夜と1人の話
子どもの頃は夜が怖かった。空想好きのわたしは、夜の闇に恐ろしい怪物がいるのかもしれないとひどく不安になって、よく母親に泣きついていたものだ。
大人になるにつれ、夜は眠るだけのものになってきた。付き合いで飲みに行くこともあるし、愛する人と過ごす夜もあったが、最終的には眠りにつくだけ。
今の私にとって、夜は希望だ。よく眠れる体質なので、熟睡し、夢も見ない。
だから、もしも、夜の間に大事な奥さんに会えたらそれは幸せなことだ。
だが、優しくも残酷な夜は、まだ私を奥さんの元へは連れていってくれない。
この老いた身には、それを待つことすら楽しみだ。
こんばんは、相変わらず美しい夜よ。
今日こそ、彼女のもとに連れていってくれないか?
夜は返事もせず、ただひっそりと、私を包んでくれた。
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。
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