RBザルツブルク産なのに"レッドブルっぽくない"？ ボルシアMGのラザロ獲得が意味すること
昨季RBザルツブルクからボルシアMGの指揮官へステップアップして、見事4位でフィニッシュしたマルコ・ローゼ。今季CLと並行して戦うために、RBライプツィヒからヴォルフ、インテルからラザロというローゼの教え子達をローンで獲得。戦力の拡充を進めている。
今回は特にその中で、元RBザルツブルクのラザロ獲得から見えてくる今季のボルシアMGの基本布陣について考えてみたい。
ラザロは"レッドブルっぽくない"アタッカー？
RBザルツブルクのアカデミーで育ったラザロは、トップチームまで順調に成長し、クラブの10番を背負うまでになった。その後はヘルタ・ベルリンにステップアップて、イタリアの名門インテルへ。残念ながらインテルではファーストチョイスになりきれず、昨冬のニューカッスルへのローンを経て、今季ブンデスリーガに復帰という流れだ。
そんな24歳のオーストリア人は、生粋のRBザルツブルクっ子でありながら、"レッドブルっぽくない"アタッカーの側面も持つ。
特にRBザルツブルクにおいては、ロジャー・シュミット（現PSV監督）が［4-2-2-2］のパワーフットボールを採用していた影響もあってか、2列目にはダブルトップ下としてインサイドで輝く選手が多い印象だ。
具体的にはカンプル（現RBライプツィヒ）、ヴァロン・ベリシャ（現スタッド・ランス）、南野拓実、ソボスライのような選手の名前を挙げることができる。日本ではドリブラーだった奥川雅也も、RBザルツブルクではよりゴールに直結する動きを増加させている。もちろんサディオ・マネのように、インサイドでもアウトサイドでもワールドクラスのパフォーマンスを発揮出来るプレーヤーもいるが。
それに対して、ラザロはアウトサイドで特徴を出せる選手と言える。サイドで幅を取り、ドリブルの仕掛けでチャンスメイクすることを得意とする選手だ。
では、なぜそんな例外的な選手がRBザルツブルクで起用されたのか。ラザロがトップチームに定着し始めたのは、15/16シーズンの途中。実はこの時、近年クラブが最も混乱したシーズンである。
前シーズンにヒュッター（現フランクフルト監督）がフロントとの方向性の違いから辞任すると、代わりにセカンドチームのリーフェリングからツァイドラー（現ザンクトガレン監督）を昇格させる。しかし、いきなりシーズン序盤にCLどころかELの出場権すら逃すと、優勝がマストのリーグ戦でも低迷。半年も持たずに解任となった。
その後任に選ばれたのが、スペイン人のオスカル・ガルシア（現セルタ監督）だった。ラ・マシア出身のガルシアは、それまでの［4-2-2-2］からサイドの幅を取る［4-4-2］に微調整。その結果、ファーストチョイスに選ばれたのが南野のような選手たちではなく、ラザロになったわけだ。
つまり、レッドブル流（ラングニック流）と違った流派の監督が就任したことで、"レッドブルっぽくない"アタッカーのラザロは恩恵を受けたようにみえる。
4-3-1-2は今季もプランBか
話をボルシアMGに戻そう。
ローゼが就任したボルシアMGは、昨季序盤［4-3-1-2］でスタートした。これは、ローゼがRBザルツブルクユースの監督時代から得意とする布陣。中盤をダイヤモンド型にするため、［4-D-2］とも言われる。これをベースに、ローゼはユース版CLであるUEFAユースリーグを優勝。トップチーム昇格後もELベスト4など輝かしい功績を残した。
しかし、ボルシアMGでは序盤こそ［4-3-1-2］を採用していたが、内容があまり伴わず。そこで、マーカス・テュラムやヘアマンなど優秀なサイドアタッカーを活かす［4-2-3-1］にシフトしていった。
つまり、ラザロの獲得は今季も［4-2-3-1］、またはウィングバックのある3バックシステムをプランAとする継続路線で行くと予想する。
ローゼはラザロに関して、「CMFでの起用も考えられる」とコメントしているため、RBザルツブルク時代のハイダラやヤボのような中盤ダイヤモンドの右で使う可能性も考えられるが、あくまで［4-3-1-2］はプランBの選択肢になるだろう。
ローゼとラザロは師弟関係といっても、トップチームでの接点はわずか数試合。当時ローゼはラザロを右SBで起用していたが、ボルシアMGではライナーがいるため、1列前のポジションが主戦場になると思われる。
レッドブルのフットボールを知る選手がさらに補強され、注目度が増すボルシアMG。現在怪我人が多いことが気になるところだが、CLやブンデスリーガで魅力的な試合を見せてくれることを期待したい。
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