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通貨としての金を考える

こんにちは。プライベートバンカーT&Sです。

今回もオルタナティブ投資について考えてみたいと思います。

尚、前回はオルタナティブ資産をポートフォリオの御守りとして保有することを提案させて頂きました。

そして今回は具体的なファンド紹介として『ピクテ・ゴールド』をご紹介させて頂きたいと思います。

やはりオルタナティブ資産と言えば、金!

ここは外せない気が致します。一般的に株式との相関が低いことで有名な資産であります。そして通貨としての側面を持つ資産であることが、とても重要なことだと思います。

それでは、いつものように月次レポート(2021.09)から内容を確認してみたいと思います。

尚、本ファンドは『為替ヘッジありコース』と『為替ヘッジなしコース』の2つがありますが、今回のテーマはオルタナティブ投資なので、為替の影響を排除した『為替ヘッジありコース』で見ていきたいと思います。

まず1ページ目にはファンドの状況が記載されております。純資産総額は720億程度であり、これまでの純資産総額の推移がチャートで記載されております。そのチャートで最も古い地点、2016年7月から確認してみても順調に積み上がっていることがわかります。

ちなみに設定来(2011.12)の騰落率は19.9%であり、年率1.88%の成長を遂げております。

もっとも私の考えるオルタナティブ資産は、成長性を期待するものではなく、安定したポートフォリオを構築するための『お守り』であるため、この程度の騰落率で十分であると考えております。

そして本ファンドは、米ドル建ての投資信託証券(主にフィジカル・ゴールド・ファンド)への投資を通じて金の現物に投資をしているものであり、基本的に基準価額は金価格に連動していくものであります。

つまりパッシブ運用のファンドとなりますので、特にファンドマネージャーの想いなどが語られることも無く、非常に淡泊なレポートとなっております。

尚、モーニングスターアワードのファンドアワード2019のオルタナティブ型部門で優秀ファンド賞を受賞したファンドであることは付け加えておきたいと思います。

ただ、これだけでは金を投資対象とした他のファンドに比べて、何が優れているのか?もっとコストの低いファンドもあるのではないか?という事になって参ります。

よって私の投資家としての個人的な見解を少し展開させて頂きたいと思います。

それは国内に6000本以上の投資信託があると言われる中で、私はお付き合いしたいファンドとそうでないファンドの基準が明確にあるということです。

以前のコラムでも紹介しましたが、私自身がそのファンドや投信会社のファンとなれるかどうか・・・これがポイントになります。
↓ご参考

ファンになる投資信託には、必ず作り手の想いや投資哲学など共感できるものがあります。

そして多くの場合は月次レポートやホームページにソレが反映されているものです。

単純にマーケット環境の解説や基準価額の変動要因を説明するだけのレポートでは、決して心は動かされません。

ではピクテ投信には何があるのでしょうか?

実は私は、ピクテ投信の『改めて考える金の魅力』(2020/09/16)というレポートに魅了されているのです。

金価格が2020年8月に1トロイオンス=2000米ドルを突破した後に、このレポートは発表されました。

*1トロイオンスは31.103グラム。金などの貴金属の重さを示す単位。

そこでは金が通貨としての側面を持つ資産であることが重要だと書かれております。

そして金は最強の通貨と表現されています。

金は利子や配当が無く、金利水準が高い局面では不利になります。

一方、金利水準が低い局面では魅力的な資産であると指摘しています。

現在、全世界的に各国政府およひ中央銀行は金融緩和政策を実施しております。

コロナ禍であることも要因の1つではありますが、それはリーマン・ショックの頃から継続的に進められた政策でもあります。

そして大量に供給される各国通貨に対して、金は希少性の高さから相対的な価値を高めているというのです。

つまり世界各国の中央銀行でジャブジャブお金を刷ってバラマキをしている間も、地球上の金の流通量は変化しておらず、金価額に比べて各国通貨の価値が下落しているのです。

よって金価額が上昇しているのではなく、今後も世界的な金融緩和が継続されるのであれば、通貨としての金の魅力は更に高まるということになるのです。

ピクテ投信は、このような金と通貨の関係性から現在価額の妥当性を唱えているのです。

皆様は、いかがでしょうか?

オルタナティブ資産として、金をポートフォリオに組み入れたいと考えるでしょうか?

米国の金利上昇が懸念される現状で金を保有することは少し不安かもしれません。

しかし資源そして実物資産としての側面も持つ金は、本来インフレに強い資産でもあります。

結局、上がる下がると予想するのは無意味な事かもしれません。

金は分散投資の一環であり、お守りとして保有するもの、私はそう考えようと思います。

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