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新生RBザルツブルクの顔になれるか 南野拓実のキャリアを左右するシーズンが始まる
19歳でセレッソ大阪からRBザルツブルクに加入した南野も現在24歳。今季で6シーズン目となる。今回はRBザルツブルクでの南野のキャリアを振り返りつつ、今季への期待を書いていきたいと思う。
Takumi #Minamino ist unser Spieler des Monats November! Mit 43% der Stimmen setzte er sich gegen #Schlager, #Wolf und #Samassekou durch. pic.twitter.com/Qzsg8UvFu5
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"絶対的な存在"ではなかったこれまで
アディ・ヒュッター時代
OFFICIAL CONFIRMATION: Mutually agreed contract termination between @RedBullSalzburg & head coach Adi Hütter. #RBS pic.twitter.com/rBCx6vLcFx
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) June 15, 2015
2015年の冬、セレッソ大阪のJ2降格もありRBザルツブルクへ移籍した南野は、アディ・ヒュッター(現フランクフルト監督)に評価され、シーズン途中での加入ながらリーグ戦で一定の出番を得る。
ELベスト32のビジャレアル戦1st legでスタメンを勝ち取ったのは、指揮官からの信頼を感じる場面だった。この試合でのパフォーマンス自体はあまり目立つものではなく、前半のみの交代となってしまったが、最初のハーフシーズンを悪くないスタートで終えた。
ペーター・ツァイドラー時代
Cheftrainer #Zeidler ist ab 20:15 Uhr zu Gast bei Sport & Talk aus dem Hangar-7, @ServusTV! Thema: @OEFBL-Dreikampf pic.twitter.com/RmWwE8XNdx
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) November 9, 2015
しかし、翌シーズンにそのヒュッターがクラブを去ってしまう。クラブとの意見に相違が生じ、双方合意の上で契約解除。ヒュッターはヤングボーイズを新天地とした。
RBザルツブルクは、セカンドチームであるリーフェリングからペーター・ツァイドラー(現ザンクト・ガレン監督)を昇格させた。これにより新シーズンでは南野の序列は下がり、リーグ戦の出番は途中からがメインとなった。
転機となったのは、第4節のSVリート戦だった。開幕3試合でまさかの未勝利スタートとなったRBザルツブルクはスタメンを入れ替え。南野はそのチャンスを活かして2得点を記録すると、出場時間を増やしていくことになる。
だが、ここで別の問題が起きていた。チーム自体が相変わらず勝てないのだ。
CLの予備予選3回戦でマルメと対戦したRBザルツブルクは、1st legを2−0で折り返しておきながら、アウェイで0-3の大逆転負けで敗退。ELのプレーオフに回ることになると、1st legをディナモ・ミンスク相手に0-2で落とす。2nd legでは南野の1ゴール1アシストで追いつき延長戦へ持ち込んだが、PK戦で南野、アタンガ、ベリシャが失敗して敗退。RBザルツブルクはこのシーズン、欧州大会に出場できないという大失態を犯してしまった。
シーズン序盤で転けたオーストリア王者は、リーグ戦でもパフォーマンスが低調に。18節の時点で2位となっていた。国内のリーグタイトルは最低ミッションのRBザルツブルクにとって許されるものではなく、ツァイドラーはウィンターブレイクを迎えることができずに解任されたのだった。
オスカル・ガルシア時代
TRAININGSSTART! Heute um 15:00 Uhr findet das 1. Training am Rasen in Taxham unter Trainer Oscar #Garcia statt. #RBS pic.twitter.com/TCD6autTrn
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) January 11, 2016
