2RKO
現代日本に生きていることに感謝を。
そういいたくなるほど僕らはある意味で最高の時代に生きている。
例えば野球の大谷翔平。例えば将棋の藤井聡太。
そしてボクシングバンタム級世界王者の井上尚弥。
今日は彼のための夜だった。
珍しく気取った文章を書いてしまったが許してほしい。
それほどまでに今日のWBAスーパー・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦:井上尚弥VSノニト・ドネアは凄まじかったのだ。
僕はスポーツに明るい方ではない。
オリンピックやワールドカップなどでしかテレビを見ないようなにわかだ。
だがそれでも記憶に残っている試合というのはいくつかある。
その中でも最も鮮烈な一戦というのが、2年7か月前の2019年11月7日に行われた井上尚弥VSノニト・ドネア戦だった。
いくらスポーツに疎い僕でも井上尚弥のことは知っていたし、テレビで何度か試合を見たこともあった。
たまに見るボクシングの試合というのは、誰もが決着時には顔を腫らし時には血を流しボロボロになっている。
それなのに井上尚弥だけは何度戦っても、ダウンどころか傷すらない。本当に今試合終わりか? と思うようなきれいな顔で高らかに勝利を叫ぶのだ。
だがしかし、ノニト・ドネア戦は違った。
2ラウンド目にもらったフックで大量に出血し、試合が終わるころには目も青く腫れていた。
試合は壮絶な打ち合いで、ドネアのほうがダウンの回数は多かったが、どちらが先に倒れてもおかしくないと思えるほどに過酷なものだった。
なによりあの井上尚弥がパンチをもらったということが信じられなかった。
それと同時に、井上尚弥という世界最強のボクサーが全力で戦っている姿にかつてないほどの胸の高鳴りを感じたのを覚えている。
実際彼が流血したのはプロになって初めてだったらしい。
ほんとバケモノだろ。
12Rフルの殴り合いの末、判定による3-0で井上尚弥は勝利した。
その試合は2019年度のリングマガジン ファイト・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、ドラマ・イン・サイタマと呼ばれるようになったのだという。
そして今日、あの死闘を繰り広げた井上尚弥とノニト・ドネアが再戦した。
判定勝ちなど納得できないと。
結果は2ラウンドKO。
あのノニト・ドネアが、たった6分もせずにリングに沈んだ。
井上尚弥はいつも通り、流血もなく顔も腫らさず。
23戦23勝20KOとスコアを伸ばした。
井上は29歳でドネアは39歳だ。年齢による衰えもあっただろう。
だがそれでも、あの一戦を覚えている者からすれば、「あれだけ戦ったドネアを2ラウンドでKOした」という事実はあまりにも衝撃的だった。
今日僕が感じたのは圧倒的な才能への熱狂だけではない。
井上尚弥は、一体どこまで勝ち続けるのか。
それはある意味恐怖にも近い何かだった。
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