とりあえず初対面の人に出身地と年齢と最寄り駅聞いてまわす上っ面の会話に疲れてる人へ ~感情こそが、一次情報で、尊い
上記の続編です(が、この記事だけでも読めるように書いてます!)。
初対面の人に対してとりあえず(まるでサラリーマンが条件反射で名刺を突き出すがごとく)
「どこ住んでるんすか」
「出身は?」
「いくつっすか?」
と聞いてくる人っていませんか。
私、あれが超嫌です。
話の自然な流れで(「渋澤さんってどこに住んでるのかな?」という本当に思った上で)「出身どこすか」と聞いてくるなら全然問題ないんだけど、
「ハイハイ初対面の人と話す際に適当な話題として出身地あたりが妥当だよな、ホレ」と、やる気のないポーカーの捨て札を場に放るくらいのノリで、繰り出される「出身どこすか」に、答える気が全くしない。
こういう人に素直に答えて会話の主導権握られると延々この流れが続いてしまうのが嫌すぎて、私は、大体、
「地球~~♪」
とか、
「出身地っていえる出身地ないんすよ、転勤族だったから。だからとりあえず初対面の人に会った時に出身地を聞くみたいな文化マジキツいんすよね」
とか
「なんでそんなこと聞くの?」
とか
「今、『とりあえず出身地でも聞いておくか』って思って聞いたでしょ」
とか、答えてる。
出身地に限らず、
「質問の答えが聞きたいわけでもないのにとりあえず質問するやつ」は大嫌いだ。
大体そういう奴は二度目に会った時も同じ質問してくるんだよな。
でも、明らかに口下手な人が
「あー! 渋澤さんに話しかけたいけど話題がねえー! でも話しかけたい! うおおおおどうしようおおお」
と思った末に
「しゅ、出身は……?」
と聞いてきたら、
「あ、必死に話題探してる、可愛い」
と思って、優しく答えることもある。というか、「あ、必死に話題探してる、可愛い」と言っちゃう。
とにかく、私が言いたいのは、茶番、おしきせ、マニュアル会話が超嫌いってことだ。そういう会話をさせてしまうほどに私が興味に欠ける存在なら、黙っててくれ、無理して話さなくていいよ、黙っててくれ、と思っちゃう。
私はマニュアル会話が嫌いすぎて、すぐに茶番を崩しちゃう。
ちょと意地悪なくらいに崩しちゃう。
私が茶番を嫌うのは、「嘘言いたくないから」「飽きるから」だ。
■1 会話で嘘と茶番を一切言いたくない
嘘に嘘で答えるとまた嘘が返ってきて、永遠に嘘会話が続くから、出来るだけ初期にその元を断ちたいってことだ。
昔はそのことによく気づいておらず、茶番に茶番を返し続けてしまい帰宅後にドッと疲れる……ということがあった。
嘘を言うと疲れるのだ。
ムカついた瞬間に「ムカついた」と、可愛いと思った瞬間に「可愛い」と言った方がストレスが無いのだ。
ちなみに、茶番に茶番を速攻で返す能力に長け、会話のラリーを続けられる人を「似非リア充」と言う。いわゆる「うわっつらの会話がうまい人」である。この会話をする限り、広く薄く、嫌われないけど、誰にも好かれない。
私はリア充じゃない、というか、この、「茶番を断つ会話」を始めてから見せかけのコミュ力は超落ちた。
でも、私は濃く嫌われて濃く好かれたいから良いのだ。
■2 飽きるから
会話はセッションだと思っている。プレイヤーが対等の力で拮抗し合ってその場でしか出てこないものを生み出す、即興芸だと思っている。
会話はけして、家で練習したものを発表する発表会でもないし、毎度同じことを再生するCDプレイヤーでもない。
というか、CDプレイヤー化すると、飽きる。会話自体に倦む。
そして私は、速攻で会話相手を嫌いになっちゃう。
しかしできるだけ会話相手のことを嫌いになりたくないので、私は、「あ、この会話の流れ、いつものレールに乗っちゃうなコレ」と思ったら、意図的に外す。我ながら自分勝手で意地悪でひとりよがりでなんて生きづらくてかわいそうなんだ、と思うが、仕方ない、私は自分勝手で意地悪でひとりよがりで生きづらくてかわいそうなのだ。
それを隠して、親切なふりをするほうが世界にとって不幸だ。
「出身地は?」「地球~~♪」みたいな会話をすると、困惑されることもあるが、普通に出身地を答えるよりもはるかに分岐の多いゲームになり、会話がエキサイティングになる。