後任には、スペイン人のオスカル・ガルシアが指揮を執ることになった。システムは[4-2-2-2]というよりも[4-4-2]に変化した。選手時代にクライフのバルセロナでプレーし、監督としてもラ・マシアでの指導経験があったため、典型的な"レッドブルっぽい"チームから少し外れていった。
監督交代によって持ち直したクラブは、リーグ王者のタイトルを守ることができた。南野自身はプロキャリア初のリーグ戦二桁得点を達成。しかし、ガルシア就任以降はプレータイムが減少しており、新シーズンに向けて懸念材料も感じられた。
ガルシアは南野をチームの中心とする構想はあまりないように見え、この夏はリオ五輪もあった。シーズンが7月にスタートするオーストリア・ブンデスリーガにおいて、五輪出場による出遅れはプレシーズンマッチでのアピールどころかシーズン序盤の出場も難しくなってくる。そのため、南野はリオ五輪での活躍によってステップアップした方がいいと個人的には考えていた。
16/17シーズン、やはり風向きは悪くなる。リオ五輪では1ゴール1アシストの結果を残した南野ではあったが、RBザルツブルクに残留することになる。
少ない時間で得点を重ねてアピールを続けるも、上位勢との対戦ではベリシャ(現ラツィオ)、ラザロ(現インテル)、ワンデルソン(現クラスノダール)らが起用され、ベンチを温める時を過ごした。冬にはチームのエースストライカーであるソリアーノが北京国安に移籍したことにより、南野は監督に対して最前線での出場を直訴。その要求はガルシアに受け入れられたが、大きく序列が変わることはなかった。
このシーズン、南野はリーグ戦でキャリアハイの11得点を達成。ライバルを数字では上回っていたものの、出場時間はわずか1140分ほどだった。当時、彼の得点効率が国内外で話題になっていたが、起用方法からして本人にとっては満足できないシーズンだったはずだ。
マルコ・ローゼ時代
OFFIZIELL: Marco #Rose zieht Ausstiegsklausel und wechselt im Sommer zu Borussia Mönchengladbach. Details: https://t.co/81tL3XKkiO pic.twitter.com/MfmDTtBuBG
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) April 10, 2019
17/18シーズンはガルシアのサンテティエンヌ監督就任に伴い、U19からマルコ・ローゼ(現ボルシアMG監督)が引き上げられた。戦術ブロガー出身のレネ・マリッチ(現ボルシアMG・アシスタントコーチ)らのサポートも受け、ユース版CLであるUEFAユースリーグでマンチェスター・シティ、PSG、バルセロナ、ベンフィカなどを破って優勝したことが評価された形だ。
ローゼはこれまでと違い、基本布陣を中盤ダイヤモンドの[4-3-1-2]に変更。南野はトップ下が主戦場になった。
チームはローゼの下で大きくレベルアップし、ELではレアル・ソシエダ、ドルトムント、ラツィオなど4大リーグのチームを次々と倒し、クラブ史上初のベスト4入りを成し遂げた。これはロジャー・シュミット時代に、サディオ・マネ(現リヴァプール)やケヴィン・カンプル(現RBライプツィヒ)らを擁してアヤックスを粉砕したあのチームの成績を上回る。
南野は前シーズンと違ってコンスタントに出場機会を得たが、ELのようなビッグゲームでは、トップ下には中盤のバランスを取るためにシュラーガー(現ヴォルフスブルク)がファーストチョイスになった。とはいえ、途中出場から貴重なアウェイゴールを決めたソシエダ戦やラツィオ戦など、「ジョーカー」として大きく貢献したことは間違いない。
ローゼは18/19シーズンも続投。ELでの活躍により数選手の引き抜きがあったが、チームの骨格は大きく変わることなく、引き続きヨーロッパで存在感を見せる。
ELで同じグループになったRBライプツィヒとの"レッドブル・ダービー"ではダブルを達成し、南野はローゼンボリ戦で日本人初のELハットトリックを記録した。グループリーグではスタメン出場もあった南野だが、やはり決勝トーナメントに入るとジョーカー役を抜け出せず、トップ下のファーストチョイスになるのは、ローゼのユース時代からの教え子ヴォルフ(現RBライプツィヒ)の方だった。
ここまでの南野はチームの主力ではある一方で、重要な試合ではスタメンになかなか選ばれず絶対的な存在になりきれずにいた。
主力の大量流出によりチャンス到来
Munas #Dabbur war mit 20 Treffern und 11 Assists nicht nur Topscorer in dieser BL-Saison, sondern stellte mit 205 Strafraumaktionen noch einen weiteren Bestwert auf. pic.twitter.com/3FCX9jn5BH
