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手記

———夢を見た。
右腕に残る、ざらついた布の感覚。

疲労と……緊張。
少し息が上がっているのを私は———「僕」は、必死に隠そうとしている。
誰かと話しているのだろう。

……でも、誰と?

視界の端で、朱く長い髪が揺れる。
ちいさな手足でよく動き、鈴のような声でほがらかに笑う。

けれどどこかその面持ちは、ほんのりと影が差しているようで。

大切な思い出、の、ような気がする。
この人との出会いが何かを変えた、ような気がする。

思い出さなくては。

何を話し、何を得たのか?

私は、
僕は、
私は、

———「あなた」は———?

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