自閉の利用、自粛の利用
今日は、朝から雨ですね。
いい感じに、気持ちが鎮まります。
自粛、自粛と、世間の話題があがっていると、
引きこもりの精神病理を連想します。
統合失調症の陰性症状と言われるものに、
自閉、という精神病理、行動所見があります。
話しかけても、誘っても、全然相手してくれず、
感情がないみたいに無表情で、
自分の殻に閉じこもってるような感じ。
布団や部屋で閉じこもってしまう。
引きこもらせていては、
どんどん気分も、行動も、機能が低下してしまう、
と、外に連れ出したり、作業療法を促したり、
治療的工夫をされてきたわけですが、
1978年に神田橋先生が、「自閉の利用」
という論文を出されて、当時の精神医学会の
常識を覆し、仰天させたと言われています。
「自閉の利用一精神分裂病者への助力の試み一」
(精神神経学会雑誌,78,43-57)
神田橋先生は、症状の中には、同時に
回復のための働きが内包されている、と考える。
自閉しているのは、同時に自己治療でもある。
自閉する能力、
拒絶する能力、
を高めて、その能力に磨きをかけることが、
援助になるのではないか。
というわけですね。
ちなみに、病棟の患者さんに、
病棟で一番自閉的なのは、誰か、と聞いた話があります。
すると、その患者さんは、
いつもにこにこしている、看護師長さんだ、
と言ったというエピソードがあります。
表面的にはニコニコしゃべっていても、
感情のキャッチボールをしてる感じがしなくて、
こころを持っていかれないように守っているのも、
ストレスの多い看護師長さんの
高度に洗練された自閉能力の形、だったのかもしれませんね。
今は、世の中の自粛力がものすごく発展してきて。
うーん、最近、見たい映画、動画、読みたい本、音楽、、、
やたいことがたくさんありすぎて、困る!
ひとの自粛能力に、どんどん磨きがかかっていて、
これも人類文化の回復や進化の形なのだと思います。