RBザルツブルク時代の輝きを取り戻せ! ハイダラ復活への道
ナビ・ケイタ、ダヨ・ウパメカノからファン・ヒチャンまで。これまでRBザルツブルクからRBライプツィヒへと“昇格”していった選手は数多くいる。
アマドゥ・ハイダラもその一人だ。
マリ代表MFは、RBザルツブルクで躍動感あるプレーを披露。2018年には、エンバペやプリシッチらと共に若手版バロンドールである「コパ・トロフィー」の候補者にノミネートされた。
しかし、RBライプツィヒに移ってからは期待通りのパフォーマンスを見せているとは言い難い。今回はそんなハイダラの現状や活きる道、そして今後の可能性について考察していきたいと思う。
ローゼの下で成長
まずは、RBザルツブルク時代について振り返る。
16/17シーズンにRBザルツブルクに加入したハイダラにとって、キーパーソンとなったのがマルコ・ローゼ(現ボルシアMG監督)である。
RBザルツブルクのU19監督だったローゼは、ハイダラやハンネス・ヴォルフ(現ボルシアMG)らを中心としたチームで、若手版CLであるUEFAユースリーグを優勝。その実績が評価され、翌シーズンからトップチームの指揮官に昇格した。恩師の出世によって、ハイダラはトップチームで本格的にプレーしていくことになる。
ローゼ、そして彼の右腕であるアシスタントコーチのレネ・マリッチとアレクサンダー・ツィックラーが最も得意とするフォーメーションが[4-3-1-2]。中盤がダイヤモンドのため、[4-D-2]とも呼ばれる。ハイダラは、ユース時代からこの布陣の中盤を主戦場としていた。
トップチームでのハイダラは主に右ハーフスペースにポジションを取り、ダイナミックなプレーでファンを魅了。17/18シーズンのELベスト4進出に大きく貢献した。
ドイツでの苦難と光明
だが、ステップアップしたライプツィヒの地ではまだ本領を発揮できていない。
ここまでラングニックとナーゲルスマンの下でプレーしてきたハイダラは、右よりも左側のボランチやインサイドハーフで起用されることが多かった。ただ、彼が左ハーフスペースでボールを持ってカットインやチャンスメイクするプレーは窮屈そうに見え、ダイナミズムが失われているようにも感じた。また、ダブルボランチで起用された際には、しばしばフィルター能力の欠如を露呈していた。
このハイダラの弱点について、ローゼは元々わかっていたのかもしれない。印象的だったのが、17/18シーズンのELベスト16ドルトムント戦だ。
この試合でのローゼは、自身が得意とする[4-3-1-2]ではなく、中盤がフラットの[4-4-2]を採用。この時の中盤の並びは左からヴァロン・ベリシャ(現スタッド・ランス)、サマセク(現ホッフェンハイム)、クサーヴァー・シュラーガー(現ヴォルフスブルク)、ハイダラだった。つまり、ハイダラを2枚で守る中盤センターから避け、右ワイドに置いたのであった。
そんなハイダラにもRBライプツィヒでフィットする兆しが見える。
ナーゲルスマンは独自の戦術用語を使うことで有名で、その中に「ジョーカー」というワードがある。ジョーカーとは左右のウイングバックのことを指し、攻撃時に直接ゴールに絡むような役割を求められる。特に昨季のアトレティコ・マドリード戦では、右WBに本職3列目のライマーを起用。可変システムの肝となった。
残念ながら、ライマーは今季負傷により長期離脱中。そこで、開幕戦にそのポジションに抜擢されたのがハイダラだ。彼は得意な右寄りポジションで躍動し、ジョーカーとしてのタスクである得点も決めた。
幅を広げて重要選手に
現代のフットボールでは、どのポジションでも求められることが多岐に渡る。セービングだけに長けたGKや、ボックス内でのみ仕事ができるストライカーは居場所を失いつつある。
中盤の選手もそうだ。インサイドハーフの選手がよりフィニッシュに近い仕事をこなすようになっている。これを最高級に行える選手の一人がケヴィン・デ・ブライネだろう。
ナーゲルスマンの指揮によって、多くのタスクが求められる現在のRBライプツィヒ。ハイダラは良い滑り出しとなったものの新型コロナウイルスに感染し、今節に復帰した。これから彼が巻き返し、選手として幅を広げることに期待したい。
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