婚活=プラスイメージの世の中に「IBJのマーケティングトレース」
ふと、そそられるような広告 婚活がズルい?
仕事の帰り道、電車内で森香澄さんのきれいな写真の広告が目に留まった。
単純に森さんの可愛さもありますが、インパクトの強い赤の背景、そして「婚活」というWordにあまり馴染みのない"ズルい"という言葉を大きく表すことで、広告へ人の意識を向け、不自然さの感情を植え付け、印象付けていた。
かく言うこの会社は「株式会社IBJ」
マッチングアプリや結婚相談所、合コン等だけでなく、登録者への結婚相談の直接の支援等も行い、市場規模を拡大している。
そんな婚活支援の会社がどのように成長していったのか、マーケティングの側から紐解いていく。
株式会社 IBJについて
2000年に設立され、婚活業界で多岐にわたるサービスを展開するリーディングカンパニーです。
主力事業は結婚相談所の運営や、婚活パーティー、オンラインでのマッチングサービスなど多彩な婚活支援また、提携結婚相談所の運営支援も行っており、業界全体の基盤を支え存在となっています。
成長のポイント
オンラインの婚活の普及:特に2020年以降、コロナ禍でもオンラインでの婚活需要が急増し、IBJはその後速やかに対応する形で成長を続けています。
M&Aによる市場拡大:皆さんの結婚相談所や関連企業の成長により、婚活業界での影響力をさらに拡大しています。
成婚率向上:独自のマッチングシステムやAIを活用した成婚率向上の取り組みが奏功しています。
PEST分析 婚活業界の取り巻く現状
IBJの属する婚活業界について、マクロ分析を行います。
PEST分析から市場環境について紐解いていきます。
IBJでは、業界でよく広がるマッチングアプリや、街コン等のサービスだけでなく、圧倒的な登録者数を誇るデータに対して、AIを活用した個々人に合ったマッチング支援をオンライン/オフライン共に行っている。
5FORCE分析 婚活業界での現状
マッチングアプリが従来の「出会い系」としての認識からは大きく変わり、若者も含めて手軽に始められるものになったが、
「IBJ」は、大手企業としてのブランド力、これまでの成約率による信頼性、会員数の規模で市場シェアを獲得している。
更なる市場規模の拡大として、アプリへの参入だけでなく、スマホ一つで個々人の嗜好の振り分けから、マッチングの仲介・どうすれば成約が上がるかのマンツーマンのサポートまで支援できるようなサービスが求められる。
3C分析 市場拡大への戦略
顧客
20代~40代を中心とし、収入やキャリアが安定して結婚への意識が高い層にアプローチ。
時間をかけても確実な成約を望むため、質の高いサポートと効率的なマッチングサービスへのニーズが高い。
IBJの優位性
BJは、オンラインとオフラインの融合を推進し、個別のカウンセリングやAIマッチングなど、ITを駆使した多様なサービスを提供しており、幅広い層のニーズに対応。
競合
ITを活用したデータマッチングによる効率性に特化した企業や専任カウンセラーによるフルサポートを行う企業等の競合があるが、IBJは全国規模のネットワークと実績を持ち、オフラインでの結婚相談所とオンラインでのアプリ等の活用、個々人に合ったマッチング支援(合いそうな人のつなぎ、成約率を上げるためのサービス提供等)を行うことで競争との差別化を図っている。
STP分析 どの顧客にターゲットを絞るか
キャリアや収入が安定した結婚への意識が高い層は、手軽な無料マッチングアプリより、「お金を払ってでもいい人とすぐに出会いたい」を求めており、IBJではアプリだけでなく登録者に対して趣味に合ったイベントやパーティーの実施、「ごはんデート」等の最短で出会えるサービスにより他社を圧倒している。
4P分析 どんなサービスが刺さるのか
「お金を払ってでもいい人とすぐに出会いたい」にどのようなマーケティングミックスを構成しているのか。
Product(商品)
アプリ以外の結婚相談所、合コン・街コン等のイベント、パーティーを開催するだけでなく、その人に合ったイベントの案内や良いマッチング方法についてアドバイスを行い、「ごはんデート」等の適切なマッチング、オフラインデートを即時に行えるサービスを提供している。
Price(価格)
