けだるい朝とはっきりしたことについて
「そういえば、好きとか言わないよね。」
隣で寝ている女が言った。恋人として一緒にいて結構長いが、そんなこと言ったのは初めてだった。
「急にどうした。」
「いや、あなたって『そばにいて。』とか『愛してる』以外の言葉で好きって言ってくれるよね。」
「まあね。」
「嬉しいんだけどね、ストレートに言うのは照れるの?」
それもなくはなかったけど、僕なりの考えがあった。
「好きとか愛してるなんてそう簡単に言えることじゃないだろ。特に君に言うのは大切にしたい。」
それを聞いた恋人は目をパチクリさせた。それから僕に抱き着いてきた。
「私、どうしてあなたを好きになったか分かったかも。」
「…なんだよそれ。」
「あなたってとことん誠実なんだね。」
こんなひねくれものを誠実と呼ぶのは君だけだろ。そう思いながら彼女の肩を抱く。
「もう少しだけこうさせて。」
それだけ言って、だるくて眠い朝を少しだけいいものにする。彼女は最高の笑顔で僕の腕の中にいる。
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。
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