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心が生きる場所

2024年3月1日 日本武道館
LOVE LIKE POP Vol24 追加公演 最終日

約4年3か月ぶりのライブ。この日をどれだけ待ちわびていたか。

【時計が止まってしまったみたいだったけど
少しずつ動き出したよ
輝いたあなたを一番近くで見てたから
あたしも変わろうと思った】
<寒いね…aiko>
これは、”寒い冬にはマフラーよりも寒いねと言い合えるあなたがいればよかった”という失恋ソングだけど、
今回のライブは私にとって、大切なものを失って止まっていた時間がやっと、やっと進み始めた、そんな大切な日だった。

初めてaikoを聞いて好きになったのが小学4年生、自分のお小遣いでファンクラブに入ったのが中学生、初めてライブに行ったのが高校2年生だった。それから毎年のようにaikoに会いに行けていた。もちろん受験の時は我慢したけど、それでもすぐに次の約束ができるって信じていたから頑張れた。
それなのにこの4年間はコロナのせいで、こんなにも制限を強いられるなんて。
医療職だから気をつけなきゃいけない、誰のせいでもない、もっと最前線で普通の生活さえままならない人がいる、それは頭では十分わかっていたし仕方のないことだと思っていた。それでもチケットの申し込みすらできないことは、スタート地点にも立てない、楽しい世界の入り口にさえ行けないようで悲しかった。世界の中心がライブでないことも、他に楽しいことを見つけられることもわかっていたし、我慢しているのは自分だけじゃないこともわかってた。それでも私にとっての生きがいを失って、心が動かないまま冷え込んでいるようだった。

電車に乗って、やっと会場にたどり着いて席についても、まだどこか夢の中にいるようなふわふわした感覚と、ライブが始まるまではしっかりしていないととどこか冷静な自分がいた。
もしかしたらライブは始まらないかもしれない、なにか起きるかもしれないなどと、期待しすぎないように必死に落ち着こうとしていたかもしれない。

開演時間が迫り自然と湧き上がる手拍子とaikoコール。照明が消え、「わぁ」と歓声が上がり、一瞬静まり返る会場。オープニングの音と光が広がる。幕が落ちる。大好きな声が聞こえる。

あぁ、この瞬間をどれほど待っていたか。夢にまでみた時間の始まり。

ひたすらあふれ出す涙を拭く間も惜しくて、一瞬でも目を離したくなくて。
もうマスクの中、べちゃべちゃだけどそんなのどうでもいいや。体を震えるほど涙が出るってこういうことか。でも手拍子はちゃんとしないと、きっとaikoは見てるから。ちゃんと楽しいよ、幸せだよって伝えないと。今、私の顔すごい不細工だろうな。

止まらない涙と、どこか冷静な頭の中。

aiko、ここまで私は頑張ったよね。大変なことたくさんあったけど、なんとか生きてきたよ。生きてきてよかったよ。

大げさかなって思うけど、ライブの感想はいつもそう。
「ここまで生きてきてよかった」
そして今回久しぶりにライブに行けたことで
「やっと帰ってきた」ことを強く実感できた。

日常の中の非日常。たった数時間。
それでも私の心が動く場所はここ。生きていることを実感できる。
泣いて笑って、嬉しくて、切なくて、幸せで。
やっとここから。また進めるような気がする。

【振り返れば笑ってくれた あなたに今度はちゃんと言いたい
元気でいるよ】
<寒いね… aiko>

また必ず会いに行く。それまで元気でいるね。

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