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第1節 RB大宮アルディージャ VS モンテディオ山形
試合概要
2025/2/15
大宮VS山形 2-1
得点: 後7:濱田 後21:土居 後52:藤井
*現地観戦*
RB大宮アルディージャ フォーメーション
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昨年から引き続き基本陣形は守備時の3-4-2-1。ただ攻撃時は下口がSB化して4-2-3-1(というかSBが上がった2バックぎみ)に可変する、昨季終盤に時々やっていた形。*二列目は流動的
1トップにはラッソが入り、2シャドーは健勇と豊川。前線3枚にハードワークが求められる長澤サッカーでは、試合途中で3枚総取っ替えするため、スタメンと同等以上の力を持つ新戦力カプリーニと谷内田はベンチで控え、交代後もプレス強度を保つ狙い。
WBには泉と茂木。昨年以上にWB裏のケアが必須なJ2において、両WBのディフェンス能力が今年のカギになると思っている。リオン不在の中CBには濱田が入り、北九州時代にやられまくった90ディサロ封じを命じられる。
今日の戦術で大きな役割を担うのが左CBの下口。攻撃時にSB化して泉を一列前に押し出すと共に、積極的にサイドを上下するという、昨季の知念が担っていた役割を与えられた(下口もH富山戦で実戦済み)。この試合では偽SBみたく、ボランチの位置に入ってのビルドアップには加わってなかったが、今後相手次第ではボランチ化もあるだろう。
モンテディオ山形の印象
山形は4-3-3で、90ディサロをトップにした3トップ。両WGが幅を取って大宮の左右のCBを食いつかせ、CB同士の間(ゲート)を開かせる狙い。それに対し大宮もWBが下がっての5バックで、5レーンを埋めるブロックを組み、CB間距離の維持に努めた。4バックで守ってた場合、もっと山形の攻撃に苦戦したと思われる。それでも昨年はあまりなかった、大宮のCBがサイドに釣り出されてしまうシーンも何回か見られ、J2レベルの攻撃の組み立てが非常に面白かった。
山形は90ディサロにロングボールを当ててセカンドボールを拾うというよりか、ロングボールを大宮のWBの後ろに配給しての裏抜けが効果的で、特に前半は泉の裏を狙っていた感じ。ディサロ封じを命じられてた濱田は裏を簡単に取られることもなく、ヘディングでもことごとく勝ってて、今年も跳ね返し役として重要な役割を与えられそう(濱田の空中戦はチームで一番強い!)。
また山形はロングボール一辺倒ではなく、最終ラインからのビルドアップ時は、7高江がポジショニングよくアンカー的にフリーになって、2CBと三角形を作り大宮のプレス回避にことごとく貢献していた。特に前半は7高江を捕まえきれず、山形の最終ラインへのプレスがハマりきらなかった(ラッソが7高江を捕まえるべきだったかもだけど、CB2枚も見なきゃなので、中々難しかった…?)。
試合内容など
大宮はボール保持にはこだわらず、昨季に引き続き前線からプレスをかけ、ボールを奪いに行くサッカー。ただ明らかに、球際にガツンと行くところの強度は昨季より確実にレベルアップしていて、相手に襲いかかる感じだった。新加入の豊川も評判通りガツガツ行き、また、1トップのラッソも球際が本当に強く、前半は相手から刈り取りまくっていて、去年からの更なる進化が見て取れた。勿論山形の7高江を経由したプレス回避もうまく、CBのとこでの刈り取りは許さなかったが、1列前のところで大宮がうまく刈り取れるシーンも多く、ショートカウンターは今後も大宮の生命線になるだろう。
前述の通り、前線3枚は途中交代が前提の戦い方であり、途中出場のシャドーのカプリーニと谷内田も、スタメンの二人と遜色なかった印象。短い時間でも、両者とも足元の技術が高いことは見られたので今後に期待★
シルバは昨季終盤、守備ゾーンを放棄するシーンが散見されたが、今日は非常にバランスよくポジションニングしていて、展開力を活かした攻撃のハブ役だけでなく、持ち前の体の強さで守備にも貢献していた。あ、小島は言うまでもなくワンタッチワンタッチがうまい♪
そして今季キャプテンになったCBガブリエウはさすが。1対1の対人が滅茶苦茶強く、相手のチャンスの芽を幾度も潰し、また縦の楔のパスも効果的だった。この1試合で大きなポテンシャルが見て取れた。
前半、相手からの刈り取り&前線でのキープで、大きく活躍をしていたラッソが、前半途中で怪我(肉離れっぽい?)のため退場。藤井がワントップに入ったが、前線でのキープが中々できず、後半途中からはずっと押し込まれる我慢の展開に。また中央に高さがなくなり、サイド突破をしても、センタリングに戸惑うこともちらほら。キープできるラッソとサンデーの二人がいなくなった場合、健勇の1トップ、もしくは健勇と藤井の2トップもあるか…?
大宮の二点はどちらもCKから。
一点目はごちゃごちゃしたところで、茂木が濱田のマークをスクリーンアウトでブロック。完全にフリーになった濱田が中央に入り、そこに正確に合わせてきた小島のキックと、準備された完璧なサインプレーだった。
二点目も、後方の安定化のために投入されたニキが超頑張りシュート。キーパーが弾いたとこを誰よりも早く藤井が反応したゴール。
J2でも平均身長が(確か)1位である大宮としては、セットプレーも大きな武器になりえ、そのためのプレスキッカーとして、右利きの谷内田も今後輝きそうな予感。
雑感
何より昨季以上の球際の強さを、宣言通りまざまざと見せてくれたというのが第一印象。また山形も真っ向から受けて立ってきて、非常に面白い試合だった。優勝候補の一角の山形の多彩な攻撃(WBの裏狙い、後方からのビルドアップ等)に対し、大宮は決定機をほとんど作らせず(3・4回?)、中央の守備も十分通用していたと思われる。
今後も3バックをベースに4バックへの可変は続けるかと思われるが、その役割を全うできる左CBが現状下口のみのため、下口がいなくなった時にどうするかも気になった(左利きのCBは一人欲しい…)。ただ、去年もリオンをボランチ化させたり、純粋な3CBで挑んだりと、テツさんも色々策は準備していると思うので、そのバリエーションが見られるのも楽しみ。ただ今日の試合みたいに、横幅を広く使ってくるチームも多そうなんで、3バックの方がやっぱり安定するかなーといった感想。
相手陣内でのポジトラ&ショートカウンターも何回か成功し、決定機も山形より多く作れた。最終パスのタイミングが合わないってとこも、今後もっと精度が上がっていくはず。
試合展開もラストワンプレーでの大勝利で、次も来てみたい!と新規ファン層の心にも絶対届く試合だったため、RB大宮アルディージャの船出として、とにかく今年一年楽しくなりそうな予感のする試合だった!