CoCオリジナルシナリオ『闇の始まり』
0. 目次
1.基本情報
2.事前確認事項
2.1.導入
2.2.あらすじ
2.3.KPを行うにあたって
3.制限時間チャート
3.1.簡単なタイムテーブル
3.2.詳細なシーン内容
4.シナリオ本編
4.1.目覚め
4.2.中央の部屋
4.3.北の部屋
4.4.西の部屋
4.5.東の部屋
4.6.エンディング
4.6.1.Touched END
4.6.2.Unkownd END
4.6.3.Dead END
4.6.4.Silly END
4.6.5.クリア報酬
5.データ一覧
5.1.モンスターデータ
5.2.各部屋における探索可能な所
5.3.Artifacts等
5.3.1.魔道書
5.3.2.紙束
1.基本情報
プレイヤー人数:1人~2人
プレイ時間:1時間
難易度:★☆☆☆☆
シナリオ種類:密室脱出系
推奨技能:目星、図書館、聞き耳
特記事項:制限時間あり。
2.事前確認事項
2.1.導入
変わらぬ日常を送っている探索者。
ある日、睡眠を取っていた探索者が目を覚ますと、真っ暗な空間に寝ている事に気付く。
壁や床の感触から、ここが自分の知る場所ではない事を知った。
ここがどこなのか。
何故ここにいるのか。
どうすれば帰れるのか。
何も見えない空間を、あなたは彷徨い始める。
2.2.あらすじ
ある研究者が誰にも見つかる事のない地下深くの小部屋にて、魂に関する研究をしていた。
近頃その小部屋の壁が脆くなって来ている事に気付いた彼は、新たな場所に移動する事にした。
移り先を見つけるために、彼は数日間小部屋を空ける事にしたが、そんな中、彼が移り先を見つける前に小部屋の崩壊が始まるという事に気付いたニャルラトテップは、彼が持ち出せきれず瓦礫に埋もれる事とであろう研究資料を、有望な人材が手に入れ解読する事によって研究が引き継がれる可能性を思いつき、自身の目に留まった人間を送り込むことにした。
その人間が研究資料を解読できるのか。研究者の後釜となれるのか。そもそも崩壊前に部屋から出る事が出来るのか。
ニャルラトテップは外から眺めて結末を楽しみにしている。
2.3.KPを行うにあたって
・このシナリオには、制限時間が設けられています。【3.制限時間チャート】を参照してください。
・制限時間については、シナリオ進行度に合わせて多少増減させても構いません。
・『部分マップ』と『全体マップ』、2種類のマップを用意してあります。適宜開示すると良いでしょう。
・『部分マップ』はタイムテーブル”20分以降”、 『全体マップ』はタイムテーブル”40分以降”、で開示するのがベストかと思われます。
・{}内に書かれている情報は、KPに対する補足説明となります。
3.制限時間チャート
3.1.簡単なタイムテーブル
●0分(導入&開始直後)
・暗闇の中で目を覚ます。
●20分 ~
・中央の部屋の明かりがつく。
●40分 ~
・東の部屋への扉(石の壁)が開く。
●60分ちょうど
・中央の部屋が崩壊する。
3.2.詳細なシーン内容
{『』内に記入されている文は、マスターシーンとして、時間になるとPLに対して読み上げてください。}
●0分 ~
マスターシーンA『あなたは目を覚ます。視界全体に闇が広がっており、周囲に何があるのか一切確認する事が出来ない。』
探索者は、中央の部屋で目を覚ます。
技能を用いる場合、目を用いる技能(<目星><図書館><鍵開け>など)はマイナス20%の補正を、闇の中で活きる技能(<隠れる><聞き耳>など)はプラス20%の補正を与える。
元の世界で寝る直前に持っていた持ち物に関しては持っていてもよい。
持ち物に明かりとして使用できるものがあり、それを使用する場合、先ほど記述した補正は与えない。
