分散はしない!厳選して集中投資するということ
こんにちは。プライベートバンカーT&Sです。
さて、いきなり質問です。
皆様は、特化型運用の投資信託をご存知でしょうか?
通常、投資信託は法律や投資信託協会が定めた規則により、運用資産を特定の企業に集中投資することが禁止されています。これは過度なリスクを取らないようにする措置です。
具体的には1つの企業の組入比率が10%を超えないように調整することが義務づけられています。
しかし例外的に認められているのが、特化型運用の投資信託です。なんと1つの企業の組入比率を35%まで集中投資できるのです。
投資の基本は分散投資。
どこかで聞いたことのある常識が、常識とならない世界があるようです。
それでは前回の予告通り、スパークス・アセット・マネジメントが運用する『厳選投資』を見ていきたいと思います。
↓前回
まずスパークス・アセット・マネジメントという会社は、1989年に創業した独立系の運用会社であり、現在は東証一部にスパークス・グループとして上場しております。
あくまでも私のイメージですが、独立系ということで、どうしても大手金融機関グループより知名度が劣るものの、知る人ぞ知る名門の運用会社だと感じております。
HPでは、グループでの運用資産残高(2019年3月末)は1,1487億円と公表されており、その運用規模もおわかり頂けると思います。
またヘッジファンドの代表的な運用手法として知られる『ロング・ショート戦略』を日本で初めて導入したのもスパークスとの事です。
どうやら個人投資家というより、機関投資家(プロ)の評価が高い企業のようです。
そして以下が、スパークスの運用哲学です。
「マクロはミクロの集積である。」
この投資哲学を創業以来変わることなく、
忠実に実践してきたことが、
スパークス・アセット・マネジメント株式会社の真髄にほかなりません。
経験豊富なアナリストたちが各企業と
直接面談し、徹底的な調査を行います。
そこから得た現場の生きた情報の
ひとつひとつを見極め、
個別の銘柄選択という形で具体的な投資活動に反映させていきます。
さらに、
一つの企業を複数のアナリストの目で検証し、議論を重ねることで、
その企業が持つ真の実態価値を
徹底的に追求します。
・・・とても難しいことが書かれています。
私なりの解釈になりますが、徹底した情報収集と入念な企業分析をすること、そして十分に割安となったタイミングで厳選投資すること、これがスパークス・アセット・マネジメントの特徴であるようです。
だからこそ絶対的な自信の表れから、特化型運用の投資信託にしているのだと強く感じた次第です。
そして誰もが確認できる月次レポート(2021.5.31現在)ですが、前回ご紹介した『ひふみシリーズ』のようなサービス精神旺盛な作りにはなっておりません。
まず目に飛び込んでくる『特化型』という赤いスタンプのような表示が、物々しさすら感じさせます。
しかし2008年からの運用実績は抜群で、ファンドのパフォーマンスは設定来406.89%(同期間のTOPIXは106.99%)で、基準価額は43,882円になっております。
組入銘柄数は驚きの18銘柄です。
全く分散投資しておりません。
そして運用担当者のコメントは2ページにわたりビッシリと書かれ、個別企業の経営体制についても細かく情報開示されております。
またリスク欄には『集中投資のリスク』が書かれており、分散投資を行う一般的な投資信託とは違うことが明記されております。
作りは非常に淡白ではありますが、他では決して見ることができない、特徴ある月次レポートになっております。
その反面、スパークス・アセット・マネジメントのHPは非常に充実していることもご紹介したいと思います。
投資とは何か?
学びたい投資家にとって非常に有意義なものになっております。
特にバフェット・クラブという社内勉強会の様子はアニメとコラムの2つで紹介されており、スパークス・アセット・マネジメントの投資に対する向き合い方がどのようなものなのか感じることができます。
また創業者である阿部修平氏がニューヨークでジョージ・ソロスの運用に携わったことや、ウォーレン・バフェットとの面談から得たことなど、様々なエピソードも是非ご確認いただけたら面白いと思います。
そして最後にROEについて簡単にご紹介したいと思います。
ROEとは、株主資本利益率のことで経営効率を示す財務指標です。
スパークス・アセット・マネジメントでは、このROEを大事にしているそうです。
私も金融業界に20年以上も身を置いている関係から、スパークス・アセット・マネジメントとは若干のご縁があった頃もありました。
そこで聞いたのは、ROEの高い企業もしくは経営者を見つけるのが大切という事でした。
最新の月次レポートには、ソフトバンクそして孫正義氏の名前が何度も出てきます。
孫正義氏にお金を預けると、1年後には10%以上の利息を付けて返してくれる。
それはまるで株式投資を債券投資のように考える感覚であり、継続してROEの高い企業へ投資することが、まったく新しい感覚として私に衝撃を与えた記憶があります。
いかがでしょうか?
皆様の保有している投資信託には、このような強い意志がありますでしょうか?
日本株を投資対象としたアクティブ運用への見方が少し変わってきませんか?
まだまだ面白いファンドはあります。
次回もご期待ください。