聞かせいただければと思います。

一緒にやりたい仲間がいてわくわくできる予感があったから。そもそも音楽作ったりバンドすることを「仕事」っていうことにすごく違和感があるんですよね。ユーザーすらもそう思ってたりするもんだから「忙しすぎ」だの「休め」だの言いますが、そもそもバンドマンって時間的にはそんなに忙しくないと思ってるんです。音楽で遊べるって、音楽を好きでい続けたご褒美みたいなものだと思ってます。大事にするものがちゃんとわかってきたこの年になってもらえるご褒美としてはこのバンドは最高です。(田淵)


・この一年で感じたこと
2019年初めの初ライブをはじめ、自主企画やフェス出演など、ライブをする機会も増えてきた中で今感じていることについてお伺いできればと思います。

ケバブスにとっては「メンバーが空いてる時間に集まって特に無理しないで超楽しいバンド音楽をやること」が最優先事項だと俺は思うから、野望とかないし、結成当初からコンセプトめいたものを定めてなかった(だからまあインタビューを受けたら答えが四者四様だと思うし足並み揃えようみたいな作戦会議もないし、他の3人が同じ気持ちかどうか知らないし、同じである必要性も感じてないんで、もし他の人と「佐々木言ってること違うじゃん!」となってもそれは「良い/悪い」じゃなくて「違ってOK」で悪しからず)。

ここまでライブをやってきた中で、和音や歌詞やビートや構成がどんどんシンプルになっていった。それって小難しい曲を作っちゃうと後々思い出すのが面倒だからというだけの理由なんだけど、この1年でだんだんケバブスのスタイルが見えてきたように感じてる。

その「初期のケバブスの雰囲気」を1つの形としてまとめたのが、ファースト・アルバムって感じじゃないかな。

でも曲をシンプルにすればするほどメンバーそれぞれが培ってきたものが露わになって、例え8ビートで3コードでも、ケバブスならではの煌めきが必ず感じられるから、1年でその面白さを発見/強化してきたと思う。

だって皆普段はそれぞれの場所でもっと複雑でごちゃごちゃした演奏とか曲とかも乗りこなしてる訳で、10年それをやってきたからこそ今になってカンタンな曲がビシッとキマるのかも知れない。

ただし、あくまでそれはここ1年で生まれたスタイルだから、今は超気に入ってるけど、でもこれから先のことは知らない。決めたくもないし誰かに決められたくもない。「このバンドはこういうもんだ」みたいな枠組みを作りたくない。と、今、感じてるのはそれかな(佐々木)


・初の全国流通盤がライブアルバムな訳は?
ライブ会場でのデモ音源や配信リリースなどを経て、初のアルバムリリースをあえてライブ盤にする意図や狙いについてお聞きできればと思います。

田淵さんが言い出した。はず。

きっかけは...ユニゾンのイベントにserial TV dramaが出演した時、イベントのためのアンケートだかインタビューだかで新井さんが好きなアルバムとしてMC5「Kick Out The Jams」を挙げたらしくて。それってMC5のデビュー盤で、田淵さんは「デビュー盤がライブ盤ってサイコーだな」ってその時思ったらしい。本当か嘘かは知らない。

もし意図や狙いを後付けするなら...
「Kick Out The Jams」は69年の作品。

後追いで知ったことになるけど、当時の風潮で言えばかっけーロック・バンドはライブでとにかくむちゃくちゃやってたと思う。MC5の地元デトロイトだとIggy PopのStoogesとかもそうだったんだと思うんだけど。

例えばMC5は喋りというか煽りというか歌じゃないところで「Motherfucker!」って絶叫しまくって強烈なグルーヴの演奏に突入していったりしてそれが一つの名物だったりするんだけど、彼らはライブでの爆発力が魅力だった訳だからそれを伝えるためにライブ盤出すのは当然だったと思う。

そしてそれが、伊藤さんの文章の前置きにあるようにバンド音楽もエンターテインメント化してって「わースタジオ録音のCD聴いてるみたいに演奏が上手」「派手な最新の照明、火ドーン、銀テープドーン、映像ハイクオリティ/アーティ、笑えるコントやMC、etc、見世物としてすげー」っていうのが上位の価値観になってくと粗さ含めたロックバンドのライブ演奏を聴かせるライブ盤ってあんま価値見出されなくなってったんだろうなと思う。

皆ライブ盤なんて出さなくなっていったし、ライブ音源ってせいぜいアルバムのオマケかなんかに入れてファンに楽しんでもらうもの(=積極的に他のコミュニティにまで届けるつもりのないクローズドなもの)になっちゃったのかも知れない。ライブ盤でバンドの本質的な魅力を伝える、みたいなやり方ってほとんどなくなってると思う。

ケバブスには、最新のポップソングを作ろうとしたり、稼ごうとしたり、今っぽくあろうみたいな欲がない。結果そうなっちゃう分には全然OKだけど。
その代わり、ギターベースドラムによるバンド音楽を心から最高じゃんって感じて演ってたいって欲はある。

