ガンダムWの感想
Abemaの一挙放送で久しぶりに通してみました。
EWは初見です。
良いところも悪いところも記載してます。
コミカライズや小説版は未読です。
1クール目の面白さがすごい
みんな(誰?)言ってますが、ガンダムWの1クール目(細かく言うと1話~10話)の面白さがすごいです。特に1話は歴代ガンダムで上位を狙えるほどのインパクトがあります。
お前を殺す…(デデン!)などのセンセーショナルな場面もありますが、
主人公サイドの行動がどう見てもテロなんだけど…どうなっちゃうの!?
ヒイロがガンダムと一緒に吹っ飛んだけど…どうなっちゃうの!?
など、衝撃のシーンが次々と出てくるので目が離せません。
キャラの様子や言動がおかしいとか色々言われていますが、1クール目の時点では些事です。
ヒイロの一見すると荒唐無稽なキャラもこの時点では個性のうちですし、ストーリーが続けばそのうち真意が見えてくるんやろうな…という期待を抱かせる「引き」の演出が本当に上手いです。これは期待しちゃいます。
2クール目も超面白い
改めて通して見たら2クール目もメチャクチャ面白い!と考え直しました。
以前は10話から右肩下がりだな…と思ったのですが、話を理解してから見る主人公チームの迷走(言葉通りの意味です)は物語に深みが増すし、キャラの描写にも厚みが出ます。
世界情勢が目まぐるしく変化していく中で、生きる意味も、理由さえ失った少年たちがそれでも生きようとあがく悲喜こもごもは、心苦しくも見応えがあります。
あのヒイロが自分の行いに罪悪感を抱き謝罪行脚する話が好きです。ヒイロは殺戮マシーンとかではなく、ちゃんと人らしい感情を持っている善良な人間なんだよ…ということをきちんと描写しようとする意思を感じます。これに付き合うトロワも本当に良いやつです。
このクールは「溜め」のターンだと思います。敗走しボコられ続ける少年たち。しかし、この後に反撃のターンがあるに違いない…と視聴者は期待するわけです。いわゆる修行パートみたいなもの。
最初の方が面白ければ多少の中だるみがあっても「後から挽回するかも」と希望を持って見続ける人が多いので、ガンダムWが大人気になり支持を受けたのは、2クール目も好意的に感じた人が多かったからなのだと思います。
ほんと上手い事やったなあと思いました。
リリーナというキャラについて
エンディングの強すぎる眼力が印象に残る彼女ですが、制作側が「完全平和主義」をどう扱っていいかわからず、結果、それを主張するキャラの扱いもぐだってしまった、などと言われたら同意してしまう程に扱いに難が見られました。
彼女の役回りは2クール目までは突っ込みどころのある行動を取りつつも、この時点ではそれも個性のうちに入るのでそんなに問題ないです。というか2クール目は出番があんまりないです。(これもどうなんだ)
出番が増え始める3クール目(30話くらい)からの彼女の描写には常に疑問がついて回りました。話がぐだってるな…と思うとたいてい彼女が出てきている。
周囲の大人の都合に振り回された少女…と言われれば、彼女も被害者として見ることも可能なのですが、それにしたって扱いが雑すぎる。
王女(クイーン)となってから放逐されるまでのあっけなさはRTAのようなスピード感がありだいぶギャグです。
このアニメは体制がころころ変わるのですが、その過程で「リリーナ派」という派閥が単独で出来ていても良いのに(特にOZリリーナ派がいたはずなのに、そんなホイッと放逐されて良いのか)そういう派閥が出来なかったのも違和感があった。ただ、派閥が生まれたところで衝突は免れないので敢えて作らなかったのかなとは思います。
(ガンダムチームがリリーナ派と言えばそうなのかもしれないが、ナレーションでは中立派と言われてたような気がする)
レディ・アンが彼女の父を暗殺した件について「復讐は何も生み出さない」としたのはありきたりとは言え立派でしたが、レディはもうちょい時と場所を考えて欲しかった。
5人の少年たち
ガンダムWの人気を不動としたのが5人の少年たち。カトルと五飛(かなりギリだけど)以外の3人は素性がわかりません。
さすがにヒイロの過去描写はあるよね?と思ってたのに、偽名ってことくらいしかわからなかったからすごい。今じゃこんなんやれない気がする。
先述した通り五飛も住まいのコロニーとそこでの人間関係が多少描かれるだけでまあまあギリなのですが。
でも、そういう過去描写がなくても人気だったのは、キャラそのものの魅力が抜群に良かったのもあるし二次創作欲を掻き立てるのに丁度良かったんだろうな。顔も良いし。
物語に「隙」があった方が二次創作が捗るのはいつの時代も変わらない。
先見の明がありすぎる「モビルドール」
無人戦闘機のモビルドールは作中でトレーズ様が批判しておりました。
要約すると「人間同士が戦うのが美しいのであって、モビルドールのような人形で戦うのは自分の思想に反する」ということになるんでしょうか。Wikiで調べたので多分合ってると思います。エレガント語難しすぎるな。
戦闘機が無人化、つまりAIなどで自動化されてしまうと兵士があぶれたり様々な影響が出る訳で、もし現代だったらもっと別の、地に足がついたアプローチになっていたんだろうと思います。
この時代に自動化された無人の戦闘兵器への危険性を説いたのは先見の明があるなと感心しました。
トレーズ様の思想的にはガンダムファイトの方が向いているのかな?
