紅い糸 ep9
~現在~
走り去っていく希の背中を啓斗はただ眺めていた。
''姉''?意味がわからなかった。キメてんのかとも思ったが、何か違う。なにか自分に訴えかけている。そう六感が言っていた。
走って追いかけると、希は公園の滑り台の1番下でうずくまっていた。関わるべきかなんてとうにどうでもよかった。
啓斗「ねえ、希さん。姉ってどういう意味?」
希「自首しようとしたんだけど…あなたに伝えなくちゃと思って…。」
酷く脅えた様子の希は続けた。
希「警察は証拠不十分で終わらしたから、途中で啓斗に言わなきゃと思って、変人のフリして、逃げたの。」
自分の質問には応答せず、訳の分からないことを言う希の言葉を黙って聞いていた。
希「あのね、ごめん。。やっぱり今度にしたい。話すの。」
啓斗「……俺は君に何をすればいい?」
希「いいの。貴方はそのままでいて。それでいつか私を…。」
そう言うと立ち上がりとぼとぼと希は歩いていった。 臭かった。何だか何かを混ぜた匂い。でも何故か居心地がいい。啓斗はタバコを切らしていることに気がつき、小走りでコンビニに向かった。