また、自分が「自分はこんなやつだ」とキャラ表明することによって、相手もキャラを出してくれる。マニュアル会話を何百ラリーも続けても縮まらない距離が、一瞬で縮まる。(速攻で離れられることもあるが)。
あ、ひとつ言っておきたいのは、クソみたいな嘘をついて会話を翻弄するやつっているけど、それとは違うぞ。
よく水商売の客って
「(連れの男を指して)こいつ背高いっしょ? プロのバスケ選手なんだよ! ……ウッソー! 信じたー?」
とか、
「こいつ肌黒いっしょ~AV男優みたいっしょ~……まじでAV男優なんだよー! ウッソー!」
とか、なんかクソみたいな、リアクションに困る嘘をついてくるものだけど、自分が水商売で働いてる時にさんざんやられたので、自分からは決してやらない。
(しっかしなんでああいうところの客は、すぐ嘘を言うんだろうか。別に面白い嘘でもなく、なんかこう、普通に気分を害する、誰も得しない嘘……)
■
茶番はつまらん。
嘘は不愉快。
そして前編にも書いた通り、
フリをするのはウザくて、
見栄を張っても見破られて、
どっかから聞いた話を引っ張ってくるのも浅はかだし、
卑屈は論外。
なんかこう、一応水商売という、下手をすれば茶番会話量産マシーンになってしまう地獄のコミュニケーション工場で働きつくして、「もう一生茶番会話はしない!」といきりたち、今、反動で「見かけ上のコミュ力が地に落ちている」私が、何を言っているんだとも思うが、
とりあえず、茶番も嘘も卑屈も伝聞もやらなくなったため、格段に生きやすくなった。
もし、この記事のタイトルに興味を惹かれてクリックした「上っ面の会話に疲れてる人」に、私から何か言えるとしたら、
えーと、あえてクソバイス風に言うと
「自分の言葉で!」
「リラックスして!」
「普通でいいんだよ、普通!」
ってことになる(こういうクソバイスしてドヤる人って本当多いよね!)
でも、こんなん聞いても悩める人の悩みって解決しないよね。むしろ
「ハーン? 自分の言葉ー?」
「リラックスってどうやるの?!」
「その『普通』っていうのが分かんないんだよ!」
って思ってしまって悩みがこんがらがるよね。
(「自分の言葉で」って言ってるやつが自分の言葉でアドバイスできてねえよな)
だから、また、上記のような最終ゴールに到達する前の、私の発見した一応のスモールゴールというか、セーヴポイントを示しておこうと思う。
「感情の話をしろ」
である。
■あなたの感情が、一次情報であり、一番尊い
前編で、「明るいバカは全方位に好かれる。ギャル最強説」を唱えたが、
ギャルが好かれる理由のもう一つは、「感情が出まくるから」だ。感情丸出しの相手は楽だ。「この人、何考えてるのか分かんないな…」「にこにこしてるけど、もしかしてムカついてる…?」と相手を不安にさせないからだ。
(ここまでで分かったと思うけど、私はとにかくギャル推しである。理由は、水商売でナンバーワンをとっていたギャルを、憧れを込めてずっと見てたから、というだけである)
私が前編で提唱した、
東大生に会った時に(学歴コンプ刺激されて卑屈になる前に)「わー東大生だー初めて見たー」と、素直に言っちゃう「脳直戦法」や、
本の話題になった時に「ヤベエ! その本読んでねえ! クソ、読んでおけば話題に乗れたのに…!」と言っちゃう「本音丸出し戦法」も、
要は、「感情を出す」ってことに通底する。
人間は、自分の感情を出す時にオリジナリティが出る。
語彙にオリジナリティが無くても問題ない。たとえ「パネェ」しか言わないギャルでも好かれるのは語彙でなく「言い方」にオリジナリティが宿るからだ。
私は文書きなので相当「語彙」にオリジナリティを込められる方だが、感情は当然「言い方」にだって宿る。
言い方――すなわち、あなたが、感情を上手く説明できなくて言い淀む間も、興奮しすぎて早口になったりどもっちゃうのも、全てオリジナリティだ。それ全てあなたのオリジナリティで、尊い。
ていうか実は、喋らなくても良い。「表情」や「たたずまい」でも十分だ。
前編で、