●20分 ~
マスターシーンB『微かな揺れを感じる。天井や壁から細かな石粒が降ってくる。その後、ジジッという電気の走る小さな音と共に、中央の部屋に明かりがつく。天井に付いている一本の蛍光灯は時折消える素振りを見せており、いつ消えるのかと不安に思ってしまうような、心許ない状態だ。』
ここから先、明るさによる技能の補正は入らない。
このマスターシーンが挟まれたのち、PCが他の部屋から中央の部屋に戻ってくるという行動が行われる度に、<アイデア>ロールを行う。このロールは、成功情報が出るまで毎度行う。成功すれば、「明滅している蛍光灯の、点いていない時間が長くなっている」事と「蛍光灯の明滅間隔を見る限り、○○分(60分マイナス経過時間)後に蛍光灯が完全に切れてしまうだろう」事に気付くことが出来る。
{この成功情報の開示において、もしPLがこれに重要視していない様子であれば、注意を向けるようさりげなく誘導するのもありかもしれません。}
●40分 ~
マスターシーンC-1『ゴゴゴという地響きと共に大きな揺れを感じる。壁に使用している石が崩れ落ちていく所もある。その大きな揺れは十数秒で収まるが、その後も小さな揺れが断続的に部屋を襲う。』
マスターシーンCが挟まれた直後、<アイデア>ロールを行う。成功すれば、「再度大きな揺れが部屋を襲うならば、部屋が崩壊する可能性がある」事に思い当たるだろう。
先ほどの蛍光灯に対する<アイデア>ロールを行っていない場合や失敗している場合は、このタイミングでもう一度だけその<アイデア>ロールを行うことが出来る。その<アイデア>ロールが成功しているならば(もしくはラストチャンスのロールで成功した場合)、更に「過去の経験から○○分(60分マイナス経過時間)後に何やら良くない事が起こる」事が脳裏によぎる事だろう。
{これまでに<アイデア>ロールを失敗していても、これ以降は<アイデア>ロールを行わない方が、緊張感を保つことが出来るでしょう。}
マスターシーンC-1が挟まれた後、一度でも探索者が一枚岩のあった場所に目を向ける(もしくは中央の部屋に来る)事があれば、次のマスターシーンを読み上げる。
マスターシーンC-2『一枚岩のあった場所は窪みとなっており、そこには先ほどまであった一枚岩より一回り小さい石扉があった。』
●60分ちょうど
この時刻になった時のマスターシーンは探索者の現在地によって2種類に分けられる。探索者が東の部屋にいる場合はマスターシーンDを、東の部屋にいない場合は【4.6.】へ移行し対応する箇所を読み上げ処理を行ってください。
マスターシーンD『一枚岩を挟んだ向こう、先ほどまで自分がいた場所から轟音が鳴り響いてくる。今いる場所にまで届く大きな揺れは、一分もすれば収まる。その後一枚岩を押してみるが、動かせる気配が全くしない。先ほどの轟音や揺れから察するに、隣にあった部屋は崩壊し土に埋まってしまったのだろう。』
4.シナリオ本編
4.1.目覚め
[描写]
あなたは目を覚ました。
辺りを見渡すが、闇のみが広がっておりこの場に何があるのか分からない。
床に寝転がっているのか、背中にはひんやりとした感覚が伝わってくる。
また、腕を動かすと右側に壁がある事に気付く。
[探索]
タイムテーブル”0~20分”では、逐次<目星>等に成功しないと視覚から情報を得ることは出来ない。
タイムテーブル”0~40分”では、東の部屋以外には行くことが可能。東の部屋のみ、タイムテーブル”40分以降”でないと行けない。
4.2.中央の部屋
[描写]
タイムテーブル”0分”では、探索者は、中央の部屋南側の壁沿いに頭を西に向けた状態で寝転がっている。
