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RBライプツィヒ移籍決定! ソボスライの取扱説明書

レアル・マドリード、アーセナル、ACミランなどメガクラブが獲得を狙ったザルツブルクのドミニク・ソボスライ。しかし、ハンガリー代表の若き10番が選択したのは、同じレッドブル・グループ内での「昇格」だった。

オーストリアからドイツへプレーの場を移したことで、注目度は格段に増す。今回はそんな彼のザルツブルクでの軌跡から、ストロングポイントや改善すべき課題などを取り上げていきたい。

期待外れからMVPに

ソボスライの父も、かつてはハンガリー国内でプレーしたプロフットボーラーだった。父は、ドミニクが16歳になったタイミングで国外移籍させることを決断。選んだ行き先はザルツブルクだった。

「ザルツブルクのアカデミーでほとんどのことを学んだ」と語るソボスライは、セカンドチームのリーフェリングで頭角を現し、これが当時トップチームの監督だったマルコ・ローゼ(現ボルシアMG監督)の目に止まる。指揮官はELのナポリ戦というビッグゲームでも彼を先発させ、その期待にアシストで応えた(動画の5:49〜)。

翌19/20シーズンでは本格的にトップチームに帯同。監督は現在のジェシー・マーシュとなっていた。クラブ史上初めてCLを戦うという、チームにとってもソボスライにとっても重要なシーズンが幕を開けた。

しかしシーズンが開幕すると、ソボスライはマーシュが基本布陣としていた[4-2-2-2]の適応に苦しむ。ローゼ政権下では、中盤がダイヤモンドとなる[4-3-1-2]の左でプレーしていたが、よりプレッシャーのかかるダブルトップ下に置かれた彼のパフォーマンスは、ほかのレギュラーアタッカー陣(ハーランド、ファン・ヒチャン、南野拓実)と比べて低調なものだった。ビッグゲームでは真っ先に交代となることが多く、奥川雅也ら控え組の突き上げを食らってポジションを失いかけた時期もあった。

そんな期待外れのシーズンを過ごしていたソボスライにとって、転機となったのがパンデミックによるシーズン中断だった。

彼は3ヶ月ほど中断となった期間に、競泳コーチのシェーン・テュサップをパーソナルコーチとして雇った。テュサップは、後に妻となる競泳選手ホッスー・カティンカの不振に陥っていたキャリアをリオ五輪で金メダルを獲得するまで復活させた実績を持つ。ソボスライは名コーチの下、肉体的にも精神的にも向上を図ったのだった。

その効果は数字として明らかになる。ブレイク明けの全11試合に出場したソボスライは、8ゴール11アシストという驚異的なスタッツで大暴れ。中断前の淡白なイメージは嘘だったかのように、そのままオーストリア・ブンデスリーガのシーズンMVPに輝いた。

ソボスライは今季もそのハイパフォーマンスを持続。昨冬にクラブを去ったハーランドと南野に加えて、今夏にはファン・ヒチャンもRBライプツィヒへ移籍。現在はソボスライが攻撃の牽引役となっている。

ストロングポイント

では、彼の武器は一体何なのか。

やはり、まず挙げられるのが正確なキックだろう。長短の高精度なキックでのチャンスメイクを得意としており、セットプレーでもその威力は発揮される。直接フリーキックでは、カーブボールと無回転を蹴り分けることが出来るのは大きな強みだ。

次にテクニック。身長187cmながら足技に優れ、得意な左ハーフスペースの位置でボールを持てば期待感が高まる。昨季はルーレットで相手をかわしてミドルシュートを叩き込んだこともあった(動画の2:05〜)。

そして、パーソナリティ。今日のレッドブル帝国を築き上げたラングニックは、獲得する選手の能力としてパーソナリティも重視する。先に述べた、彼がパーソナリティコーチを雇ってトレーニングに励んだ向上心は、まさにレッドブル・グループでプレーする上で重要な要素なのだ。

ウィークポイント

逆に懸念材料はどこになるか。

一つはプレス耐性にあると考える。2列目や2.5列目を主戦場とするソボスライは、相手から大きなプレッシャーを受ける。そこでライン間のような狭いスペースでボールを受けると、ボールロストしてしまう場面が散見される。オーストリアよりも圧力が強いドイツでは"狩り所"とされてしまう恐れがある。

二つ目は守備者としてのフィルター能力だ。マーシュは、ソボスライがステップアップした先で活躍するにはフィジカルのさらなる向上が必要と語っている。ロングでもショートでも正確なパスを出せる彼は、一見セントラルMFで起用されてもおかしくない特長を持っているが、3列目のコントロールタワーに彼ではなくユヌゾヴィッチが使われていることは、ディフェンス面での弱みが影響していると考えられる。

RBライプツィヒでの起用方法

大きな長所もありながら、まだ成長過程にあるソボスライ。では、ナーゲルスマンは彼をどのように起用するだろうか。少し推察してみたい。

一先ずは、単純に2列目として使うことは当然考えられる。フォシュベリ、ダニ・オルモ、エンクンクのように10番の役割を与えてストロングを出してもらえるようにするだろう。

また、毎試合のようにフォーメーションを変えるナーゲルスマンなら、[4-3-1-2]や[4-3-3]のインサイドハーフもある。個人的には、現状ソボスライの強みを出し、弱みを隠すにはこれが最善なのではないかと考えている。

アンカーでの起用の可能性も捨てきれない。現在RBライプツィヒでこのポジションに多く使われるのは、ザビッツァーやカンプルのような元々セカンドトップやトップ下だった選手。先程ソボスライのフィルター能力について述べたばかりだが、ナーゲルスマンであればそれを踏まえた上で、彼をアメフトのQBのような"散らし役"として抜擢する見込みもゼロではないはず。

メガクラブが争奪戦を繰り広げたことで、より大きな期待を背負ってライプツィヒにやってくるヤングスター。

だが、同じようにRBグループ内移籍をしたライマーやハイダラがフィットするのに時間を要したように、ソボスライに対しても長い目で見るべきだろう。それを待つだけのポテンシャルは間違いなくある。


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