もし今日までの世界が100%正しい訳じゃなくてまだ改善の余地があるとしたら(あるに決まってんだけど)...今日のメインストリーム的な価値観に合わせないで今無視され忘れかけられてる価値観に新しい魅力を付与して発信される音楽があれば、それはそれで文化的な意味があるんじゃないかな。もしまだ本当に、今よりも成長の余地や改善の余地があるなら。

でもこりゃあもうあくまで後付けです(佐々木)


・これからの野望は?
2020年はライブ盤リリースや全国ツアーも控え、より精力的な活動に期待が高まるばかりですが、形になっている、いないにせよ今後THE KEBABSがどんな野望を持って日本のロックシーンを暴れまわるのか、お伺いできればと思います。

シーンを暴れまわる、というよりはシーンに対してやや遠くから提案の意を込めて好き勝手やる、という方が近いのかもしれません。世の中全体がなんとなくの不文律に従って活動ペースやスタンスが決まっている気がしていて、それだとただ単純につまらなくなっていくなと。「バンドだったらもっと気軽にライブハウスに出るだろ」「所詮バンドなんだから偉そうにしすぎずもっと自由にやればいいだろ」みたいなことを活動の中で表現できたらなと思っています。自身の別の活動の中では上に書いたこととは逆のスタンスを取っている部分も多いですが、活動形態や環境・ユーザーのタイプによってそれは柔軟に変えて適応していってよいと考えています。(田淵)


・メンバーそれぞれが作詞や作曲をしておりますが、ここは面白い!と感じたり刺激を感じた瞬間はありますか?
THE KEBABSの楽曲は個性的な世界観を感じるものが多いので、メンバー内でもこの曲は面白いななどと制作中に感じたエピソードがあればお聞きしたいです。

田淵さん
他メディアのインタビューでは、彼がよく「ケバブスをやっていると、こんなにカンタンな曲でも曲って呼んで良いんだ、って思う」と発言していて、それは興味深く感じる。

カンタンな曲を作るのはカンタンだけど、カンタンでかっけーと思える曲を作るのはカンタンじゃない。あんだけ複雑な曲を書いてきた人だからこそ書けるカンタンな曲なんだと思う。

「「猿でもできる」っていう歌詞が2行しかない曲書いたから!佐々木、歌詞覚えられないって言わせねえぞ」って嬉しそうに言ってた時の顔は、ラクしてるやつの顔じゃなくてワクワクしてるやつの顔だったし

新井さん
「メリージェーン知らない」って彼の曲、例えばエモーショナルな言葉を乗せても似合うであろう綺麗なメロディーを持った曲なんだけど、この歌詞を受けいれて表現すること自体が彼のケバブスへのモチベーションを象徴してる気がする。

モチベーションを持たないというモチベーション。それを楽しむこと。

でもどんなにシンプルな曲でも、常にプロデューサー的な目線があって、そのことが彼がこの10年どう音楽をやってきたかを表していると思う。

いつも全体のバランスを考えてくれるけど、それは平均的に/なだらかにするためのバランスじゃなく、どうしたらすっごく変ですっごくポップになるか、振り切れた形に持っていくためのバランスを取ってくれる

浩之さん
シンプルにスーパードラマーだと思うんで存在が刺激的。すごく力強くドラミングすると、「ぶっ叩いてる感」だけが出てしまって音は潰れちゃうもんだと思うけど、彼はどんなにぶっ叩いても器楽的に「鳴ってる状態」で演奏してしまう。

という話を新井さんにしたら「だって浩之さんは楽器選びからチューニングまで、そうなるように自分でこだわり抜いてるから」だって。そりゃ、色んな演奏の現場に呼ばれるよな。

彼はクライアント的存在がいるところで演奏することも多いと思うから(もちろんそれは「良い/悪い」ではない)、なんでもアリのケバブスを1番楽しんでいるのはもしかしたらひろゆきさんかも知れない。

ケバブスのスタジオ盤は1曲もクリック聴いてないし、2テイクくらいしかプレイしてなくてあの録音なんだから、バケモンだな~と思う(佐々木)


・初ライブの時点で持ち曲がワンマンライブが成立する度ありましたが、世に出ていないものを含めるとどれくらい楽曲はありますか?
特に田淵さんにお伺いしたいのですが、THE KEBABSの楽曲として思いついているものは、形になっていないものも含めるとどのくらいあるのでしょうか?今後のTHE KEBABSの展開としても気になるのでお聞きしたいです。

最初の方に鼻息が荒くなりすぎて作りまくったデモの余りは沢山あるのですが、活動を進めていくによってこのバンドの得意とするところ、オリジナリティがでるところがどんどん鮮明になってきた気がしていて、そう考えると新しく作っていく曲は最初のデモたちをわざわざ使わず新しく作っていく方が合っている気はしています。このバンドはスタジオでセッションで作る→ICレコーダーで録る→歌詞つけて歌のっける→完成!みたいな流れで楽に作れるバンドだったらいいなあ、とは最近考えてます。“恐竜あらわる”はそんな感じで生まれました。(田淵)


※追記 THE KEBABSサイドの申し出により、この記事においてはサポートを受け付けない形をとらせていただきます。ご理解の程よろしくお願いいたします。

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