見出し画像

夢を守る魔法の大冒険——4歳女の子と2歳男の子の物語

最愛の娘と息子へ
二人の子ども時代が魔法に満ちたものになりますように。
 

4歳の女の子と2歳の男の子の物語


目次
前書き
第一章、私は魔法使いになりたい
第二章、ホグワーツからの手紙
第三章、ホグワーツ特急
第四章、吸魂鬼(ディメンター)
第五章、守護神の呪文(パトローナス・チャーム)
第六章、ホグワーツ魔法魔術学校
第七章、組分け帽子
第八章、魔法薬学と闇の魔術に対する防衛術
第九章、不審な訪問者
第十章、ダンブルドアの記憶
第十一章、図書館の秘密
第十二章、禁じられた森
第十三章、空飛ぶ魔法の車
第十四章、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ(ウィーズリー魔法いたずら専門店)
第十五章、再会
第十六章、新たなる不死鳥の騎士団(フェニックス・オーダー)
第十七章、夢喰い(プレデター)との戦い
最終章:夢を守る戦い
 
前書き
私は夫と一緒に『ハリー・ポッター』の映画が大好きで、彼は原作の小説のファンでもあります。
そして、私たちの初めてのデートで観た映画が『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』だったため、J.K.ローリングが創り出したこの作品に特別な想いを抱いています。
この素晴らしい作品が、私の子どもたちにも幸せを届け続けてほしいと願っています。
先日、私たちは娘と息子を連れて東京のハリー・ポッター スタジオツアーを訪れました。
4歳の娘はすでに『ハリー・ポッター』シリーズの映画をいくつか観ており、さらに私と夫がプレイしていた『ホグワーツ・レガシー』を最初から最後まで見届けたことで、世界観への理解が深まっていました。
その日、彼女は完全に魔法の世界観に没入し、帰宅すると「すごく楽しかった!」と大喜び。そして、ハリー・ポッターを観たすべての子どもが必ず聞く、あの質問を私に投げかけました。
「いつかホグワーツからお手紙を届くの?」
その後、娘の写真や動画を整理しているうちに、ある物語が頭の中に浮かびました。
魔法界とは無縁のマグルの家庭に生まれた4歳の少女が、特例でホグワーツ魔法魔術学校に入学し、彼女だけの魔法の旅を始める――。
そう思い立ち、娘のために短編の二次創作を書き、おやすみ前の物語として読んであげることにしました。これが、彼女の成長を記録する一つの形になればと思っています。

注意事項:
1、私の書く二次創作は、原作の設定や細部と異なる部分があるかもしれません。ご了承ください。
2、私の娘の物語の並行世界では、ダンブルドア校長はまだ健在であることにしています。
3、全編、4歳の娘の視点で展開されます。
 



一、私は魔法使いになりたい

私は4歳。物心ついた頃から魔法の世界にずっと憧れていました。
パパとママはいつも優しく微笑みながら、「この世界には魔法が存在していて、世界で一番素晴らしい魔法の学校があるんだよ」と教えてくれました。
魔法界には『生き残った男の子』と呼ばれる有名な魔法使いがいます。その名はハリー・ポッター。私は彼の勇敢な冒険物語に夢中になり、いつか自分も彼のような勇気ある魔女になりたいと強く願っていました。
毎晩ベッドに入ると、私はそっと目を閉じて、心の中でお祈りをします。
「私にも、ホグワーツ魔法魔術学校から手紙が届きますように……!」




二、ホグワーツからの手紙

ある日のこと、パパとママが興奮した様子で私のところへ走ってきました。
「おめでとう!魔女になれるよ!ホグワーツから君宛ての特別な招待状が届いたんだ!」
パパの手には、私が夢にまで見た、あの伝説の『ホグワーツ入学許可証』がありました。
私は嬉しくて、信じられない気持ちで飛び上がりました。
「ほんとに!?私、魔法界に行けるの?」
パパとママは笑いながら、「4歳でホグワーツに招かれるなんて本当にすごいことだよ!」と言いました。まだ幼い弟は何が起きたのか分からない様子でしたが、私が喜ぶのを見て一緒になって飛び跳ねていました。
その夜、私は興奮のあまりなかなか眠れず、ママに何度もお願いしました。
「ねえママ、もっとハリー・ポッターとホグワーツの話をして!」
ホグワーツでの素敵な日々を想像しては、どんな友達と出会えるのかと胸を膨らませていました。
「早く入学の日が来ないかな!」
 


