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挨拶の値段 ~12円のLINEお年玉と、52円の年賀状

「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」だけのLINEやメールが来ると、「うっ……」となってしまう。

何かの用件のついでに言ってくれるなら全然良いんだけど、本当に「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」だけのメッセージが来ると、どう対応して良いのか分からない。困ってしまう。

……いや、本当は知ってるんだ、「あけましておめでとう! 今年もよろしくね!」ってシレッと返事すればよいだけだって、知ってるんだけど。


それが、しんどいんです………………


■だって新年ってめでたくないじゃん

思ってもいないことを言うのはしんどい。たとえ一語だけでも、しんどい。

「あけましておめでとうございます」と口にしようとするたび、

「新年が明けたことって、めでたいんですか?」

という疑念が頭をもたげてくる。面倒くさい。2018年開始三日目にしてもうホトホト疲れてしまった。


昔は同じ理由で「お誕生日おめでとう」も言えなかった。

でも「お誕生日を祝うのは、今とは違って生きるのが大変だった時代に『この一年もよく生き延びて歳を一つ増やせたね、おめでとう』という意味があるんだよ」と教わってから、言えるようになった。

あなたが生きてて、めでたい。おめでとう。だ。


しかし新年も同様に「あなたが生きて新年を迎えられてよかった、おめでたい」と祝えるか?

いや祝えない。あなたが死んでも新年は来るし、全然無事じゃない人間にも新年は祝えるからだ。


うーん、新年ってなんでめでたいんだ?


■そもそも用の無い連絡は返しに困る

「思っていないことは言わない」主義を貫いている私なのだが、もう考えすぎるのも面倒くさいので「あけましておめでとうございます」と、返してしまうこともある。でもそうすると自分と相手の事を嫌いになってしまうのでとても困る。

もともと、用件なく連絡してくる相手が苦手なので、
「あけましておめでとうございます」だけのLINEが来ると、
虫の居所が悪い時だと「営業か、エゴか?」と思ってしまう。

「営業」っていうのは、「私に媚びてんのか?」「何かを欲しがってるのか?」って意味で、
「エゴ」っていうのは、「とりあえずLINEの友だち全員に年賀スタンプ送って『礼儀正しい俺』『人脈をつないでるマメな俺』と悦に浸りたいんだな」という意味だ。

ここまで勘ぐるのは私が悪いけど、でも、本当に、用の無いLINE送られてくるの苦手なんだ。


無理矢理で良いから、用を作ってくれ。そしたら返事に困らなくて済むから。


■あけおめLINEに喪中と返す

思えば年末の「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。」もキツかった。それ言われると私も言い返さないといけないじゃないか。

……という話を彼氏にしたら、
「あけおめLINEには『喪中』って返すよ」と言ってた。

なるほど!

これなら「お前が無事生き延びて迎えた新年は俺にとっては全然無事じゃなかったんだよ、新年が明けただけでめでてえなんてクソノータリンが」というアンチテーゼになるね!

素晴らしい!

……と思ったら単に彼氏は本当に喪中なだけだった。


でも「『あけましておめでとうございます』と返すのが面倒だから『喪中』て言ってる」とのことだったので、
とりあえず「あけおめLINEは面倒くさい」という認識は共有していたのだ。


そんなことより、LINEお年玉の話だ。


■LINEお年玉がすごいんですよ。


LINEのお年玉、ご存知ですか。

120円の当該スタンプを買うと、10人に「お年玉」くじが送れて、LINEポイントが当たるものです。

ポイントはだいたい1ポイントとかしょーもない額しか当たらないんだけど、お年玉をもらえるのは嬉しいしクジをひくワクワク感もある。

私はこれ、今日友人からもらってはじめて知ったんだけど、とても良いなあーと思った。


だってこれ送れば「あけましておめでとうございます」って言わなくていいじゃん!!!!!!


あと、たった12円だけどコストをかけて送る挨拶ってなんか良いなと思ったんですよね。


■挨拶は基本無料、しかしLINEお年玉は有料の挨拶


通常の挨拶って、コストがほぼかからなくて、言うだけタダじゃないですか。
文字通り口先三寸だし、嘘も言えるから情報価値としてほぼゼロなんですよ。

だから私、あいさつって大体嫌いなんですよ。

全然感謝してない人にも「ありがとうございます」って、
全然お世話になってるなあと思ってない人にも「お世話になっております」って言えるから。

昔適応行動論の本で読んだんだけど、動物って、言葉がつかえないから、モテるためにめちゃめちゃ身体張って頑張るんですよ。「お前を愛してる!」「お前とセックスしてえ!!」って伝えるために、孔雀は目立って捕食者に見つかることを顧みずハデハデの羽根を広げるし、シカは喧嘩するし、トリは超イケてる巣を作ってメスにプレゼンするんですよ。

そういう、羽根を背負うとか、喧嘩とか、巣作りのコストに比べると、言葉のコストってほぼゼロですよね。だから嘘くさい。

言葉って、嘘くさい。

でも、たった12円だけかけたLINEお年玉は、言葉じゃないので、信ぴょう性がある。

「本当に気にして送ってくれたんだなー」という感じがする。


■年賀状は?

さて、ここまで書いて、「年賀状はどうなの?」という疑問が湧いた。

年賀状は、今年まだ3枚しか届いてないけど、うーん、「年賀状が嬉しいかどうか」は、人による笑

おそらく、52円かけて、手でペンを持って、住所とメッセージを書いて、送る」という作業が「重すぎる」と感じるのかもしれない。

親友とか、何年も年賀状を送り合っている大事な関係だったら勿論その「重さ」は妥当だから、嬉しく感じるんだけど、

うっっすい知り合いから来ると、「うわー、この人、義務感で送ってるなー」と思ってしまう。



何が言いたいかと言うと、「ゼロ円の挨拶は価値がない(と思われる可能性がある)、12円の挨拶は価値がある(と思われる可能性がある)、52円の挨拶は重い(と思われる可能性がある)」

という話でした。



……いや、違うな。

だって、52円かけた年賀状だって、「意味ねえな」「価値ゼロだわ」と思うことがあるから。


正確に言うなら、

メッセージには適正な「コスト」をかけることが大事。

●普通のLINEやメール→無料だから「価値無し」(と思われることがある)

●年賀状→52円はかかっているが、既存の形式にのっとってるだけで脳味噌のコストを使っていない場合、「価値無し」(と思われることもある)

●LINEお年玉(12円)→適正なコストがかかっていて「価値あり」!(と思われることもある)


こうだな。


だからLINEお年玉がもっと流行って、「送るのが礼儀」みたいになってしまったら、私はきっとうんざりするんだと思う。



…………今年もよろしくお願いします。





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