パウル・ヴァナー:ナーゲルスマンとラングニックが争奪戦を繰り広げる逸材の選択は?
11月7日、日本代表はアジア最終予選に臨む招集メンバーを発表し、その中でシュツットガルトのチェイス・アンリが落選したことが一つの話題となった。今季クラブで一定の出場機会を得ていながら代表から外れたことへの意外性だけでなく、彼の代表選択という将来についても注目が集まっている。
20歳の若手DFであるアンリは、父親がアメリカ人であるため、アメリカ代表を選択する権利を持つ。このため、日本サッカーファンの間では「彼が将来的に日本代表を選ばないのではないか」という懸念が広がり、議論の的となっている。こうした複数の国にルーツを持つ選手を巡る代表勧誘合戦は、他国でも日常的に見られる現象だ。
今回は、かつて共にRBライプツィヒで指揮を執ったことのあるユリアン・ナーゲルスマンとラルフ・ラングニックの間で勧誘合戦が繰り広げられている、パウル・ヴァナーという若手選手について焦点を当てる。
ドイツ代表を"一旦"拒否
18歳のヴァナーはバイエルンのアカデミー出身で、身長185cmの左利きアタッカー。彼は16歳15日という年齢でブンデスリーガデビューを果たした。これはバイエルン史上最年少であり、ブンデスリーガ全体でもユスファ・ムココ(ドルトムント)に次ぐ若さだった。そのデビューを実現させたのが、当時監督だったナーゲルスマンである。
ヴァナーがここまで若くしてデビューできた背景には、当時の特殊な状況が影響していた。新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、バイエルンは選手層に穴が生じ、急遽ヴァナーをトップチームに昇格させる必要があったのだ。
昨季ヴァナーは2部エルフェアスベルクへローンされ、今季はハイデンハイムで1部リーグの試合経験を積んでいる。すでに公式戦で5ゴール2アシストという結果を残しており、その成長には目を見張るものがある。
そんなヴァナーは母親がオーストリア人であるため、ドイツ代表だけでなくオーストリア代表も選択可能である。
これまで彼はアンダー代表でドイツを選んできたが、今月ナーゲルスマンからのフル代表の誘いは辞退した。その代わり、彼は今月もU21ドイツ代表での活動を希望しているとされている。
オーストリア側にも懸念材料
オーストリア代表監督のラングニックも、早くからヴァナーの才能に目をつけていた。
ラングニックは2022年の時点でヴァナーをオーストリア代表に呼んでおり、トレーニングのみ参加させている。ラングニックはヴァナーについて、「今後の大会において、レギュラーとしてプレーできる可能性が高いのはどこかということだ」と語っている。
確かにドイツ代表であれば、ジャマル・ムシアラやフロリアン・ヴィルツとともに2列目に名を連ねることはファンとしては魅力的な未来である一方で、ヴァナーにとっては年齢の近い彼らとポジション争いを強いられるという状況も考えられる。
しかしながら、オーストリア側にも問題は存在する。
オーストリアサッカー協会は先月、会長クラウス・ミッタードルファーの主導の下、協会内で対立状態にあった経営部門責任者ベルンハルト・ノイホルトと事務総長トーマス・ホレラーの両者解任を発表。この結果、ラングニックや中心選手であるダヴィド・アラバ、マルコ・アウナウトヴィッチ、マルセル・ザビッツァー、コンラート・ライマーなどがノイホルトの解任に反対する立場を取っている。
ラングニックの契約は2026年のW杯予選終了までとされており、本大会への出場が決定した場合はW杯本番まで自動的に延長される。会長はさらなる延長を希望しているが、ラングニックはこのような状況から契約延長について慎重な姿勢を示している。
そのため、ヴァナーはしばらく最終的な代表選択の決断を先送りする可能性が高いと思われる。彼自身も「まずはブンデスリーガで1年間しっかり戦いたい」と述べている。
『Bild』によれば、レヴァークーゼンはヴィルツ流出に備えてヴァナーをリストアップしており、RBライプツィヒもシャビ・シモンズを完全移籍で獲得できなかった場合に彼を後釜候補にしているという。
チェイス・アンリと同様に、まずはブンデス期待の若手選手としてヴァナーのクラブでの活躍や去就に注目していきたい。
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