「憧れの人の新刊の話題になり、未読の自分が話についていけなくなった際も、無理して話そうとせず『ああ、あの憧れの人、新刊について話してる時、すっげえ子供みたいに嬉しそうだなあ……かわいいなあ……』と思いながら、ニコニコしてるだけでも良い。」
と書いたが、まさにそれ。感情は表情やたたずまいに出る。逆に「うまいこと言わなきゃ!」という見栄も、「ヤッベこの本読んでねえ」という焦りも、全部表情やたたずまいに出る。それを前編では、
『「何か与えなきゃ」「役立たなきゃ」と焦ってるとウザくなる』
と表現した。
もし、会話相手が、あなたの言い淀む間をゆっくり待ってくれないで、既製品の会話を量産する似非リア充の方にいっちゃったら、それはそれでもうあきらめるしかない。
ここで、私が前編にて「後述する」と言って先送りしてたことに触れようと思う。
■会話をマニュアル化したくない
たとえば、
東大生に会った時に(学歴コンプ刺激されて卑屈になる前に)「わー東大生だー初めて見たー」と、素直に言っちゃう「脳直戦法」や、
本の話題になった時に「ヤベエ! その本読んでねえ! クソ、読んでおけば話題に乗れたのに…!」と言っちゃう「本音丸出し戦法」を、紹介したけれど、
「そっか! 読んでない本の話題になった時は『ヤベエ! その本読んでねえ! クソ、読んでおけば話題に乗れたのに…!』って言えばいいのか! へえ~! 暗記暗記! メモメモ!」と思っちゃった時点でもう茶番が始まる。コミュニケーションの豊かさの源である「即興性」が損なわれ、CDプレイヤー化が始まるのだ。
だから私は前編の中で巧妙に「このやり口でやれば万事OK」みたいな明言を、避けていた。
逆に「その本、買ったけどまだ読んでなくて…すいません…」と卑屈になるのは絶対NG、とも明言していない。
なぜなら、場合によっては「腹を見せる態度が可愛い、嘘くさくなくて良い」と相手にうつることもあるだろうから。
それから、作者に感想を言っても9割既出、とも言ったけど、「だから感想言うのはNG」とも明言してなくて、「面白かったー!!」と感情を込めてぶつければ間違いなくエネルギーは伝わるはずだし、それは豊かなことだ。
とにかく、会話をマニュアル化したくない。
「これやっとけばOK」「これは絶対NG」と、明言したくない。
ただし、お守り的に
「ああ、いつも『読んでなくてすいません…』と卑屈に言うしかなかったあのシチュエーションで、『ヤベエ! その本読んでねえ! クソ、読んでおけば話題に乗れたのに…!』と言っちゃうっていう手段もあるんだな…」
と、選択肢を一つ持っておくと、視野が開けて気楽になる人もいるだろうと思って、書いただけだ。
とにかく私は、「こうすりゃモテる! 女心をつかむキラーセリフ」とか「人に好かれる! 会話マナー」みたいなクソみたいなマニュアル本の真似は絶対にしたくない。
■「いかがでしたか?」
私があえてここで、お役立ちネット記事風に結論をまとめると、
1「感情を出せ」
2「嘘を言うな」
3「CDプレイヤーになるな」
となる。
感情をちゃんと出す限り、会話は常にオリジナルで、豊かで、飽きのない、嘘もないものになる。たとえ同じ話をしてもCDプレイヤーではなくライヴになる(つまり1を守れば2と3は自動的についてくる。)
(余談だが感情労働が超キツいのはこの点なんだろうと思う。よく水商売の女は「いいよな、着飾ってニコニコ笑って酒飲んでれば金貰えるんだから」と言われるが(そして私も半分はそう思うが)、「楽しくないのに楽しくないフリ」をするのは人間にとって超重労働なんだと思う。そして水商売が天職である女というのがごく少数いて、そういう人がナンバーワンになるのだが、そういう娘らは、マジで酒の場を楽しんでいるのだった。)。
マニュアルなんて全部嘘ですよ。少なくとも私が今言ったようなことが書いてないでお役立ちセリフ集だけ載ってるやつは全部、嘘ですよ。
ナンパマニュアルを読みたおした私が(半分趣味、半分仕事)(異性のモテ本読むのは面白いっすよ)、コミュニケーションにまつわる本で唯一信頼できるのはこの本だけ。
コミュニケーションって、マニュアルとは真逆の、無数の分岐に溢れた超豊かなものなんじゃないすかね、私はそう信じたい。
スキを押すと、短歌を1首詠みます。 サポートされると4首詠みます。