IBJメンバーズは入会費が税込219,450円、月会費が税込17,050円で若干高い印象。
Promotion(広告)
IBJはテレビCMやオンライン広告、SNSなど、デジタルマーケティングを駆使して広範な層にアプローチ。
特に、若い世代に向けたSNS、30代前後の会社員向けの駅広告を活用したプロモーション活動に力を入れており、InstagramやTwitterなどを活用した情報発信や、YouTubeでの成功事例紹介などが特徴的。
また、口コミや実際の成功体験を共有することで、信頼性を高めている。
冒頭の印象的な広告では、今勢いのある森香澄のアップと婚活が"ズルい"と表現される不自然さにより顧客の興味を持たせ、様々なサービス提供によって引き込んでいる。
組織構造・文化、経営方針
組織構造としては、顧客に対して徹底的にサポートを提供することを重視しており、カウンセラーやアドバイザーは専門性を持ち、個々の会員に合ったサービスを提供することを目標としている。
また、会社の文化として「会員の結婚を実現すること」を最重要視し、実績と信頼を築いてきた。
経営方針としては、"「ご縁がある皆様」を幸せにする"を経営理念に掲げ、人のつながりを通じて社会に貢献することを使命として婚活支援を通じて少子化問題の解決に寄与している。
また、DXを推進し、AI技術やデジタルツールを活用して婚活の効率化を図っている。
成功のポイント
IBJが成功しているポイントとしては、以下が挙げられる。
信頼性の高いネットワーク
IBJは全国規模の結婚相談所ネットワークを構築し、多くの加盟相談所を通じて顧客に対して一貫したサービスを提供している。
顧客サポート体制
カウンセラーやアドバイザーの専門的なサポートが充実しており、個々のニーズに応じたサービスが提供されている。
デジタル化とAIの活用
AIを活用したマッチング性能を高め、アルゴリズムの導入により、成婚率の向上が図られている。
また、オンライン婚活イベントの開催や、デジタルプラットフォームの拡充により、効率的でアクセスしやすいサービスを提供している。
自分がCMOなら?
IBJがさらに成長するためには、以下の点が鍵となる。
戦略
巨大なプラットフォーム活用による地方への認知拡大。
タレントやインフルエンサー、そして自治体と協力した広報により、結婚=ハードルが低いもの、本当の理想と出会える価値の提供を実現できることを、各地方で広く伝える。
ターゲットの拡大
現在、IBJは主に20代から40代の収入の安定した未婚者をターゲットにしていますが、今後はさらに幅広い年齢層に対するアプローチを検討する必要がある。
特に50代以降のシニア世代に対する婚活市場は、今後成長が見込まれる分野。
さらに、国際的なマッチングサービスの拡充によって、海外在住の日本人や国際結婚を希望する顧客にも対応することができる。
地方市場への進出強化
都市部を中心にサービスを展開してきたIBJであるが、地方市場へのさらなる進出も重要。
地方自治体との連携を強化し、地方在住の未婚者に対して婚活支援を提供することで、地方創生にも貢献できる。
特に、地方自治体が主催する婚活イベントへの参画や、地元企業との提携によって地方における知名度や信頼度を高めることができる。
パートナーシップの拡大
ファッションブランドや旅行会社と提携して、婚活イベントを絡めたコラボにより、更なる認知度の拡大。
また、メディア企業やIT企業との協力によって、新しい出会いの場を提供し、ユーザー体験の向上を図ることも期待できる。
CSR活動の強化
企業の社会的責任(CSR)活動を通じて、IBJの社会的な信頼をさらに高めることも重要。
少子化問題や地域活性化に貢献する自治体と連携した婚活支援プログラムを展開することで、ブランドイメージの向上が期待される。
まとめ
IBJは、結婚支援サービスのリーディングカンパニーとして、多くの成婚を実現してきた。
その成功の背後には、堅実なビジネスモデルと、顧客に寄り添ったサポート体制、そしてAIやデジタル技術を活用した革新が存在する。
今後も、国内外の市場ニーズに応じた柔軟な戦略展開と、サステナビリティを意識した経営を続けることで、婚活市場でのリーダーシップを維持しつつ、さらなる成長が期待される。