{以下、タイムテーブル”0~20分”では、基本的に得る事の出来ない描写情報です。ただし、手探りでも探索者が気づくだろうと思うものであれば逐次伝えて良いが、どれほど伝えるかはKP次第である。}
中央に、丸テーブルがある。
部屋西側の壁に、開き戸がある。
部屋北側の壁に、開き戸がある。
部屋東側の壁に、一枚岩がある。
部屋東側の壁(南側の壁に近い場所)に、埋め込み棚がある。
[探索]
●部屋の様相
石壁に囲われており、天井と床も岩から構成されている。
かなり奥の方まで岩を詰めているが、万が一全ての岩を取り除いたのなら、暗い色の土が見える事だろう。
{探索者がリスクを考えずに岩を砕いたり外したりする場合、小部屋が崩壊してしまう可能性が高いが、実際に崩壊させるかどうかはKPの判断に任せる。}
{万が一、その暗い土に対して<地質学>や<博物学>のロールを行いかつ成功したならば、集積層と呼ばれる地層に近い性質・成分を持つ土だと思い当たるでしょう。端的に言うと、この部屋がかなり地下深くにある事に気付く、という事です。}
●中央のテーブル
高さ1m,広さ70cmほどの丸テーブル。
何も乗っていなければ、何も貼っていない、何の変哲も無いテーブル。
テーブルから真上の天井へと顔を上げるならば、天井からぶら下がっている紐とその根元にある1本の蛍光灯の存在を知る。
{紐の先は地面から1m50cmの場所にあるため、暗闇内でもその辺りの空間で手を振れば、手に紐が当たるだろう。}
{蛍光灯は、タイムテーブル”20分以降”でないと点けることが出来ない。また、タイムテーブル”20分以降”であれば、明かりの点灯消灯が可能。この蛍光灯については、【3.2.詳細なシーン内容 ●20分~】を見ながら処理を行ってください。}
●西側の開き戸
西側の部屋へ開くタイプの木製の扉。蝶番は北側に付いている。
金属製の取っ手が付いており、その下には鍵穴がある。ただし鍵穴から中を見る事は出来ない。
鍵はかかっていないので自由に開け閉めすることが出来る。扉のカギを用いると、鍵を掛けることが出来る。
{この扉のカギとは、「埋め込み棚」で手に入れることが出来る「粗末な黒いカギ」である。}
●北側の開き戸
北側の部屋へ開くタイプの木製の扉。蝶番は東側に付いている。
金属製の取っ手が付いており、その下には鍵穴がある。ただし鍵穴から中を見る事は出来ない。
鍵はかかっていないので自由に開け閉めすることが出来る。扉のカギを用いると、鍵を掛けることが出来る。
{この扉のカギとは、「埋め込み棚」で手に入れることが出来る「粗末な黒いカギ」である。}
●東側の一枚岩
幅1m,高さ2m50cmの大きな一枚岩。
壁から20cmほど出っ張っているが、実際の厚みは50cmある。
一枚岩を壊すことは不可能である。
【3.2.詳細なシーン内容 ●40分~ マスターシーンC-2】が演出された以降では、一枚岩は地中に埋まっており、奥の石扉が出現する。
{探索者が一枚岩の破壊を望むならば、一枚岩を壊してしまっても構わない。ただし、時間制限シナリオである事やそれに関するギミックである事をKPは念頭に置いておくべきだろう。}
{石扉の詳細は【4.5.】にて記載。}
●埋め込み棚
床から1m30cmほどの場所にある埋め込み棚。
壁から5cmほど50cm四方の大きさの出っ張りがある。
そこには蝶番が上側にあり手前に開くタイプの開き戸が付いており、鍵穴はないため開き戸の前面下側に付いている取っ手を持って自由に開け閉め出来る。
埋め込み棚の中は50cmの奥行きがあり、左右の壁にはフックがそれぞれ2個ずつ計4つ付いている。
左側の壁のフックには、それぞれ10cmほどの粗末な黒いカギがぶら下がっている。