三、ホグワーツ特急
入学の日を待つ間、私はパパとママ、弟と一緒にダイアゴン横丁を訪れ、魔法の杖や魔法薬学の道具を揃えました。
いよいよ旅立ちの日がやってきました。私はドキドキしながら、キングス・クロス駅へと向かいました。
魔法のホーム、9と¾番線を通り抜けると、真っ赤なホグワーツ特急が目の前に止まっていました。
列車の中を歩いていると、なんとそこには、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの姿が!私は胸がいっぱいになり、恥ずかしくて声をかけられませんでした。
その時、ハリーとハーマイオニーが私を見つけて手を振り、笑顔で声をかけてくれました。
「え?4歳でホグワーツへ入学するの?本当にすごい勇気ね!」
ハーマイオニーの言葉に励まされて、私は初めて自信を持ちました。
「きっと立派な魔女になる!」




四、吸魂鬼(ディメンター)

突然、列車の空気が冷たくなりました。胸がぎゅっと締め付けられ、なぜか突然、パパやママ、弟と離れる寂しさに涙が溢れそうになりました。
窓ガラスが凍りつき、ハリーたちの表情も険しくなりました。
「ディメンターよ、何かを探しているみたい」ハーマイオニーが小声で教えてくれました。
列車の奥から不気味な影が近づいてきました。
 ハーマイオニーの後ろに隠れながら、私は震えながらも列車の最後尾へ向かいました。そこには氷のような冷たさを放つディメンターが侵入しようとしていました。




五、守護神の呪文(パトローナス・チャーム)

「大切な家族を強く思い浮かべて。愛と勇気を信じて、『エクスペクト・パトローナム!』と唱えるのよ!」
ハーマイオニーが励ましてくれました。
私は目を閉じ、パパやママ、弟を思いました。
すると胸の中に温かな光が広がり、震えながらも大きな声で叫びました。
「エクスペクト・パトローナム!」
まばゆい光が現れ、小さなウサギの守護霊が跳ねました。その輝きはディメンターを遠ざけ、ハリーたちの守護霊とともに恐ろしい存在を追い払いました。
「やった!私、本当に魔女になれたんだ!」私は喜びと感動で胸がいっぱいになりました。
 ディメンターとの戦いの後、私は疲れ切ってしまい、いつしか眠りに落ちていました。
夢の中で私は再びディメンターと対峙していました。恐怖に震える私の背後に、ぼんやりと光る姿が現れました。振り返ると、そこには優しく微笑むパパとママが立っていました。さらにその横には、小さな手で一生懸命に私の手を握る弟の姿もありました。弟はまだはっきりとした言葉を話せないけれど、その瞳はまるで「ねぇね、怖がらないで!」と私を励ましているかのようでした。
 


六、ホグワーツ魔法魔術学校
目が覚めると、ハーマイオニー先生が私をそっと起こしていました。窓の外を覗くと、ホグワーツ特急はすでに目的地に到着していました。
さっきまでの怖さはすっかり消え去り、目の前に広がる美しく神秘的な魔法世界に、私はすっかり魅了されていました。
「パパやママ、そして弟にも、この素敵な景色を見せてあげられたらいいのに…」私はつぶやきました。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人は、大切な話があると言って、「世界一偉大な魔法使い」と呼ばれるダンブルドア校長のもとへ向かいました。私はその間、大きくてひげがモジャモジャの巨人のような男の人、ハグリッドに預けられました。
初めて見るハグリッドの大きさに私は驚きましたが、彼が話し始めると、その優しく温かな瞳にすぐに安心しました。
「ハリー・ポッターが初めてホグワーツに来た時も、君ほど若くはなかったよ。君はきっとホグワーツの歴史で一番若い入学生だろうな!」ハグリッドは微笑んで言いました。
周りには年上のお姉さんやお兄さんばかり。私は急に恥ずかしくなりましたが、みんながすぐに近づいてきて、優しく声をかけてくれました。一緒に小さなボートに乗り込み、みんなは道中、魔法界の不思議な話をたくさん教えてくれました。
おかげで私はもう怖くありませんでした。そしてついに、夢の中で何度も見たあの場所が目の前に現れました。
「これがホグワーツ…!」
目の前にそびえる壮大で神秘的なホグワーツ城を見上げ、私は胸いっぱいの感動を感じました。
 
 




