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人生の苦悩を解放する教えが、逆にものすごい苦悩になっている場合

人生を楽に生きて、こころを柔軟にする教えやアイデアのはずが、
気が楽になるどころか、全て逆効果に反転して、
最悪に有害になっているケースも、度々出会います。

認知行動療法、
セラピーやヒーリング、
自然療法、東洋哲学、
自己啓発や精神世界系の思想、
引き寄せの法則や、人生訓など、

自分の認識のフィルターを通して、この世界を見ている、
見ているというか、投射して自らを映し出している、
だから、この自己責任の世界を変えていくことで、
自分の願う世界を生み出すこともできる。

まったく、その通り、
人生を通して繰り返し戻ってくる、
基本的な教えだと、
僕は思います。

このnoteでも、手を変え品を変え、
繰り返し同じようなことを書いてきたように思います。
ドラマの脚本、演出、BGMを変えるとか。

診察室の、これ、とか。

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こういうの、大好きです。


しかし、こういう考えに触れると、
もうわかったってば!(ToT)

って、言う声も、聞こえてきます。
特に、病気でしんどい人は、余計に耳が痛いかも。


そりゃあ、この認知再構成が、
自分でできたら、こころの病気ではないでしょう。

自分のいかなる努力でも、考え方、捉え方の変更ができなくなった、
自分で自分の感情調整がうまくできず、生活にも支障が出てきた、

それこそが、病のサインですから。

通院、服薬している人は、自力でどうにもならないから、
これはさすがにおかしい、病気ではないか?、と思って、
そもそも、病院に来たのでした。

こころの病気の診断を受けている人が、
ポジティブに物事を捉えられないからって、
何もおかしくはないです。
当たり前過ぎるくらいの、当たり前さです。

足を骨折している人が、
松葉杖なしで歩けないからって、
普通に歩けないなんておかしい、
と言っているようなものです。

不安障害は不安のコントロールの障害であり、
気分障害は気分の調整の障害なのです。
その「ボクのうけとり方」に、誤作動を起こして生きづらくなるのが、
こころの病気なのです。


病気の急性期の人に対して、
このように、世界の捉え方を変えましょう、
受け取り方が悪いから、病気になるんですよ、
アナタの認識がダメなんだ!
と言っているわけではないです(笑)

そんなことは、診察室では、言いません。
(言ってたらゴメン(笑) 僕も調子悪かった(笑)

精神症状や回復段階に合わせて、
真逆のお話しになることもあります。


しんどい時に救いを求めたつもりの、
人生の教えや、ポジティブ思考法が、
余計に苦しく感じられる時には、

世界を柔軟に捉えることができていた、
回復した自分を思い出すための、ゴール、
歩き方を忘れないようにイメージするための、
参考材料程度にしておきましょう。

今の自分には、できなくなっているけど、
認知を変える方法は、今はさっぱりわからないけど、
どうしたらいいの!?って方法論を考えてしまうけど、
それは、今は病気のためにできなくなっているからだ。

いつか、あんな前向きになれる可能性があるかもなぁ、
いつか骨がくっついたら、歩けるようになるよ、
宝くじが3億円当たったら、何買おうかなぁ(笑)
みたいに、妄想でよいので、可能性に希望を持っている感じが、
よいのではないかと思います。

前向きに考えられないのは、
それ自体が、弱っている時の病気の症状なので、
くれぐれも自分を二重に責めることにならないように!


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