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拝啓 君に伝えなくちゃいけない

あれからもう8年。クリープハイプのライブに並んでいたあなたが「整理番号何番ですか?」と後ろに並ぶ私に聞いてきたことが全ての始まりだった。こんな出会い方、さすがに運命かと思う。

元気にしていますか?クリープハイプはまだ好きですか?ちゃんとご飯を食べていますか?男の子ってどうなの?元カノとのデートや記念日や誕生日のこと、覚えているものなの?当時から毎日を忙しく生きていたあなたはもうこんな昔のこと、きっと覚えてないんでしょう。

8月のある日、初めて遊園地でデートをした。閉園間際の園内で、クリープハイプの「ラブホテル」が流れた途端に強く手を引かれて、2人で歌いながら最後の乗り物を目指した。あの瞬間、まるで映画のワンシーンみたいだって心からときめいて、走るあなたの背中から目が離せなかった。景色がスローモーションみたいに後ろに流れて、メリーゴーランドの灯りが眩しくて、それから尾崎世界観の「夏のせい」って言葉が園内に響いてた。

息を切らして乗ったジェットコースターから見えるささやかな夜景と、隣にいる大好きな大好きなひと。繋がれたままの手と手。自分でも驚くほど細いことまでよく覚えていて、あの瞬間と、それから続く2年間が私の人生においてどれほど大切でかけがえのないものであったのか、別れてから今日まで全然色褪せてくれない記憶のせいで、思い知ったの。

私、あれから色んな経験をした。きっと、好きになってくれたあの頃の私はもうどこにも居ない。良くなったのか、はたまた悪くなってしまったのか。それはごめん分からないけど、あの頃とはまるで違うことだけは確か。でも2人で聴いていたクリープハイプのことは、今でもずっと大好きなまま。

もうこんなに経ったのに、まだあなたの話をするなんて未練がましくてどうかしてる。でもこれ、忘れちゃいけない気持ちなんだと気づいてから、無理に忘れようとするのはやめたんだ。心の奥深くに眠る神棚に大切に祀ってある。たまに開けて覗いては、水をやったりしながら清潔に保っているんだよ。

もうきっとこの先二度と会うことはないんだろうけど、2年後も、3年後も、ずっと大切にしていくから忘れることは絶対にない。わたしの中にある、最もあたたかい感情です。こんな気持ちを教えてくれて本当にありがとうね。あの日、私に整理番号を聞いてくれてありがとう。

を、最後の電話で伝えそびれてしまったから、ここに残しておこうっと。それでは、どうかこの先も、身体に気をつけて引き続き最高の人生をお過ごしください。かつて世界で一番大切だった人に向けた手紙、書くとしたらたぶん、こんな感じ。

#だからそれはクリープハイプ

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