七、組分け帽子

小舟で湖を渡る間、先輩たちが教えてくれました。「ホグワーツに着いたら、まず『組分け帽子』をかぶって、どの寮に入るかを決めるんだよ。」
その夜、大広間に入ると、天井には無数のろうそくが揺れ、満天の星空が広がっていました。そして中央には、優しい微笑みを浮かべた、長い白ひげの老人が立っていました。
「あれがダンブルドア校長…!」私は目を輝かせました。
ダンブルドア校長は優しく言いました。「ホグワーツに集った皆さん、魔法を学ぶ権利は、マグル出身であろうと魔法族であろうと、誰にでも平等にあります。」
校長が手を叩くと、何もなかったテーブルには美味しそうな食事が一瞬で現れました。私の大好きなフライドチキンやポテトも並んでいます。
すると突然、周りに幽霊たちがふわりと現れて、私は驚いて目を覆いました。「大丈夫だよ!」と先輩たちが笑って教えてくれました。「幽霊たちは怖くないし、とても優しいんだから。」
組分けの儀式で、私はハリー、ロン、ハーマイオニーがいたグリフィンドール寮に選ばれました。組分け帽子は私に言いました。「ホグワーツ特急での勇敢な行動を見たぞ。だから君はグリフィンドールだ!」
グリフィンドール塔の自分のベッドに案内され、初めて家族と離れて眠る夜を迎えました。
私は寂しさをぐっとこらえて、自分自身に誓いました。「きっと勇敢な魔法使いになって家族に会いに帰ろう!」
 
 




八、魔法薬学と闇の魔術に対する防衛術

ホグワーツでの最初の朝を迎えました。朝食のテーブルは、ふわふわ浮かぶパンケーキや温かいかぼちゃジュースで賑やかでした。胸を躍らせながら、私は分厚く重たい魔法薬学の教科書を抱え、先輩たちと一緒に教室へ向かいました。
教室の扉を開けると、そこには色とりどりの薬瓶が壁いっぱいに並び、不思議な匂いが漂っていました。なんと、その授業の先生はハーマイオニー先生でした!彼女を見て、私はすぐに安心しました。
「さあ、皆さん。」ハーマイオニー先生は微笑みながら授業を始めました。「今日はハリー・ポッターが持っていた透明マントからヒントを得て作られた、透明薬の調合方法を学びますよ。」
授業が終わる頃、ハーマイオニー先生が突然みんなの前で言いました。「今日は私たちの中に、ホグワーツで最も若くて勇敢な魔女がいます。みんな、彼女の勇気に拍手を!」
突然のことに驚きましたが、周りのみんなが暖かな拍手を送ってくれました。先生は私に調合した透明薬を手渡し、にっこりと微笑んで言いました。「これを勇気のご褒美として贈ります。いつかきっと役に立つ日が来るでしょう。」
次の授業は、誰もが楽しみにしていた闇の魔術に対する防衛術の授業でした。
教室に入ると、そこに立っていたのはハリー先生でした。彼は真剣な顔つきで授業を始めました。「最近、アズカバンのディメンターが暴れ始めています。今日は防衛のための呪文をいくつか練習しましょう。」
ハリー先生は「エクスペリアームス」や「エクスペクト・パトローナム」など重要な呪文を教えてくれました。「君がホグワーツ特急でディメンターに立ち向かった勇気を、僕は忘れません。」と先生は言いました。そして最後にこう教えてくれました。「どんな困難な時でも、勇気と愛を忘れないで。それこそが最も強力な魔法なんだ。」
授業が終わると、私はぐったりと疲れていました。グリフィンドール塔の自分のベッドに横たわりながら、家で私の帰りを待つ家族のことを思い浮かべました。
「早く立派な魔法使いになって、みんなに会いに帰ろう。」私は自分自身に強く誓いました。
 
 