{これら黒いカギは、両方とも同じ鍵である。このカギは「西側の開き戸」と「北側の開き戸」のカギである。}
右側の壁のフックは、片方には何もないが、もう片方には20cmほどの大きな銀色のカギがぶら下がっている。
{この銀色のカギは、「東側の部屋の最奥の壁」に対して使用するものである。この詳細は【4.5.東の部屋 [探索]●最奥の部屋】に記述する。}
4.3.北の部屋
[描写]
扉をくぐると、そこが寝室だとすぐに分かることだろう。
左側の壁沿いに、簡素なベッドがある。
ベッドの横、扉の正面に、小さなサイドテーブルがある。
右側の壁沿いに、チェストがある。
[探索]
●部屋の様相
置かれている物の違いこそあれど、それ以外は中央の部屋と変わらない。
●ベッド
端がよれている薄い毛布、厚みの無いマット、軋むスプリング、所々欠けた木枠、とみすぼらしい事が分かりやすく見て取れるベッド。毛布を剥いでも下を覗いても目ぼしいものは何もない。
●サイドテーブル
動かない時計、万年筆、手帳、が上に乗っている。
手帳は、主に日記帳として使用されている。所々にアイデア等走り書きされているが、これらは重要なものではない。
以下、日記の概要となる。
『
~約3年前~
(1ページ目)
研究に没頭するために、俗世から離れた場所に隠れ家を作る事にした。この手帳には突発的な閃きや研究時のメモを主に書いていくこととする。
(2,3ページ目あたり)
研究資料は全て運び終えたので、今後俗世へ行く機会は少なくなるだろう。これでようやく心置きなく研究が出来る。
(以降数十ページに渡り、研究に関するメモが多く見られる。それらからは、『魂』へ干渉するための研究をしているであろう事は見て取れるが、詳しい研究内容を知る事は出来ない。ただし、読み進めるにつれて手帳の筆者が、一向に良い研究成果が得られない事や現状の研究方法では似たような結果しか得られない事に苦悩している様子が窺えるだろう。)
~約1年前~
これまでの『小動物を用いた魂の抽出・定着』では一定の成果を上げる事に成功したが、大型生物でも可能なのか、また知性のある生き物では副作用が発症しないか、などを検証するため、複数の被検体を集めた。ただし、ここに連れてくる過程で精神汚染が進んだのか、全員狂気症状が見られる。研究を始める前段階でここまで色々と配慮すべき点が存在するとは思わなかった。
(ここから数ページは、手帳を読む限り人間だと思われる被検体調達方法、そしてそれらを用いた実験の成果が書かれている。ただし、どの研究成果も芳しいものではなく、またこれ以上この種族を被検体とするのは難しい、という旨が書かれていた。)
~半年ほど前~
被検体の調達に出た際に手に入れた書物から、それらとは別の種族ではあるが、直接ここに呼び出せるため調達に出る必要もなく、一定の知性を持つ事も確認できる種族の存在を知る事が出来た。今後はこちらを用いて実験を進めていくことにする。
(以降数十ページに渡り、その種族を用いた実験のメモや成果が書かれているが、良い成果が絶え間なく上がっており、以前にもまして研究内容の密度が濃くなっていて、彼の望む最終目標が達成されるのも時間の問題だと書かれていた。)
~数日前~
近頃、この隠れ家の耐久性が見過ごせない程低くなって来た。そろそろ新たな隠れ家を探し、移動すべきだろう。数日間ここを空ける事になるが、被検体は長期間放っておいても大丈夫なようだから、そのままにしておく。
』
{以上が手帳の内容となりますが、シナリオクリアにはほぼ必要のない情報ばかりなので、必要最低限の情報のみの公開で良いなら、「~数日前~」の記述のみ公開し、それ以外は「『魂』に関する研究の走り書き等が書かれている」程度に纏めてしまってもよいかと思われます。}
