第3話

「は……それ……本気で言ってる?」
「うん……ごめん……だから俺のことは……もう忘れてほしい」
「え……ちょちょちょっと待って……好きな人って……誰よ?」
「いや……お前に言っても知らないやつだから……」
「……あ、そう」

レイナはだんだんスマホを握る手の力が抜けてくる感覚を覚えた。
缶ビールを握っている左腕の手首にかかったコンビニの袋さえ、重く感じた。
その袋にはつまみに買った唐揚げが入っていた。
その唐揚げの重みが、レイナの左腕の手首を圧迫しているのだ。
レイナはスマホを握った右手をうまく開いて、左腕の手首からそのコンビニの袋を抜き取った。
抜き取った袋からすぐに手を放す。
唐揚げの入ったコンビニの袋はべちゃっと湿った公園の土の上に落下した。

「だからさ……ごめん……俺のことはもう忘れてくれ」
「……ふうん……わかった」

そう言うと、レイナはスマホの画面をタップして電話を切った。
レイナはすぐにスマホをズボンのポケットにしまうと、再び缶ビールを口元に運んだ。
グビ、グビ、グビ……とビールを一気に細い首の中に流し込む。
すべてビールを飲み終えると、レイナは夜空を見上げて口を開いた。

「だあああああああ…………なんなんだよほんとに……なんなんだよほんとによー!」

夜の公園にレイナの怒声が響き渡る。
レイナは構わず続けた。

「もう意味わかんない……彼氏なんてもういらねえよクソがあ!!」

缶ビールを土に叩きつけると、レイナは再び夜空に向かって吠えた。
レイナの咆哮はトーキョーの夜空の中へむなしく響き渡っていく。
——不意にレイナは夜空の中で何か白っぽく光るものを見つける。

「あれ……んん?……なに……あれ?」

レイナは眼を細めて、その光るものをしばらく眺めていた。

「あれ……マジで?……流れ星じゃない?……え?え?……ウソ?……ええ?どうしよう?」

ブランコに乗ったままレイナは、あたふたとしながら、慌てだした。
慌てながらも、レイナは異変にすぐに気づいた。

「ええ?ちょっと待って……なんか……こっち来てない?」

レイナの言った通り、なんと流れ星は明らかにその光を大きくさせながら、明らかにこちらに近づいていた。
眼をパチパチとさせながら、レイナは目の前の光景が信じられずにいた。

「え、嘘……え、え……ちょっと待って……こっち……こっち来てんじゃん!!」

ブランコから飛び出して、レイナは全速力で後ろに走り出した。
公園の中心部分の広場のところまで走り抜けた時、レイナの後ろでとてつもない音と衝撃が響き渡る。

ドオオオン……!

あまりの衝撃に走っていたレイナは、前に倒れるようにこけてしまった。

「いったあい……もうなん……なの?」

体を起こして、後ろを振り返ると、レイナはぎょっとした。

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