自選十句☆やってみた~句集『スマッシュ』亀井千代志(ふらんす堂)より~
句集刊行から半年が経ち、いろんなことがひと段落ついたところで、はたと気付きました。
まだやっていないことがありました。
それは、自選十句です。
よく、句集の帯に、自選で十句ほどを掲載することがありますね。実は、RCも出版社の人との打ち合わせのとき、その話が出たのです。
そのときは、自分の選句眼にあまり自信がないことと、句集を開く前に、読む人にそのようなものをお見せしてしまうのは気が進まなかったので、しないことにしたのでした。
その判断は間違いではなかったと思います。装丁はシンプルに、よけいな情報のないものになりました。読む人には、ページをめくりながら、自由に好きな句を選んでもらえます。これこそRCの望むことでした。
でも、やり残したことがあるのは、気になるものです。今からでも遅くないので、やってみてもいいかな、と思い始めました。
というわけで、自選十句、やってみました。
付箋を立てながら読んでいくと、三十句余りが候補になりました。そこから、自分としてずっと気になっていた句に加え、世に残ってほしい句として、十句に絞りました。
見直してみて、意外な感覚をもちました。
結構、ライト。
まったくひっかかりのない、軽く口ずさめるような句がほとんどです。もしかしたら、これがRCの持ち味なのか、と今さらながらに自分で気付いた次第です。
自分のことって、実はよくわかっていないんですよね。
いろいろやってみて、人は成長していくんだなぁと、しみじみ思います。
では、そのライトな自選十句、お披露目です。
明日も素敵な季語との出会いがありますように。
亀井千代志『句集 スマッシュ』(ふらんす堂、2022年刊)
自選十句
追羽子のスマッシュそれを返しけり
新しき駅新しき桜かな
みんな手をふつてくれたる梅若葉
芹の花をとこは風を嬉しがり
この人でよかつたのかも枇杷を剝く
階の急なこと繭白きこと
鵙啼いてをりぬそれでも負けは負け
鰡飛んで海ありありと見えてきし
その服を憶えてゐるよ冬林檎
炭ころがしながら山の風のこと