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月曜日午前2時の待ち合わせ

J-WAVEキングスプレイス、毎週月曜日の午前2時から放送されていた深夜のラジオ番組。ナビゲーターは、尾崎世界観。

当時まだクリープハイプを知ったばかりの私は、SNSで収集できるだけのバンドにまつわる情報をかき集めていた。デビューしたばかりの頃は周りにクリープハイプを知っている子なんていなかったし、Twitterも普及したばかりで、共通の趣味で繋がるフォロワーも限られていた。でも唯一、キングスプレイスの放送時間になると、ハッシュタグを頼りに全国のクリープハイプファンが集って、魅力について語り合うことができたんだ。

私たちは、尾崎さんによるとりとめもない話を熱心に聴いて、感想をツイートして、ふぁぼして、尾崎さんのおすすめするリクエスト曲を聞いて、音楽の幅がグンと広がって、フォロワーのお便りが読まれたことに歓喜して、ふぁぼして、最後にかかるクリープハイプの新曲をどこよりも早く聴けた日には感激して泣いて、時折寝落ちてしまったことを翌朝後悔したりした。

音楽雑誌やライブでは決して語られることのない、等身大の尾崎さんの近況や、最近関心を持っている様々なこと。特に、新曲の裏話なんかはキングスプレイスを聴く私たちだけに与えられた特別な内緒話みたいで、本当に嬉しかった。

同じラジオを聴いているというだけで全国の太客(ファンクラブ会員)と繋がって、その縁は驚くことに11年経った今でも続いている。ライブ遠征のたびに顔を突き合わせて、未だにキングスプレイスの話をするくらい私たちにとってあの時間は、宝物だった。

今でも忘れられない。「社会の窓」が初めて流れた夜、あまりにかっこよくて布団の中で思わずジタバタしたこと。放送時間が終わった後も、余韻が続いてTLに流れるみんなの感想をずっと眺めていたこと。いつの間にか、空が明るんできていたこと。火曜日1限の英語の授業は爆睡してしまったけど、英語の授業なんかより「社会の窓」がかっこよかったことのほうが、あの時のわたしには何よりも大切だった。

最後の放送日、弾き語り生演奏してくれた「ラジオ」は、尾崎さんがリスナーとキングスプレイスをどれだけ大切な居場所としていたかが痛いくらい伝わってきた。画面越しでも分かるほど、みんなで泣きながら別れを惜しんでた。そんなふうにして私たちの忘れられない青春の1ページにはいつも、クリープハイプがいてくれた。

#だからそれはクリープハイプ

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