九、不審な訪問者
三日目の朝、私はいつものように授業へ向かう準備をしていましたが、そのときフクロウが一羽やってきて、小さな巻物を落としていきました。それはダンブルドア校長からの手紙でした。
「急ぎ校長室まで来てほしい。君に伝えたい大切な話がある。」
まだホグワーツの複雑な廊下で迷ってしまう私を見て、先生たちは特別な地図をくれました。それは、あの伝説の『忍びの地図』を改良したもので、行きたい場所へと導いてくれる魔法の地図でした。
地図に従って校長室へ着くと、中にはハリー先生とハーマイオニー先生、そしてダンブルドア校長が真剣な表情で待っていました。
「よく来てくれましたね。」ダンブルドアが静かに口を開きました。「実は、勇敢な君にしか頼めない重大な任務があるのです。」
「魔法を知らないマグルの子どもが、どういうわけかホグワーツ城に入り込んでしまったんだ。」ハリー先生が心配そうに説明しました。
ハーマイオニー先生も優しく言葉を添えました。「お願い、誰にも気づかれないよう、その子を見つけて安全にここまで連れてきてくれるかしら?」
戸惑う私にダンブルドアは微笑みながら言いました。「大丈夫です。君には魔法が味方してくれるでしょう。自分の心に従いなさい。」
校長室を後にし、私はふと閃きました。「忍びの地図なら、その子がどこにいるか教えてくれるかも!」
急いで地図を広げて見ると、城の八階に小さな点が浮かび上がっていました。しかし実際にその場所へ行っても誰もいません。不思議に思いながら三度目にそこを訪れたとき、突然目の前に扉が現れました。
その扉を開けると、そこには信じられない光景が広がっていました。私のマグル世界の家、自分の部屋そのままの景色がそこにありました。そして、そこには見慣れた小さな姿が座っていました。
なんと、そこにいたのは私の弟だったのです!
「君だったのね、ホグワーツに入り込んだ小さな不審者は。」私は驚きを抑えきれませんでした。すぐに弟に透明薬を飲ませ、他の誰にも見つからないよう慎重に校長室まで連れて戻りました。
 


十、ダンブルドアの記憶
弟がホグワーツに現れたことが良いことなのか、悪いことなのか、私はまだ分かりません。不安な気持ちを抱えながら、私はダンブルドアに言いました。
「校長先生、このホグワーツに迷い込んだマグルの子どもは私の弟です。彼はきっと悪気があったわけではありません。どうか許していただけませんか?」
すると、ダンブルドア、ハリー、ハーマイオニーは微笑みました。
「もちろん、彼が故意にやったわけではない。誰も責めたりしないよ。」ハリーが穏やかに言いました。
ダンブルドアはハーマイオニーを見つめながら言いました。「ハーマイオニー、彼の隠れた魔法を解除してくれ。」
ハーマイオニーは頷き、杖を掲げると、聞いたことのない呪文を唱えました。杖を一振りすると、突然、弟の姿が目の前に現れました。
彼は周囲をきょろきょろと見渡しながら、なぜここにいるのか分からない様子でした。しかし、私に気づくとすぐに駆け寄り、満面の笑みで「ねぇね!」と私に抱きつきました。
ダンブルドアは私たちの手を取り、校長室の奥にある銀色に輝く大きな水盤——憂いの篩(ペンシーブ)の前へと導きました。
「今から、君たちに見せたい記憶がある。準備はいいかい?」ダンブルドアは静かに問いかけました。
私は戸惑いながらも頷き、弟も私を真似して頷きました。
ダンブルドアは杖を自身のこめかみに当てると、銀色の糸のような光を引き出し、それを憂いの篩へと落としました。
瞬間、私たちは水盤の中へと吸い込まれ、次の瞬間、見知らぬ場所に立っていました。
目の前にはダンブルドア、そして見慣れた顔——私のパパとママがいました。さらに周囲には、何人もの見知らぬ魔法使いたちが集まり、深刻な表情で話し合っていました。
私は次第に状況を理解し始めました。弟は、パパとママ、そしてハリーたちによって隠され、私と共にホグワーツへ送り込まれていたのです。
ハリー、ロン、ハーマイオニーは私たちを守るため、ホグワーツ特急に同乗し、弟は『必要の部屋』に匿われていました。その部屋は彼の願いに応じて、私たちのマグルの家そっくりの空間を作り出していたのです。彼はそこで安心して二日間を過ごしていました。
その後、血縁魔法が発動したため、血の繋がりのある者でなければ彼を見つけ出し、『必要の部屋』から連れ出すことはできなかった。
これは、ダンブルドアたちが魔法を持たないマグルの子どもたちをより安全に守るために考えた方法だった。
 