●チェスト
3段の引き出しが縦に並ぶチェスト。上2つには何も入っておらず、一番下には男性用の肌着や白衣が詰まっている。
4.4.西側の部屋
[描写]
扉をくぐると、そこが書斎だと分かるだとう。
左右の壁沿いに、どちらも天井まで届く大きな本棚が置かれている。
部屋の奥には、壁の前にデスクがある。
[探索]
●部屋の様相
置かれている物の違いこそあれど、それ以外は中央の部屋と変わらない。
●左右の本棚 その1
本棚には、日本語・中国語・英語・ドイツ語・ラテン語と様々な言語で書かれた多数の書物が収められている。
探索者が適当な本を手に取り中を確認するのであれば、挿絵からは「人体に関する何か」が書かれている事しか分からず、内容をざっと読むと「魂」に関する資料がほとんどである事が分かる。
更に詳しく読むのであれば、「生物から魂を抽出する方法」「別の生物に魂を定着させる方法」「魂を固体化する方法」など冒涜的な内容が書かれているのが分かる。それぞれの正しい手法などは書かれていないが、それでも正気では書けるとは思えない文章を読み、探索者の精神は削られる事だろう。SAN値チェック、減少値は成功で1,失敗で1d4。
{ただし、詳しく読む場合にはかなりの時間を要する事に注意してください。その旨を伝えても、PCが書籍を読もうとするならば、読み終えるタイミングを経過時間のチェックポイントまで飛ばすべきでしょう。}
●左右の本棚 その2
本棚に収められている本は、整頓されておらず乱雑に並べられているが、<図書館>ロールに成功すると、入って右側の本棚のデスクに近い場所に他の本とは異質な雰囲気を纏う2冊の本を見つける。
片方の本は英語で書かれており、題名は『死者崇拝』となっている。
もう片方の本は中国語で書かれており、題名は『フサンの謎の七書』となっている。
{それぞれの内容を読むのであれば、SAN値チェックや呪文入手等ありますが、それらの情報は【5.4.1.】にて記載します。}
●デスク
木製のデスク。椅子もある。
引き出しもあるが目ぼしいものはない。
デスクの上には、万年筆・溶けきった蝋燭・大量の紙束が置かれている。紙束は乱雑に置かれており、内容も[日本語][英語][中国語]と複数の言語を用いて専門的な用語も交えて書かれているため、それぞれの技能ロールに成功しなければ各項目を正しく読むことが出来ない。
{紙束の詳細に関しては【5.4.2.】にて記載します。}
{それぞれ複数枚あるため、読むのであればそれなりの時間を要します。その旨を伝えても、PCが書籍を読もうとするならば、読み終えるタイミングを経過時間のチェックポイントまで飛ばすべきでしょう。}
4.5.東の部屋
[描写]
{この描写は、タイムテーブル”40分以降”に開示されるものとなります。}
東の部屋に入るためには、石扉をくぐらなければならない。
部屋は完全な闇に包まれており、部屋の内部の様子を窺う事が一切出来ない。
部屋の中、扉の横にスイッチがある。
部屋の左右は檻になっており、中から複数の人ならざる者の声が聞こえる。
部屋の一番奥の壁には、精巧に大きく紋様が彫り込まれている。腰のあたりに鍵穴がある。
[探索]
●石扉
幅70cm,高さ2mの石扉。
反時計回りに押せる石扉である。半周回るごとに軽いロックがかかる仕組みだが、強く押せば再び回る。
●部屋の内部
完全な闇に包まれており、そのままでは部屋の様相を窺う事が出来ない。
扉付近にあるスイッチを押すか、自身が光源となるものを持っているならば、部屋の内部を色々と確認する事が出来るだろう。
●スイッチ
この部屋の電気のスイッチ。
押すことで部屋上部に付いている複数の蛍光灯に明かりが灯る。
