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1人の耳の話

 その女の子は、自由に音を聞こえなくすることができました。耳を少しだけ引っ張ると、何も聞こえなくなって、もう一度引っ張るとまた聞こえるようになります。

 自分の中を流れる血液の音すら聞こえなくなるので、本当に音のない世界でした。

 「耳栓がいらないわ。」

 彼女はそう言って笑ってました。

 聞きたくないことも聞かなくてすんだので、自分を守ることもできました。

 聞きたいことはよく聞いて、聞きたくないことは何がなんでも遮断していたので、人との繋がりが保ちやすかったのです。

 ただ、嫌われていると思った相手の、

 「あなたが好きなんです。」

 という言葉もいくつか取りこぼしていたのですが。

 


 以上、らずちょこでした。

 ※この物語はフィクションです。

 ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

 ではまた次回。

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