紅い糸 ep3
~現在~
希「私さっき人を殺したの!」
啓斗「は?」
しまった。ヤバいやつだった。これだから出会い系は信用ならない。こんなに綺麗な人だ。ビジネス勧誘や、宗教でもない限り、こんな俺に愛想良く振る舞うわけが無い。
とことん自分の運の無さに嫌気がさした。
希「どうしたの?目が泳いでる。」
啓斗「あ、はは。いや突然だったから。びっくりだよ。」
希「別に君の事まで取って食ったりしないよ。」
啓斗「それは冗談? それなら笑えない。」
希「んー?冗談…かも? ちょっとさ、散歩しない?」
希の提案は何故か心が踊った。 好奇心が大勢な訳でもないし、面倒事は避けたい。 でも何故か、何故かついて行くべきだと感じた。…運命ってやつなのか?
二人はカフェ後にし、並木道を歩いていた。
啓斗「こーゆーのってデートの最後の方にするもんじゃないの?」
希「本当にデートのつもりなの?ヤリモクだったと思ったんだけど。」
あまりにも穏やかな表情で言うものだから、一瞬言葉の意味が分からなかった。
啓斗「なんていうの?…その、最初はそのつもりでも話してる内にこの人とは真剣でいたいって時あるじゃん?」
希「なにそれ告白?」
凄く綺麗に笑う希を見ているとさっきの殺人犯発言を忘れてしまいそうになる。
仮にこの人が本当に殺人犯だとしても僕は警察に連絡はしないだろう。 これは確か俺も捕まってしまう法律があった気がするが、自分には関係がない事だ。 自分はそれほどまでに悪人でもなければ善人でもない。 きっとこんな性格が後にひけなくなるんだろうな。
次のデートの約束をした2人はラーメンを食べた後、帰ることにした。
希「啓斗君、ホント楽しかった!なんか最初は芋臭いな…って思ってたけど意外と男らしいし…。笑」
最後に少し腹が立つ事を言ったあと返事を待たずに彼女はもう居なくなっていた。
家に帰ると母の姿は無かった。おかしいな、こんな時間に…。