ただしその場合、左右の檻に閉じ込められているガストの群れを目にするため、SAN値チェック、減少値は成功で1d8/失敗で1d20。
暗闇の中スイッチを見つけられるかどうかは<幸運>ロールで判定する。成功すると、スイッチは見つからない。失敗すると、手探りによりスイッチの場所が分かる、だけでなくそのまま押す事となるだろう。
●左右の檻
左右共に頑丈な檻である。
右側の檻には十数体のガストが入っている。
彼らは常に声を上げており、彼らの姿を目に入れなくとも、部屋に響き渡るその人間ならざる声を直接聞いてしまうとSAN値チェック、減少値は成功で1/失敗で1d4。
ガストの足元には直径1mほどの魔法陣が描かれている。
左側の檻には赤く染まった手術台と数台の長机、壁にはフックにかけられている様々な器具(金槌やのこぎり等一見拷問器具が並んでいるように見えるかもしれない。)を見る事が出来る。器具や台などから、ここで生き物を用いたおぞましい実験が行われた事を推測するのは容易だろう。SAN値チェック、減少値は成功で1/失敗で1d2。
因みに、左右共に檻には扉があるが、これは複数の南京錠で止められており、開けるためには銀色のカギを用いる必要がある。
右側の檻を開けるならば、中から複数のガストが出て来て戦闘が始まる。出てくるガストの数は、1d6+10体。
{ガストの詳細なデータは【5.1.】に記載しています。}
●最奥の壁
石扉から徐々に最奥の壁へと進んでいくにつれ、銀色のカギの持ち手部分がどんどんと青白く光っていく。
銀色のカギを持っているなら、目を向けていなくとも、違和感に気付き手に取り確認する行動を取るだろう。
最奥の壁の目の前に立つと、壁の自身の胸の位置辺りに淡く青く光る鍵穴があるのが分かる。
そこへ銀色のカギを差して回すと、音もなく壁全体に青白い複雑な文様が浮かび上がり、直後人一人通れる大きさの長方形の穴が壁に空く。
一度空いた穴を塞ぐ術は、あなたは持ちえていない。
{銀のカギを持っておらず、中央の部屋に戻る事も出来ない場合、PCが最奥の壁に到達してすぐに【4.6.エンディング ②】へ移行してよいでしょう。}
4.6.エンディング
[分岐・描写]
①
東の部屋の最奥の壁にて穴を出現させたPC。
東の部屋にて何もすることのないPCは、穴へ入って行くことだろう。
穴に入ったPCは、その瞬間視界を完全な闇に覆われ、全身をねっとりとしたものに包まれる感覚を味わうだろう。
{【4.6.1.】へ移行し、『』内の文章を読み上げてください。}
②
東の部屋の最奥の壁に近づくPC。
周りから響く不快な声に不安と恐怖を煽られる中、目の前の壁に突如長方形の穴が空くのを目にする。
{【4.6.2.】へ移行し、『』内の文章を読み上げてください。}
③
大量のガストに囲まれ、なすすべもなく死の淵へ追いやられるPC。
自身の軽率な行動が、いとも簡単に自身の命を刈り取る鎌となる事をまざまざと知らされる。
{【4.6.3.】へ移行し、『』内の文章を読み上げてください。}
④
タイムテーブル”60分”となっても東の部屋へ入っていないPC。
各所において、自身の本能に訴えかける恐怖と危機感を一種の幻想だと捨て置く事が、生物としてどれほど愚かな行いなのかを思い知らされることとなる。
{【4.6.4.】へ移行し、『』内の文章を読み上げてください。}
4.6.1.Touched END
『
穴をくぐった瞬間に訪れる不快感は一瞬で拭われる。
あなたは、青い空、陽の温かさ、排気混じりの空気、街の喧騒、などに包まれた。
ただし周囲には自分の記憶にある景色はない。
ここがどこだか分からぬまま振り返ったあなたは、ちょうど今閉じられた扉を見る事が出来る。
