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UE:オーバー・ルーズ-2-
「物好きなのね、貴方」
「必要に迫られて、だ。我ながら甲斐性のなさに辟易する」
蒼天直下、完全に人間が根絶された廃墟群を見下ろす一際高い廃墟ビルの屋上。ランカー、ハガネは先の依頼を受けた結果こうして試合の場となる撃ち捨てられた廃墟区画を訪れ、くだんの新人騎手に挨拶にやってきた。
対戦相手となるクライアントの子は年の頃中学生位、飾り気のない黒髪をショートに切りそろえ、その身はぴっちりとした体に密着するパイロットスーツを身に着けた少女だった。その醒めた視線を受け止めつつ淡々と切り返すハガネ。
「そう、でも感謝するわ。私のランクじゃ上位ランカーとの公式戦は申請できないから」
「雲の上の相手と試合を望むそっちも相当なクレイジー、だな」
建前のランキング上は天と地ほども差がある相手であるハガネを前にして少女は微塵の怯懦も感じた様子は見せていない。敗北への懸念もなくただ闘争への凍れるような闘争心があるだけだ。
「ええ、父さんとは似ても似つかないでしょう?自分でも本当に血がつながっているか疑わしいわ」
「どうだかな、遺伝子的共通点は歳かさが増してから顕在化するって研究を読んだことがある。似ても似つかないのは今だけかも、だぞ」
「それはそれで構わない、でも私は私の生き方を変えるつもりはない」
きっぱりとハガネの予想通りの回答を返してくる少女。なるほど、コレは無理だと納得すると自身の情報端末を手に取る。
「ところで、名前は?」
「アイネ。あなたの事は知ってる、『不壊斬刃』フルメタルドーンの騎手、ハガネ」
「そう、それ」
「でも女の子囲う趣味があるのは知らなかったわ」
「違う、彼女はセコンド兼メインエンジニアだ。そういう関係じゃない」
醒めた様子のアイネにハガネの後方、朽ちかけたベンチに座ってタブレット相手にソウルアバターのチューニングを行っている白衣をまとった棒きれの様な体型の少女を指摘されるとハガネは憮然として否定する。
「メインエンジニア、良いわね。私も行き詰ったら雇おうかしら」
「存外高くつくぞ、とは言っておく」
アイネとハガネは向き合ったまま自身の情報端末かざすとソウルアバターを物質転換起動を行う。ビルの屋上に寄り添い、向き合う様に二つの金色の光球が蛍が密集するかの如く産まれ、拡大していく。
光りの玉が粒子を放つように拡散すると、二機の人型機動兵器が出現する。片や黒曜の装甲に暁めいた輝きをさし色にし、刀を佩いた黒武者、ハガネの乗機『フルメタルドーン』。
もう一方から現出した機体は紫紺のカラーリング、重厚な胴体にバレリーナめいた細い手足がついており、両手にマシンガンとショットガン、脚部にスラスター、そして背に不釣り合いなサイズのバックパックを背負った風変りな機体だった。
「いい試合にしましょう、期待しているわ」
「何処までも大物だな、いいだろう」
今、人間の痕跡が途絶えた廃墟ビル群の背景に二機の巨人が激突する!
【オーバー・ルーズ-2-:終わり:-3-へと続く】
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