NISTのAIRCはどのような組織か
米国商務省の所管の機関であるNISTの概要は、以下のとおりで、アメリカにある標準技術研究所である。元々は、物理化学研究所であった。
このNISTが、2023年3月30日に、AIRCという組織を設立したのである。AIRCは、”Trustworthy and Responsible AI Resource Center”の略で、AIにおける技術的・科学的イノベーションを推進する米国内外の政府、産業界、学界の人々や組織を支援するプラットフォームであり、基礎的なコンテンツ、技術文書、標準、測定方法、測定基準、データセットのリポジトリハブ(通常、GitHubのようなオンラインのバージョン管理システムを指す)などのAIツールキットをワンストップで提供する役割を果たす。
HPによれば、AIRCのto DOは、以下に整理・要約される。
①AI RMFの知識ベース
(1)AI Risk マネージメントフレームワーク (RMF)
及びそのロードマップの情報提供
(2)AI RMF プレイブック
(3)用語解説
②イベントの開催
(1)ワークショップ
(2)AI客員研究員
③トレーニング(RMFとは何かの動画の提供)
AIRCは、NISTのリソースにアクセスでき、基礎となる文書(PDF)は、AIリスク管理フレームワーク(RMF)1.0。これは、AIシステムのライフサイクル全体でリスクを管理するための原則と実践方法が書かれている。また、AIRCは、「AI Risk Management Framework」として、フレームワークの4つの主要な機能であるGovern、Map、Measure、Manageの手順を企業側に案内している。
また、AI RMFに加えて、AIRCは現在、RMFとAIソリューションの実装を支援するプレイブック(*)、公私の協力と支援を伴うNISTの計画イニシアチブのロードマップ(*2)、用語集と定義のガイド、およびNISTのAIアジェンダに関連するイベントと機会のセクションを提供している。
(*)プレイブックは、AIリスクマネジメントフレームワーク(AI RMF)コア(AI RMF 1.0の表1~表4)に示された成果を達成するための提案行動を提供する。提案は、AI RMFの4つの機能(ガバナンス、マップ、測定、管理)の各サブカテゴリーに沿ったものである。プレイブックは、チェックリストでもなければ、全体として従うべきステップのセットでもない。プレイブックの提案は任意である。組織は、業界のユースケースや関心に当てはまる提案をいくつでも借りて、この情報を活用することができる。
(*2)AI RMFを推進するための主要な活動は、AI RMFロードマップに記載されている。これらの活動は、利用可能なリソースに応じて、各組織が独自に、あるいはNISTと協力して実施することができる。ロードマップに記載された作業は、信頼できる責任あるAIを追求するための知識、実践、ガイダンスのギャップを埋めることを目的としている。
以上である。この動きは引き続き追っていく。
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