1つの歪んだ心の話
俺が、彼女の家族を殺した。
その家族は正しく機能していなかったのは偶然で、俺はただ、誰かを殺したかっただけだ。
でも、彼女は親や兄弟を殺されてもニコニコしていた。
そして俺にこう言った。
「あなたになら、殺されたい。」
そう笑う彼女が、恐ろしいまでに美しかった。死を目の前にして人はこんなにも美しくなるのか。
思わず見とれて、手が止まった。そこからは覚えてないけど、いつの間にか刑務所の中にいた。
死刑にでも何でもしてくれと、諦めていたら彼女が面会に来た。そしてあのときと同じ笑顔でこう言った。
「私、あなたのこと好きになっちゃったみたい。」
何なんだこの女は。家族を殺されてどうして笑っていられる?どうして俺が好きだと言える?
ただ、その笑顔はひどく美しく、このために何でも出来そうな気がした。まるで女神だった。
だから死刑が決まったとき、すぐに脱獄した。こんなことを考える資格も権利もないのだろうけど、彼女に会いたかった。
そして、彼女に会えたとき、こう言った。
「俺は、君を殺したい。」
願わくば君に、望まれたい。
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。
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