その扉のある建物は、あまり使われていないビルであり、その扉がビルの裏口となる。
気になって開けようとするが、その時目の端に白い動くものがちらついた。
そちらに目を向けると、白髪白衣の男性老人が目を丸くしてあなたを見ていた。
彼は扉とあなたを交互に見ると、勢いよく振り返ると同時に裏道へと逃げていく。
あなたはその不審な行動に引っかかりを覚え追いかける事となるだろう。
しかし結局あなたは彼を見失い、街中で立ち尽くすこととなる。
彼は誰なのか。あの場所はなんなのか。
そもそも自分は何故あそこにいたのか。
日常をただ作業的にこなすため何の疑問も持たずに歩く人々の中、
非日常を経験し自身の身に起こった現象にひたすら疑問を浮かばせるあなたは一人たたずんでいた。
』
4.6.2.Unkownd END
『
突如目の前に空いた壁の穴から、白髪白衣の男性老人が出てくる。
疲弊したような表情をした彼は、目の前にいるあなたに大層驚き、石扉とあなたを何度も交互に見る。
最後にあなたの顔を見て、口を真一文字に結ぶと、彼は勢いよく振り返り再度壁の穴の中へと飛び込んだ。
あなたは見覚えのないその男性の行動に見て、また彼が何かしらの事情を知っているものだと確信し、穴へと飛び込み彼を追いかける事とした。
穴の中に入った瞬間に不快感を味わったのもつかの間、喧騒に包まれた街へと飛び出したあなたは、街角へと消えていく男性のあとを追う。
しかし結局あなたは彼を見失い、街中で立ち尽くすこととなる。
彼は誰なのか。あの場所はなんなのか。
そもそも自分は何故あそこにいたのか。
日常をただ作業的にこなすため何の疑問も持たずに歩く人々の中、
非日常を経験し自身の身に起こった現象にひたすら疑問を浮かばせるあなたは一人たたずんでいた。
』
4.6.3.Dead END
『
視界が徐々に悪くなる。
まともに見えぬ眼に映るのは、赤く染まった世界。
体中に鈍痛がうずく。
全く動かせぬ身体の感覚は、熱さのみ伝えてくる。
先ほどまで化け物たちに、必死に抵抗していたものの、もう何もできない。
あぁ、何故あんな軽率な事をしたのだろう。
少し考えれば分かる事を、何故あの時は思いつかなかったのだろう。
後悔の念や自責の念、彼自身を責めるあなたは。
気付かない。
恨みつらみを向ける対象は、自分でも、化け物でも、世界でもない。
あなたをここへ連れ込んだ、まだ見ぬ謎の存在へと目を向けなければならなかった。
だがもう遅い。
あなたが何かを考える前に、あなたの意識は何も捉えなくなる。
』
4.6.4.Silly END
『
止まらない揺れ、響き渡る地鳴り、崩れ落ちる石壁。
先ほどまでの悪い予感は的中していたのだ。
出入り口だと思われる東側の石扉へと走り出すも、大きな揺れに足を取られ転倒する。
一度倒れ込むと、そこから立ち上がる事は出来なくなる。
生きたいという想いとは裏腹に、石扉のある壁は崩れ、道は閉ざされる。
絶望を見せつけられ顔を伏せるあなたに、無情にも崩れる天井の岩は降り注ぐ。
あなたが生き残る術は、ない。
』
4.6.5.クリア報酬
●SAN回復
生存:1d6点
本棚の書籍を持ち帰る:(1冊ごとに)+1点
●クトゥルフ神話技能
初発狂:5%
ガストの群れを直接見る:2%
●その他
本棚の書籍を持ち帰る:(1冊ごとに好きな技能に)+1%
5.データ一覧
以下、CoCシナリオ『闇の始まり』に出てくるデータの一覧を記述します。
それぞれのデータの詳しい内容は、ここまでのシナリオを参照してください。
5.1.モンスターデータ
●ガスト
STR 23 , CON 14 , SIZ 26 , INT 3 , POW 11 , DEX 13 , HP 20 , db +2d6
