2人の母親の話
息子が同じ中学の学年にいる2人の女性がいた。どちらも三者面談などで見かけた程度で、話したことはなかった。
ある日、その2人の母親が呼び出された。何でも2人の子どもがたった1人の男子に殴りかかったらしい。
話をよくよく聞くと、その男子がいじめている生徒を守ろうとしたらしい。その生徒の母親が必死に頭を下げてきた。いじめた男子の方は2人に殴られたので、顔は腫れて鼻血が出ていた。頭も少し打ったらしい。
いじめた男子の母親は当然怒り心頭だった。2人とも謝り、その場は解散となった。
帰る最中、母親は息子の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「それでいいのよ、あんたはまだ大人にならなくていい。許せないのなら、立ち向かいなさい。」
もう1人は、息子と目を合わせながら悲しそうな顔で言った。
「許せなかったのは分かるわ。でも、お願い。いじめには関わらないで。あなたが次の獲物にされたら、私は耐えられない。」
どちらの女性も母親だった。それぞれの息子はそれが分かったのか、母親の目の前で甘えるように号泣した。
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。