しかし、なぜこんなにも厳重に守られなければならなかったのでしょう?
私の疑問に気づいたのか、ダンブルドアは優しく微笑みながら言いました。
「今はまだその答えを話す時ではない。しかし、魔法界には未だに闇が潜んでいる。そして、マグルの子どもたちにとって決して優しくない世界があるのだ。だが君には、純粋に魔法の世界を探求してほしい。その時が来れば、すべてを明らかにしよう。」
ハリーが補足しました。「今後、必要の部屋は君たちのために開かれるだろう。血縁の魔法の力で、君が彼のそばにいる限り、強力な保護がかかる。」
そう言うと、ハリーは額の前髪をかき上げ、そこにある稲妻の形をした傷跡を私たちに見せました。
「この傷がその証拠さ。僕もかつて、愛の魔法の力で守られた。」
ハーマイオニーはポケットから数本の小瓶を取り出し、それを私に手渡しました。
「これは透明薬よ。それから、透明化を解除する呪文も教えておくわ。」
それ以降、私は弟と共にホグワーツでの生活を送ることになりました。
彼は年齢が若すぎるため正式な生徒としては入学できませんでしたが、私はどこへ行くにも彼を連れて行きました。授業の間は『必要の部屋』で待たせ、時には透明薬を使って一緒に移動しました。
さらに、忍びの地図のおかげで、いつでも弟の居場所を確認することができました。
 
 
 
(注) 本作の設定では、血縁の魔法が改良され、犠牲を伴わずとも血縁の愛だけで保護が発動する。ただし、危険に直面した際には、自動的に術者よりも被術者が優先的に守られる仕組みとなっている。
 



十一、図書館の秘密

ダンブルドアの記憶を見たことで、私の中に新たな疑問と好奇心が生まれました。私は弟とともにホグワーツのあらゆる場所を探索することにしました。授業を受けながらも、空いた時間を使って校内を巡り、ホグワーツの歴史や魔法に関する本を読み漁ることにしました。
しかし、毎晩パパとママに会いたいと泣いていた弟を見て、私が何よりも気になっていたのは、「弟を外の世界へ戻す方法」でした。
ハリーやハーマイオニーは、「パパとママは大事な任務を果たしている。ここにいることが最も安全な選択だ」と言っていたけれど、私の心の奥では、「どうにかして弟を両親の元へ返したい」という気持ちが膨らんでいきました。
そんなある夜、私はこっそりと弟を連れてホグワーツの図書館へ向かいました。
夜の図書館は薄暗く、まるで生きているかのように本棚が影を落としていました。誰にも見つからないように、私たちは透明薬を使いながら慎重に動きました。
私は杖を取り出し、図書館の本を探索するための魔法を唱えました。
「レベリオ!」
すると、何冊もの本が輝き、その中の一冊が私たちの前へと飛び出しました。
《魔法の秘宝》
私は慎重に本を開き、ページをめくりました。その中には「エリスの鏡」と「飛行する魔法の車」の記述がありました。
「エリスの鏡……?」私は弟と顔を見合わせました。
それは、ホグワーツに存在する伝説の鏡であり、覗き込むと自分が最も強く望むものが映し出されるというものでした。
「もしかしたら……この鏡を使えば、パパとママに会えるかもしれない!」
私は興奮し、忍びの地図を広げました。そして魔法を唱え、エリスの鏡のある場所を探しました。
「見つけた……ホグワーツの廊下の奥、古い部屋にある!」
弟と一緒に急いでその場所へ向かいました。
静寂に包まれた廊下の奥に、それはありました。大きな金枠の鏡——エリスの鏡が、月明かりに照らされてそこに立っていました。
私はそっと鏡を覗き込みました。
すると、そこには——パパとママが映っていました。
「……!」
思わず手を伸ばしましたが、鏡の向こうの二人には触れることができませんでした。弟もまた、小さな手を伸ばしていました。
しかし、どれだけ触れようとしても、それはただの映像であり、現実ではありませんでした。
「……でも、少しだけでもいい。パパとママの顔を見られるだけで……」
それからの数日間、私と弟は夜になるとエリスの鏡の前に立ち、パパとママの姿を見ていました。
たとえ手が届かなくても、それは私たちにとって、小さな安らぎとなったのです。
 
 