[攻撃] 「噛みつき」 命中率40% ダメージ1d10+db
「キック」 命中率25% ダメージ1d6+db
[装甲] 3
<回避> 26%
<忍び歩き> 70%
[補足事項]
戦闘時、1Rにキック1回と噛みつき1回を行うことが出来る。
5.2.各部屋における探索可能な所
●中央の部屋
中央に、丸テーブルがある。
部屋西側の壁に、開き戸がある。
部屋北側の壁に、開き戸がある。
部屋東側の壁に、一枚岩がある。
(※ 部屋東側の壁に、石扉がある。)
部屋東側の壁(南側の壁に近い場所)に、埋め込み棚がある。
●北の部屋
左側の壁沿いに、簡素なベッドがある。
ベッドの横、扉の正面に、小さなサイドテーブルがある。
右側の壁沿いに、チェストがある。
●西の部屋
左右の壁沿いに、どちらも天井まで届く大きな本棚が置かれている。
部屋の奥には、壁の前にデスクがある。
●東の部屋
部屋の中、扉の横にスイッチがある。
部屋の左右は檻になっており、中から複数の人ならざる者の声が聞こえる。
部屋の一番奥の壁には、精巧に大きく紋様が彫り込まれている。腰のあたりに鍵穴がある。
5.3.Artifacts
5.3.1.魔導書
●『死者崇拝』
英語写本。
正気度ポイント喪失は、成功で1d4/失敗で2d4。
<クトゥルフ神話>+8%。
研究し理解するために、平均12週間。
呪文:
≪心臓停止≫ (ルールブック p.260)
≪心臓の探求≫ (ルールブック p.264)
●『フサンの謎の七書』
中国語写本。
正気度ポイント喪失は、成功で1d4/失敗で1d8。
<クトゥルフ神話>+8%。
研究し理解するために、平均40週間。
呪文:
≪下級精霊の招来(ビヤーキーの召喚/従属)≫ (ルールブック p.283)
≪大地の精霊の招来(クトーニアンとの接触)≫ (ルールブック p.268)
≪食屍鬼との接触≫ (ルールブック p.268)
≪ティンダロスの猟犬との接触≫ (ルールブック p.268)
≪神格との接触/ニャルラトテップ≫ (ルールブック p.261)
≪カダスへの扉(カダスへの門)≫ (※キーパーコンパニオン p.86)
≪生命回復(復活)≫ (ルールブック p.279)
5.3.2.紙束
●日本語で記述されている紙束
人間の精神構造、人の生死、魂という存在の有無、など哲学的な部分を物理的な研究によって解明する方法の確立を目標に様々な理論が書かれている。
とは言え、どれもこれも走り書き程度であり途中で終わっている事から、かなり難航していたことが窺える。
難解な内容となっており、探索者がこれを読んでも何かしらの知識を得ることは出来ない。
●英語で記述されている紙束
魂というものについて詳しく研究している事が窺えるもの。
魔導書『死者崇拝』の解読と理解をするため、丁寧に順序立てて書かれている。
この紙を全て読むのであれば、『死者崇拝』に記載されている呪文は理解できないまでも、平凡な日常を送るだけでは決して得られなかったであろう冒涜的な知識の一端を垣間見る事となる。SAN値チェック、減少値は成功で1/失敗で2。
●中国語で記述されている紙
魔導書『フサンの謎の七書』の解読と理解を行う時に用いられたもの。
ただし、魔導書の内容が研究者の研究内容と違っていたため、各章ある程度の解読は行っているものの途中で筆を置いている。
とはいえ、全七章ありそれぞれが常識を壊すほどの冒涜的な存在に関して言及している『フサンの謎の七書』について書かれており、また研究者の知識と相まって人の踏み入れてはいけない領域の事柄が書かれている為、この紙束を全て読む探索者はSAN値チェック、減少値は成功で2/失敗で2d2。