1人の相談役の努力の話 後編
依頼人を送り届けた後、小松さんが急に
「ああぁあぁーーー!!」
と小声で叫んでた。あーはいはい、と思いながら窓とかカーテンを閉める。
「なーぁにが!努力!してるだ!こっちは朝からオメーらみたいな勘違い野郎の話10回聞いて、心理学の論文4つは読んで、英語とか中国語とか勉強して、趣味に当てる時間もないっつーのに!!」
一呼吸おいて続けた。
「それから見た目が物を言うから毎日毎日面倒なトリートメントと、ネイルと、ジョギングしてんだよ!努力してるっつーならまず見た目を何とかしろよ!なんであいつら大体小デブなんだよ!!どこが頑張ってるんだよ!!」
「…コーヒー淹れなおしましょうか?」
一息で語ったから、肩で息してら。コーヒーのおかわりを淹れてあげたら、落ち着いたらしい。
「よく我慢しましたね。」
「だって、前口コミに厳しすぎて鬱になったって書かれたんだもん…。」
「もんって言ってもかわいくないっすよ。」
小松さん自身、めちゃくちゃ努力家でストイックなんだ。だからこそ、さっきみたいな中途半端なやつが許せないんだろう。
ただまぁ、最近は厳しくしたところで響かないやつには響かないと知ったらしくて。キツい物言いをする人を選べるようになったらしい。
「あんたも頑張りますね。」
キツい一言で有名な相談所は、コーヒーの匂いで、今日も息苦しい。
でも、やけにスッとするんだ。
終わり
以上、らずちょこでした。
※この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
ではまた次回。
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