十二、禁じられた森
ホグワーツでの生活が続く中、私は授業を受けたり、図書館で魔法について学んだりする日々を送っていました。しかし、次第に私と弟はホグワーツの外の世界にも興味を持ち始めていました。
「もっと魔法の世界を知りたい。」
その思いが、私たちを禁じられた森へと向かわせました。
ホグワーツの生徒は立ち入りを禁じられている——それは分かっていました。それでも、好奇心が抑えられませんでした。
私は杖を握りしめ、弟の手をしっかりと握って森の入り口へと足を踏み入れました。
最初は静かでした。風に揺れる木々の音だけが響いていました。しかし、奥へ進むにつれ、周囲の雰囲気が変わっていきました。
「ここ、本当に大丈夫かな……?」
不安がよぎったその瞬間、何かが草むらで動く音がしました。
ゴソッ……。
私は弟を後ろにかばいながら、ゆっくりと杖を構えました。
「ルーモス!」
杖先が淡い光を放ち、暗闇を照らしました。
すると、その先に巨大な影が現れました——それは伝説の巨大蜘蛛、アラゴグの子孫たちでした。
「誰だ……ここに入ってきたのは……?」
重々しい声が響きました。
周囲を見渡すと、数えきれないほどの蜘蛛たちが私たちを取り囲んでいました。
「あなたたちは……食べてもいいのか?」
巨大蜘蛛が鋭い牙をむき出しにしながら近づいてきました。
私は恐怖で動けなくなり、弟の手を強く握りました。
「ダメ……ここで終わるわけにはいかない!」
私は震えながらも杖を握りしめ、思い切り叫びました。
「エクスペクト・パトローナム!」
まばゆい光が弾け、私の守護霊——銀色のうさぎが飛び出しました。
光の奔流が蜘蛛たちを押し返し、一瞬の隙が生まれました。
「今だ、逃げよう!」
私は弟の手を引き、必死に森の出口へと走りました。
しかし、その時——
 


十三、空飛ぶ魔法の車
突然、後ろからぼろぼろの青い車——ウィーズリー家の飛行車でした!
 
車のドアが勝手に開き、私たちを中へ誘いました。
私は弟を抱えながら車内へ飛び込みました。
「お願い……ここから出して!」
すると、車はエンジンを轟かせ、勢いよく森の奥から飛び立ちました。
私は窓から外を見ました。蜘蛛たちは怒り狂いながら地面を這い回っています。
「……助かった。」
私はぐったりと座席に座り込みました。
弟は私の腕の中で小さく震えていました。
「大丈夫、もう安全だから。」
私は優しく弟の頭を撫でました。
すると、車はホグワーツの空を飛び、どこかへ向かおうとしていました。
「お願い……パパとママのところに連れてくれる?」
私のお願いをわかったかのように、車は夜空を疾走し続けていました。
「すごい……本当に空を飛んでる!」
弟は窓の外を興奮気味に見つめていたが、私はまだ心臓の鼓動が速いままだった。
すると、突然、車のダッシュボードにある小さなボタンがチカチカと点滅し始めた。私は恐る恐る手を伸ばし、ボタンを押してみた。
次の瞬間——
「ブロロロロロ……!」
車が急加速し、夜空を切り裂くように猛スピードで飛んでいった!
「きゃああああ!」
弟は笑いながら「たのしー!」と叫んでいたが、私は必死にシートにしがみついていた。
やがて、車はスピードを緩め、下方に広がる街並みが見えてきた。
「……ここは?」
眼下に広がるのは、魔法界最大の商業地区——ダイアゴン横丁だった。
そして、車はまるで何かに導かれるようにゆっくりと降下し、あるお店の前に着陸した。
「え……ここって……?」
 
 


十四、ウィーズリー魔法いたずら専門店(ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ)
 
そこには、大きな看板が掲げられていた。
『ウィーズリー魔法いたずら専門店(ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ)』
お店の入り口には、私たちを待っていたかのように、見覚えのある赤毛の男性が腕を組んで立っていた。
「ようこそ!君たち、ずいぶんスリリングな旅をしてきたみたいだね!」
「ロ……ロン・ウィーズリー!」
私と弟は驚きながら、飛行車から降りた。
「お前たち、ずいぶん危ないことをしたな。まさか禁じられた森に足を踏み入れるなんて!」
ロンは呆れたように言ったが、すぐに微笑んで私たちに温かい飲み物を差し出した。
「まあ、無事で何よりだ。さあ、暖かいミルクでも飲んで落ち着け。」
私は受け取ると、一口飲んだ。ホッとする甘さが喉を通り、ようやく心が落ち着いた。
ロンは真剣な表情になり、私の目をじっと見つめた。
「いいかい?本当に無茶なことはするなよ。もしあの車が間に合わなかったら、お前たちは今頃大蜘蛛の晩飯になってたかもしれないんだぞ?」
私は少し縮こまりながら「……ごめんなさい」と呟いた。
すると、ロンは少し考えた後、おどけたように言った。
「次にこんな無茶をしたら、僕の店でいたずら道具のモデルにするからな!」
私と弟は顔を見合わせ、くすっと笑った。
こうして、私たちは無事にホグワーツを脱出し、ダイアゴン横丁へとたどり着いたのだった。
 