トリックスター?ドロシー・カタロニア
松井さんガンダムメッチャ出るな…。(ZZのルー・ルカからVGW出ずっぱり)
「完全平和主義」を掲げるリリーナのカウンターとして用意されたキャラだと最初は思いました。
彼女は戦争が好きなのでリリーナの逆鱗に触れそうなセリフばかり喋ります。視聴者としても若干イラッ…とするのですが、対するリリーナの主張もなんかよくわからないので、結果的にヘイトが相殺されているように感じました。
彼女はカトルのエピソードを補完するために登場したキャラなんだなと、カトルvsドロシーのフェンシングで思いました。
彼女は本当は優しい人、というカトル評は色々やらかしたカトルが言うのなら本当にそういう人だったんだろうという妙な説得力があります。脆い本心をエキセントリックな言動や振る舞いで隠していたってことなのかしら。
父を亡くしたという境遇はリリーナとも似ているため、彼女を煽り続けたのは辛い気持ちを共感して欲しかったという不器用な気持ちの裏返しだったのかな…。リリーナが「あなたは本当は心優しい人なのですね」と発言したらどう思ったのか気になります。
もうちょっと徐々に掘り下げしてほしかったなと思うキャラでした。
超絶神作画OVA「EndlessWaltz」
OVAというのは「オリジナル・ビデオ・アニメ」のことで、近頃ではあんまり見ない単語かも。
今ではアマプラとか配信で気軽に見れますが、当時はVHSで1巻1万近いお値段だったと聞いております。
TV版で明かされなかったガンダムチームの過去や、リリーナの提唱する「完全平和主義」の落としどころが上手く、これをどうしてTV版でやれなかったんだろう…とギリギリしました。
平和は自分達の力でつかむということ…リリーナの呼びかけを受け民衆が立ち上がるシーンはすごく良くて泣いちゃいました。こういうカタルシスもTV版にはあまりなかったな…。
リリーナに希望を見出していた人たちや、ゼクスがリリーナを高く評価していたのはこういう気持ちだったんだな、とEWを見てやっと腑に落ちました。
武装の完全廃止は突っ込みたい気持ちもあるんですが(抑止力として所持していた方がいいと思う)「完全平和主義」を掲げる以上、徹底したやり方は潔くて逆に好感度が高くなりました。
ガンダムチームの過去…ヒイロの過去は前期OPのぬいぐるみってそういうことだったのか~じゃあTV版の頃から想定されていたのかな?どうしてTV版に入れなかったのかな…とか思ってしまって…。
トロワは別の人になり替わったってことで合ってるのかな。じゃあトロワの本当の名前は?最後まで見てみました!わかりませんでしたが、いかがでしたか?(ズコー)
五飛はランボーみたいになっていてかわいそうだった。ここを掘り下げたら面白くなりそうだったのになあ。もったいない。
マグアナック隊が相変わらず士気の高いカトルファンクラブで、ずっとカトル様を守っておくれ…と思いました。
デュオはエンディングクレジットでヒルデとの関係が続いているというのがわかるくらいで、色んな配慮を感じました。(当時デュオの人気は本当にすごかったのでヤバい人間もいた)
作画は本当に素晴らしく、売れるってこういうことなんだな~と実感させてくれます。
【怪作】ガンダムW
ガンダムWの1クール~2クール目はメチャクチャ面白いと思ってるんですが、30話からやっと話がまとまってきたという人もいて、本当に色々な視点があるなあと思う。
また、ガンダムWがよくわからない…的な発言をすると「難解なのでw不勉強だと理解出来ないかもwでもまあ人気出たしw逆張りですか?w」みたいな煽りを食らうのもWの特徴だと思っていて、この感想も上げるか迷ったんですがまあええか…と思って投稿しました。
私はフィルム(TVアニメ)で描かれていることが全てだと思っているので、他媒体(コミカライズや小説)は考慮に入れてません。監督交代の事情とかも。
本当ならEWもそんな感じの扱いなんですが、EWがないとモヤモヤが浄化出来ないのでOVAという媒体ながら今回の感想に追加しました。
TV版しか見てないって人はガンダムWのキャラを調べると「そ、そんなの知らなかった…」とかいう設定が続々出てくるので面白いですよ。
「宇宙の心」って結局何だっだんだよ~~~!!!!
おわり