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紅い糸 ep1
昼前のアンティーク・カフェは若いカップルや女子会で賑わっている。
啓斗は待ち合わせ場所をここにした事を少し後悔していた。
''トマト''ちゃんが出来れば人の賑わいがある所がいいと言ったのだ。そんなこんなで写真通りだといいなと淡い期待を抱きつつ、アイスコーヒーを胃に流し込んだ。
トマト「ねえ、啓斗くん?」
突然肩を叩かれて少し変な声をあげてしまい、初っ端からダサい所を見せた。
端麗な黒い長髪、紅色の唇、つり上がった大きい目。期待以上だった。そしてどこか懐かしさを感じる。
トマト「ここ、お気に入りなの。ごめんね、気に入った?」
うん。と緊張しているのが丸わかりな返事を他所目にトマトはスマートに椅子に腰掛けた。
啓斗「と、トマトちゃんはなんて呼べばいい?」
声量をミスった挙句、突拍子もない質問に周りの視線が気になった。
トマト「え?トマトちゃんって言ってるじゃん笑。なんか、啓斗君かわいいや。」
小馬鹿にしたようにクスッと笑い、その後名前を名乗った。
希「希だよ。希望の希でのぞみ。」
さっきの仕返しに鼻が少し高かった希をあれ、新幹線?とバカにしてやろうかと思った考えはコーヒーと共に飲み込んだ。何故なら自分の鼻も大きいからだ。
なんて考えてる隙に希の顔は自分の顔を覗き込んで言い放った。
希「さっきさ、私ね…人を殺したの!」
啓斗「は?」
アイスコーヒーの氷がカランと音を立てた。
嫌に響く音だった。