ウィーズリーのお店の中は、カラフルなパッケージのお菓子や、奇妙な魔法道具でいっぱいだった。
弟は目を輝かせながら、店内をあちこち見て回っていた。
「フレッドとジョージは、ホグワーツの伝説的ないたずら好きだったんだ。ここの商品はどれも最高だぞ。」
ロンはそう言って、いたずら道具の数々を紹介してくれた。
しばらくすると
「今はご飯を食べ、しっかり休め。明日になったら、お前たちを大事な場所へ連れて行ってやる。」
その言葉を聞いて、私は小さく頷いた。
弟と私は、ついにパパとママに会うための鍵を手に入れたのかもしれない。




十五、再会

翌朝、ロンは私たちを連れてダイアゴン横丁を後にした。
彼に案内されたのは、私がこれまで見たことのない街路。静まり返ったその道の奥にある黒い扉の前で、ロンは周囲を確認しながら、扉に刻まれた獅子のエンブレムの周囲を杖で軽く叩いた。
次の瞬間、重厚な扉が静かに開き、その向こうに長く続く階段が現れた。
「魔法……!」
私は息を飲んだ。
階段を下り、広がる空間に足を踏み入れると、外観からは想像もつかないほどの広さだった。まるで秘密の屋敷——いや、それ以上に巨大で、まるで公園のような敷地が広がっていた。
そして、私たちが辿り着いた広間の中央に、パパとママの姿があった。
「パパ!ママ!」
私と弟は声をあげると、一目散に駆け寄った。
両親は目に涙を浮かべながら、私たちを強く抱きしめた。
その瞬間、ホグワーツで耐えていた寂しさや不安が一気に溢れ出し、私は弟と一緒に大声で泣いた。
「会いたかった……すごく会いたかった……!」
パパとママは優しく髪を撫でながら、私たちの背中をさすり続けた。
「もう大丈夫よ。あなたたちは本当に頑張ったのね。」
久しぶりに感じる家族の温もりに、私たちは全身が安心感に包まれた。


十六、新たなる不死鳥の騎士団(フェニックス・オーダー)
涙が落ち着いたころ、私は周囲にいる大人たちの姿に気づいた。
見知らぬ魔法使いや魔女たち——しかし、その中には、ダンブルドアの記憶の中で見たことがある顔もあった。
「彼らは、新しいフェニックス・オーダーのメンバーよ。」
ママが優しく説明した。
「かつてフェニックス・オーダーはヴォルデモートと戦うために結成されたけれど、彼が滅びた後、一度解散したの。でも……今、また新たな闇が迫っている。」
「新たな闇……?」
「マグルの子どもたちが危険に晒されているの。」
ママの声が震えていた。
「夢喰い(プレデター)と呼ばれる怪物が、マグルの子どもたちの夢を食べ、魔法の才能の芽を摘み取っているのよ。」
「そんな……!」
私の胸がざわめいた。
「夢を食べることで、子どもたちの魔法の可能性が失われる。彼らは決して魔法使いになれないまま、普通のマグルとして生きていくことになる……。」
その言葉を聞いて、私は思わず拳を握りしめた。
「それに加えて、ディメンターもマグルの子供達を追跡している。」
ハリーの声が響いた。
彼とハーマイオニーが、ダンブルドアからの書簡を持って現れたのだ。
「ディメンターも……?」
「彼らはプレデターの影響を受け、アズカバンや魔法省の管理を逃れてしまった。魔法省も彼らの捕獲に動いているが……それだけでは足りない。」
「だからこそ、私たちの力が必要なの。」ハーマイオニーが優しく言った。
「プレデターを倒せるのは……魔法の夢を見る子どもたちだけなのよ。」
私は息を呑んだ。
「夢を持つことが、私たちの力……?」


 





十七、夢喰い(プレデター)との戦い

それからの数日間、私はフェニックス・オーダーの子どもたちと一緒に訓練を受けた。
中には魔法を使える子もいれば、まだ使えない子もいた。でも、みんな共通して持っていたものがあった。
——夢。
「プレデターは、夢を見ることを何よりも恐れる。だからこそ、私たちの夢の力を合わせれば、きっと奴らに打ち勝てる。」
ハリーの言葉に、私は強く頷いた。
 
