主訴は本当の自分の裏返しかもしれない説のその後
少し前の診察室の風景を、
シェアさせてもらいましょう。
めちゃくちゃ頑張っている、
お母さんのストーリー。
そんなに器用な人ではなくて、
それでも4人の子どもさんを必死に育てて、
朝から晩まで、家事も大変で、
子どもたちも、なかなかのトラブルメーカーで、
あちこちからじゃんじゃん連絡は入るし、
その上、お仕事もフルタイムでされていて…!
ほんとにすごい。。(*_*)
いや、もう、僕だったら、100%無理です。
絶対耐えられない生活です。
診察室は、そんなとてつもない頑張り屋さんだらけですが。。
初診時の主訴は、
原因不明の、ありとあらゆる不定愁訴。
ほぼ全身、全器官の自律神経症状がありました。
メンタル的にも、子どもにもついイライラしてしまうと。
さいわい、薬物療法で通院を継続して、
今は主訴であった身体の症状は、
ほとんどすっかり改善してきました。
でもやはり、毎日の生活でヘトヘトになりながら、
通院されています。
弱音も言わずに頑張っていて、
感情を表に出すのは控えめで、
診察室でも言葉数の少ない人です。
普段言葉にできない押し込めてしまった不満や愚痴を、
少しでも出せる場になれば、ストレスケアによいかな、
と思って、聴かせてもらっていました。
しかし、最近
「主訴は本当の自分の裏返し」説を発見したので、
この人は、どんなほんとの自分が出せなくなって、
ヘトヘトになっているんだろう?
と思った僕は、
今回、ふと、
元気で楽しかった時代はいつですか?
と聞いていたんです。
そしたら、だいぶ戸惑いながら、
うーん、学生の頃までかな、、と教えてくれました。
「普通に友達と遊んで、カフェとかカラオケに行ったり、、、
あの頃は、なーんも考えてなかったんだと思う、、」
ほんとの自分は、けっこう楽観的で、
あまり難しく考えるタイプではないようです。
「でも、、」
と話は続くのですが、
その先は、聴かなくても分かりますね(笑)
世の中、楽しいだけでは済まないぞと、
学んでしまったことでしょう。
世間に叩かれて傷ついて、
「ちゃんと考えなきゃ」に、なったのでしょう。
でも、でも、は要らない。
なーんも考えずに、楽しい気分そのものでいる自分、
そんな自分が、本来の自分だったんだって、
思い出されたのが、僕は、素敵だなー!
と思ったのです。
生活や家族のために身を粉にする自分は、
世を忍ぶ仮の姿。
現実生活がどんなに大変であったとしても、
楽しい気分が好きな本来の自分は、
消えてなくなったわけじゃない。
「でも、子どもが生まれてから、自分の時間なんて、
一切取れないし…だから、子育てが済んだら・・・ 」
楽しい気分を持つのは、いつでしょう?
子育てが終わった、老後の楽しみでしょうか。
・・いいえ、今でしょ!
なんせ診察室に来る時は、自分のための時間です。
帰り道の30分を、自分だけの時間にしては?
と、言ってみると、
うーん、、
好きなお店のドライブスルーに寄って
帰るのもいいかな? と、
ちょっと楽しそうな表情になって、
診察室を出ていかれたのでした。
願望や本当の自分は、
現実がどうかではなくて、
自分に気がついてあげるだけで、
十分すごいことだなー。
そう思った瞬間でした。
いま、現状で、
我慢しなきゃいけない、
望まない現実の中にいるあなた、
この自分は、ほんとの自分じゃない!
本来もっとこんなふうにしたいんだ~~~!!
って、
こころの奥の方のウズウズが、
本当の自分、本当の願望を、
教えてくれている時かもしれませんよ~。