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) June 4, 2019
ローゼが指揮した2シーズンのRBザルツブルクは、内容と結果の両面で高く評価された。そうなると選手の引き抜きは避けられない。
昨季こそはベリシャ(ラツィオ)とチャレタ=ツァル(マルセイユ)の流出に留めていたが、今年は多くの主力がクラブを去った。主な移籍選手は以下の通り。
ハイダラ(RBライプツィヒ) ※今冬の移籍
ダブール(セビージャ)
ハンネス・ヴォルフ(RBライプツィヒ)
クサーヴァー・シュラーガー(ヴォルフスブルク)
シュテファン・ライナー(ボルシアMG)
グルブランセン(イスタンブール・バシャクシェヒル)
また決まっていないが、不動の中盤アンカーだったサマセクも移籍確実と思われる。
これにより、ローゼ時代を2年間主力で過ごした選手のうち、アタッカーで残っているのは南野くらいになったのである。ステップアップに取り残されたという見方もあるかもしれないが、重要な役割を担えるチャンスが来たとも言える。
新監督から高評価
🗣 Jesse #Marsch: „Für uns war es wichtig, dass wir den Spielern 90 Minuten Einsatzzeit geben konnten. Es war eine starke Leistung und ein weiterer wichtiger Schritt nach vorne.“ #RBSFEY pic.twitter.com/N2Hh4Lvtsq
— FC Red Bull Salzburg (@RedBullSalzburg) July 12, 2019
4人の指揮官の下でプレーした南野は、その間に様々なポジションを経験した。ヒュッター指揮下ではセレッソ時代と同じ左アタッカーとしてプレー。ツォルニガーやガルシアの期間では右もこなした。ローゼにはトップ下を任されながら、ヴォルフと併用時には最前線でも起用された(ローゼは短い時間ながら、ウィングバックやインサイドハーフで起用することもあった)。
ローゼがボルシアMGに引き抜かれたことにより、今季からジェシー・マーシュが指揮を執る。このアメリカ人指揮官はNYレッドブルズの監督から、RBライプツィヒでラングニックのアシスタントコーチ修行を経て、RBザルツブルクに来た。つまり、レッドブル・グループに育てられた指導者だ。
そんなマーシュは、インタビューで南野のユーティリティ性を評価するコメントをしている。実際にプレシーズンマッチでは[4-3-3]のウィング、[4-2-2-2]の2列目、[4-3-1-2]のトップ下などで起用している。先日の国内カップ初戦では、[4-2-2-2]の右10番で先発。1ゴール1アシストを記録し、上々のスタートを切った。
本人&クラブにとって念願のCL出場
RBザルツブルクほどCL出場を寸止めされたチームはいないだろう。古くは宮本恒靖や三都主アレサンドロが在籍していた頃から、このクラブは何度もCLの予備予選やプレーオフで悔し涙を流した。
しかし今季、トッテナムがアヤックスに大逆転勝利をしてくれたおかげで(アヤックスが前回優勝チーム枠としてのCL出場権を獲得する可能性が潰えたため)、鬼門だった予選を戦わずに済み、ストレートインでの本選出場が決まった。
南野は、今年1月に放送されたテレビ朝日の『日本サッカー新時代』のインタビューの中で、未来年表の24歳の箇所には「CLに出場する」と書き記されていた。
日本では「まだステップアップしないのか」という思いを抱いているファンは少なくないかもしれない。しかし過去はともかく、今季の残留に関してはCLに出場できることから南野はポジティブ捉えていると思われる。
今季こそ最後のシーズンに
とはいえ、RBザルツブルクは長居するようなクラブではない。主要リーグへステップアップできなければ、このクラブを選んだ意味はない。だからこそ、CLでプレーできる今季は大チャンスなのだ。ビッグクラブ相手に大きな爪痕を残せば、扉は大きく開かれる。
日本代表でも、レアル・マドリードと契約した巨大なヤングスターが頭角を現し、森保ジャパンになってから主力の南野も安泰ではない。
本日深夜からリーグ戦がスタートし、本格的にシーズンが始まる。南野のキャリアを左右する今季を全力で応援していきたい。
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