しかし、プレデターは夜にしか姿を現さない。ディメンターのように黒いマントを翻しながら追いかけてくるわけではなく、影の中にひそみ、じっとその時を待っている。
そして、マグルの子どもが魔法の夢を見た瞬間——それは静かに忍び寄る。
誰も気づかない。夢の中で魔法の冒険を楽しんでいる間に、プレデターはすでにそこにいる。目には見えない。だけど、冷たい何かがゆっくりと広がり、心の奥から魔法の光が吸い取られていく。
気づいた時にはもう遅い——夢は色褪せ、魔法を持つはずだった力は消え去り、やがて魔法使いになれる可能性さえも奪われてしまう。
眠らないことはできない。夢を見ないこともできない。
だからこそ、プレデターとの戦いはとても厄介で、恐ろしいものだった。




最終章:夢を守る戦い

プレデターとの戦いはいよいよ最終決戦を迎えようとしている。
「子供達を守るために、まず安全な場所へ行こう!」
ハリーたちはそう決め、「幻影移動(アパレート)」を使って、ホグワーツへと避難することにした。ホグワーツなら、どんな敵からも守ってくれる——そう、ここは世界で一番強い魔法が張り巡らされた場所なのだから!
そこには、私たちと同じように魔法使いになれる可能性を持つ子どもたちが集まっていた。
「みんなで力を合わせよう!」
ホグワーツの先生たちや、フェニックス・オーダーの大人たちも私たちを守ってくれた。でも、私たちはただ守られるだけではない。一人ひとりが魔法を学び、力を合わせ、大きな魔法の結界を作り上げた。
この結界は、プレデターとディメンターが入り込めないほどの強さを持っている——それでも、敵は毎晩しつこく攻めてくる。
「絶対に負けない!」
私たちはそう誓いながら、毎晩この場所を守り続けた。
そして、決戦の日が訪れた。
私たちは勇敢に立ち上がり、夢と愛と勇気を結集させた。
「私たちには、無限の可能性がある!」
強大な魔法の波が空を裂き、光が闇を押し戻していった。
プレデターは次々と消え去り、ディメンターは魔法省によって捕えられた。
こうして、魔法の世界とマグルの世界は再び平穏を取り戻した。
私はふと、ホグワーツに初めて来た日にダンブルドア校長先生の言葉を思い出した。
——「ホグワーツに集った皆さん、魔法を学ぶ権利は、マグル出身であろうと魔法族であろうと、誰にでも平等にあります。」
——
ダンブルドアのその言葉が、今ようやく真実になった。
プレデターが消え去りマグルの子どもたちはついに安心して眠ることができるようになった。もう誰も、夢や魔法の可能性を奪われることはない。
戦いの翌朝、私たちは久しぶりに穏やかな朝日を浴びた。ホグワーツに集まった子どもたちは、みんな幸せそうに微笑んでいた。
そして、ついに——
「パパ!ママ!」
私は弟と一緒に、両親の元へと駆け寄った。彼らは私たちをしっかりと抱きしめ、優しく髪を撫でてくれた。
「よく頑張ったね。あなたたちはとても勇敢だった!」
パパの言葉に、私は大きく頷いた。
この短くも濃密な魔法の旅が、私に確信を与えてくれた。
「私は絶対に、偉大な魔女になる!」


「ホグワーツの扉は、いつでも君を待っているよ。」
「あなたならきっといい魔女になる!」
「いつでもウィーズリー・ウィザード・ウィーズに遊びにきて!」
ハリーとハーマイオニーとロンがそう言って微笑んだ。

「うん!絶対に戻ってくる!もっと強くなった私で!」
私は迷いなく答えた。
——魔法の旅は、まだまだ続く。
 



お・わ・り
 


あとがき
この物語の文章は拙く、シンプルな表現になっています。これは、4歳の娘が理解しやすいようにするためです。そのため、物語の細かい部分はあえて省きました。その分、娘の想像力で補ってもらえたらと思っています。
「小さな頃から夢を持つことは、とても素晴らしいこと!」
私はこの物語を通じて、娘にそう伝えたい。
「夢を追いかけて、世界を探検してほしい。私たち家族はいつでも彼女の後ろで支え、守り続ける。」
そう信じているから。
いつか、勇敢な彼女がホグワーツからの入学許可証を受け取る日が来ますように!
そして——
すべてのマグルの子どもたちが、魔法を想像する自由を持ち続けられますように!
 

いいなと思ったら応援しよう!